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SNSというコミュニティー

2021-01-11 18:55:44 | アラカルト

トランプ氏のTwitterアカウントが永久停止した、とTwitter社が発表した。
これを受け、米国のトランプ支持者はTwitterと同じようなネットサービス、「パーラー」へと移行しようとした。
ところが、「パーラー」のアプリをダウンロードしようとしても、Gogle、Apple、Amazon等が次々とサービスを停止したため、実質使えないという状態になっている。

このような状況になり、「言論の自由の侵害ではないか?」という指摘も出てきているようだ。
確かに、企業が個人の発言を勝手に削除したりアカウント使用を停止したりする、ということはある意味企業による言論統制のようにも思える。
今回のトランプ氏とTwitter社との間では、トランプ氏のtweetに対して、Twitter社は何度か警告を発している。
その警告に従わなかった為、Twitter社がトランプ氏のアカウントの永久停止に踏み切った、というのが一連の流れだ。
Twitter社が警告をしているにもかかわらず、扇動的なtweetを繰り返すトランプ氏に非は無いのだろうか?という、事にもなる。
「警告そのものが言論統制である」という考え方もあるかもしれない。
しかし考える必要があるのは、トランプ氏の社会的立場とネット社会における倫理と秩序という問題なのでは?という気がしている。

ここ数年、日本でもSNSによる特定の人物への根拠のない誹謗中傷により、ターゲットにされた方が自死を選ぶことが問題になりつつある。
誹謗中傷を繰り返す人達の中には、「正義感を持って、相手を正すべきだと考えていた」という人達もいるようだが、そもそも当事者でもない人たちが「正義感を持って」というのは、ある種の「野次馬」的な感覚の上にある「正義感」なのように思える。
何より、世界中に繋がるサービスでありながら、SNSの世界は、ある種のコミュニティー社会なのではないだろうか?

「コミュニティー」に参加するためには、そのコミュニティーにおける倫理と秩序が求められるのでは?と、考えている。
SNSの問題点として「匿名性」が挙げられることが多いが、匿名であってもコミュニティーを乱す人は、退場してもらわなくてはならないだろう。
そうしなくては、コミュニティーとしての秩序が守れないし、自由で活発な議論もできないからだ。

自己主張ばかりをして、自分の気に入らないことに対し「正義」を振りかざし、攻撃的な言葉を繰り返すというのは、果たしてコミュニティーの秩序を守る努力をしている行為なのだろうか?
少なくともトランプ氏のtweetは、コミュニティーの秩序を守るという内容ではないことが、多々あったように思う。
そして、政治家として公の場での議論を避け続けていたのではないだろうか?
昨年の大統領選期間中の討論会でも、一方的に話をし、時には相手候補者であったバイデン氏の話はもちろん、進行役の司会者の話さえも遮って、自分の主張ばかりをしていた。
この時は、トランプ氏支持の保守系のFOXであったにもかかわらず、このような姿を自ら晒、Twitterで自分の都合の良いことばかりを発信する、ということは「言論の自由」以前の問題なのではないだろうか?

「企業が言論統制を始めた」のではなく、「コミュニティーの秩序と倫理を壊す人に、退場してもらった」と考えるべきなのではないだろうか?
もちろん、トランプ氏の支持者の持っている不満や不安は、聞く必要があると思う。
単にトランプ氏の発言に煽られているだけなのか?それとも、今の米国社会に対して何らかの不満を持って、SNSで発信しているのとでは、全く違うからだ。

SNSというサービスそのものは、誕生して20年も満たない成長途中のサービスだ。
だからこそ、そのサービスをより豊かなものにするために、利用者自身にも「倫理観や秩序(時には自省)」が必要なのだと思うのだ。