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Fashionはメッセージになる

2021-01-21 11:48:58 | アラカルト

今日の早朝、新しい米国大統領となったバイデン氏の就任式があった。
Huffpost:バイデン新大統領が就任演説「物事は変わらないと言わないで」(詳報)

バイデン氏の就任演説よりも目立った感があったのが、米国国歌を独唱したレディー・ガガや詩を朗読した詩人アマンダ・ゴーマンさんだったかも知れない。

今回レディー・ガガが着ていたのは、濃紺に真紅のボリューム感のあるスカートというドレスだった。
アメリカ国旗の基本色である色を着ることで、「私たちのアメリカ」ということを強調したかったのだろう、と想像できる色の組み合わせだ。
胸につけた大きなボリュームのある金色の鳩のブローチは、おそらくピカソが描いた鳩をモチーフにしたものでは?と思っている。
ピカソ自身、鳩をモチーフにした絵をいくつも残しており「スペイン内戦」で一気に名作「ゲルニカ」を描き上げたことを考えると、ピカソにとって「鳩」は平和や協調の象徴なのだろう。
特に今回レディー・ガガが選んだ「鳩」は、オリーブの枝を咥えている。
オリーブの花言葉は「平和と知恵」と言われている。

全体のバランスを考えると、「随分大振りなコーディネート」のように感じるが、ホワイトハウスのバルコニーにワシントン記念塔近くにいる人まで見せるには、この位「大振りなコーディネート」である必要があったのだろう。
実際には、就任式に一般の人たちが入ることはなく、代わりに「新型コロナ感染」によって亡くなられた方々の数の国旗が埋め尽くすことになったが。

そしてもう一人、自作の詩を朗読した若い女性がいた。
アマンダ・ゴーマンさんという22歳の若い詩人だ。
彼女は、黄色のコートに身を包み丁寧で分かりやすい(すべてを聞き取ることはできなかったが)言葉で、自作の詩を堂々と朗読した。
Huffpost:アマンダ・ゴーマンさん「奴隷の子孫が大統領になるのを夢見られるようになった」。大統領就任で詩を朗読

ゴーマンさんの若々しさに似合った黄色のコートだったが、12年前のミッシェル・オバマさんを思い出した方も少なくなかったのではないだろうか?
黒人初の大統領となったオバマさんの就任式でミッシェル夫人が着ていたのがミモザ色のドレスとお揃いの色のコートだった。
この時話題になったのが「ミモザ色」に込められた意味とは?ということだった。

「黄色」は「希望の色」とも呼ばれる。
若いゴーマンさんがこの色を選んだのは、今のアメリカを覆いつくす「分断と憎しみを希望に変えたい」という思いがあったように感じたのだ。
実際ゴーマンさんの詩は、「民主主義は脆く壊れやすい。私たちの国はまだ未熟な国だからこそ、立て直し、前に進むことができる」という趣旨の内容になっている(ようだ)。
朗読した詩の内容と合わせ、「前に進む力=希望」を持つことを黄色のコートでもアピールしているのでは?と、感じたのだ。

ミッシェル・オバマさんをはじめ、多くの女性陣が紫系の色を着ていたのは、民主党で初めてアフリカ系女性候補者となったシャーリー・チムザさんに対する敬意だという指摘がある。
Yahoo!ニュース:米大統領就任式で女性陣が紫色の衣装を着用した意味

大統領就任式という場だからこそ、女性陣はファッションを通して、メッセージを伝えたかったのではないだろうか?
それは「希望」であったり「分断からの融和」だったような気がしている。