日々是マーケティング

女性マーケターから見た日々の出来事

今必要なことは、イノベーション力

2021-01-15 11:54:33 | ビジネス

昨年、ある方から数冊の本を頂いた。
私がマーケティングという仕事をする上で、色々勉強をさせて頂くことが多かった方の形見として頂いた本だ。
ゆっくりではあるがそれらの本を、この「コロナ禍」の中読んでいる。
今読んでいるのは、ドラッカーの「イノベーションと企業家精神」だ。
ドラッカーの名著の一つなので、読まれた方も多いと思う。
改めて読んで、ドラッカーの言葉にハッとさせられることも多いのだが、実は今「落ち込んでいる」。

「イノベーションの原理」という章の一節。
「イノベーションとは理論的な分析であるとともに知覚的な認識である。(中略)イノベーションに成功する者は、右脳と左脳の両方を使う、数字を見るとともに人を見る。」
という部分だ。
もちろん、この部分だけで「落ち込んだ」訳ではないのだが、この文に自省することになった、ということなのだ。

ビジネスパーソンであれば、データ分析の重要性は十分すぎる位理解をしているだろう。
現状を分析することで、「今の問題」を見つけることができるからだ。
だが「今の問題」で一番困っている人は、誰なのか?というと、それはデータではなく生活する場へ出向かなくては、見えてこない。
そこから見えてくる問題を解決するためには、創造力が必要であり、この二つが両車輪となって「イノベーション」が起きるのだ。
とすれば「コロナ禍」という状況の中で、今一番求められているのは「イノベーション」なのでは?と、感じている。

「イノベーション」というと、社会を一変させるような技術研究のように思えるのだが、その実「小さなイノベーション」が社会を変えていっている、というのがドラッカーの「イノベーション」だ。
例えば「感染症は都市型の病気である」という指摘がある。
「都市型の病気」という意味は、人を介して病気が拡がっていくため、人口が密集している「都市」は感染拡大がしやすく、感染速度も速い、という古くから言われている指摘だ。
過去、世界に広がった感染症の中で、一番患者が多かった地域は「人が密集し経済的に恵まれていない人たちが住む地域であった」というデータがある。
一方、富裕層と言われる人たちの多くは、感染の噂が市中に流れ始めるとサッサと都市部を離れ、人の少ない別荘へと移動したため、感染者が少なかったという。
今と経済状況が違うにせよ、この過去の記録(=データ)が示すことは、「どのような人を隔離する必要があるのか?」ということを示唆していたはずだ。

もう少し視点を変えてみると、「3密」となる環境とは?と考えた時、都市部に住む人たちの生活を変える必要がある、ということがわかる。
それは物理的な変革だけではなく、意識的な変革(=創造力)も迫られることだ。
この「意識的変革」を起すことができるのが、「小さなイノベーション」なので、ないだろうか?

そのように考えた時、今必要なことは「(小さな)イノベーションを起す」ということであり、その中心となるのはビジネスパーソンだけではなく、政治に携わる政治家自身でもあるはずだ。
硬直した「高度成長期の再来」を夢見ているような、政治家では「イノベーション」等、起きるはずもないのだ。