「新型コロナウイルス感染症対策分科会」の尾身会長が、再び「Go Toトラベル」の停止を提言している。
朝日新聞:Go Toトラベル停止、再提言へ 感染収まらぬ地域念頭 (朝日新聞のサイトでは有料会員向け記事の為Yahoo!の記事を紹介している)
連日、感染者数の増加に歯止めがかからない、というニュースだけではなく、これまであまり聞かれなかった重症者数も急激に増えている、という状況が続いている。
尾身会長が「Go Toトラベル」停止の提言をするのは、「第3波」と呼ばれるような状況になってから2回目だと思う。
前回は「蛇口を開けっぱなしにしている状況」という表現だったような気がするのだが、今回は前回よりもはっきりと「停止」という言葉を述べているようだ。
この状況になっても、政府というか内閣は「経済を動かすため」という理由で、「Go Toトラベル」をはじめとする「Go Toキャンペーン」の停止や見直し、という話をしていないように思える。
旭川などで始まった「医療崩壊状態」に対して、自衛隊の看護師を派遣するという対応を発表した程度だ。
自衛隊の看護師と言っても、無尽蔵にいる訳ではないので旭川で起きているような「医療崩壊」が、全国各地で起きれば、自衛隊も対応することができない。
自衛隊そのものは、このような「感染症対策」の為に、医療隊を持っている訳ではない。
その点を、政府は勘違いしているのでは?と感じるほど、後手後手の対応となっているのが「新型コロナウイルス対策」だ。
しかも今起きていることは、「対応が後手後手になっている」というよりも、政府が状況を悪化させている、というような気がしている。
このような状況が続くことは、「Go Toキャンペーン」が始まる前から予測されていたことだ。
だからこそ、多くの人は「Go Toキャンペーン」そのものへの理解はしても、「感染収束の目途が立つまで我慢」と思い、「自粛生活」を続けてきているのではないだろうか?
そのような生活者一人ひとりの努力を無にしているのが、「Go Toキャンペーン」ということになる。
「Go Toトラベル」で、感染者が増えているというエビデンス(科学的根拠)が無い、と先月分科会で言われたことを盾に政府は継続をしているのかもしれないのだが、この時既に「エビデンスは無いが、見直す必要がある」と提言をしているのだ。
トラベルWatch:新型コロナ対策分科会、Go Toトラベルの運用見直しを提言
この話は先月11月21日の話だったのだが、一昨日の東京新聞では「Go Toトラベル利用者は2倍の発症者がいる」という記事が掲載されている。
東京新聞:Go Toトラベル利用者に発症2倍 東大チーム初調査 味覚異常などコロナの疑い
急激に状況が変わってきている為に、調査そのものが遅れたのでは?と考えているが、この記事の内容は「Go Toトラベル」によって、「新型コロナウイルス」の感染地域が広がっている、ということを示すには十分なデータだと思う。
このようなデータが出て、「Go Toトラベル」に対する問題が明らかになっても、何故キャンペーンの停止が政府として言えないのだろう?
「言えない」のではなく「言わない」ということかもしれないのだが、とすれば今の政府は国民の為の政治を行う、という当たり前のことができない「機能不全」状態に陥っている、と言っても過言ではないのでは?