中日新聞のWEBサイトに、時代の変化を感じさせる記事があった。
中日新聞:米国のデジタル広告、初の過半数に 20年、巨大IT寡占
これまでの新聞やテレビなどに出稿していた広告量が減り、デジタルが過半数(と言っても51%だが)になった、ということだ。
と言ってもデータは、米国の広告の話なので日本の広告とは実態は同じだとは言い切れないのだが、おそらく日本でも同じような傾向がみられるはずだ。
考えてみると、このようなマスからミニマムへの転換は、時代の変化として当然なのかもしれない。
新聞を紙で購読している人、テレビの画面でテレビ番組を見ている人そのものが減少しているのでは?と、実感しているからだ。
「テレビを見るのはゲームをする時」という若い方も、案外多いのではないだろうか?
テレビ番組を見ない訳ではないが、「何の為にテレビがあるのか?」ということになると、「ゲームの為」という若い世代も多いのでは?ということなのだ。
新聞に至っては、新聞を読むにしてもスマホやタブレットで見る人は増えても、紙で読むという人は減少しているはずだ。
だからこそ、各新聞社のWEBサイトでは「有料会員向け記事」が、増えているはずなのだ。
そう考えると、広告主である大手企業にとって新聞や雑誌などの紙媒体やテレビなどのマスメディアに広告を出す、というメリットが感じられなくなってしまうのは当然だろう。
何より、ネット広告は企業側が獲得したい世代へのアプローチが、簡単にできる。
「炎上」というリスクはあるが、「炎上リスク」さえ考えれば、マスメディアを使った広告よりも安価に抑えることができる可能性もある。
事実多くの企業は、TwitterやFacebook、Instagramなどを通して積極的に広告を出している。
広告を出している企業は名の通った大企業から、ネームバリューという点では疑問な中小企業まで様々だ。
中には海外の企業広告が、表示されることもある。
これらの情報は、G(Google)A(Apple)F(Facebook)A(Amazon)と呼ばれるIT企業などに集められた、ビッグデータを基にしていることもあるはずだ。
ITの巨人たちと呼ばれるGAFAだが、その事業内容が違う集まる顧客データも様々だ。
Amazonのように、過去の購入履歴などから生活者の様々な嗜好をアルゴリズムによって分析をし、お勧め商品を表示するだけではなく、ビッグデータ化された生活者の嗜好(もちろん、個人を特定できるような情報開示ではなく、全購入履歴などからのビッグデータという意味だ)を広告主に提案することも可能だろう。
Appleなどは「AppleMusic」等から音楽的嗜好やトレンドを分析するということになるだろうし、FacebookはInstagram利用者層の違いに合わせたビッグデータの活用ということになるのかもしれない。
それらの情報は、これまで大手広告代理店が行ってきた市場分析や生活者への定点調査などから得られた情報よりも、「今」の生活者像に近く、GAFAのようなIT企業が広告代理店にとって代わる可能性も示しているかもしれない。
ITの巨人たちとひとまとめにしてはいるが、それぞれの企業の特化した事業によって使われるデータは違うはずだ。
そしてそれらからよりミニマム=個人に向けた広告が、今より増えていくということは暗に想像ができる。
ミニマムになっていく広告に対して、生活者は快く感じるか否かは別の問題ではあるのだが・・・。