日々是マーケティング

女性マーケターから見た日々の出来事

著名ブランドが、破綻・撤退する米国

2021-01-27 19:41:38 | ビジネス

Yahoo!のトピックスに、「ロクシタン、破綻」という見出しがあった。
この見出しを見て、驚かれた女性も多いのではないだろうか?
というのも、日本では「高級オーガニック・コスメブランド」として人気が高く、日本初出店の時には早朝から行列ができ、話題になったほどだったからだ。
WWD:米ロクシタンが破産法申請 新型コロナで一部閉店

WWDの記事の通り、破綻申請をしたのは米国法人のロクシタンで、日本法人や創業の地であるフランスの法人ではない。
商品そのものも、変わらず供給されるだろう。
そしてもう一つ目をひく記事があった。
日本では高級チョコレートとして人気の高い、ゴディバが北米全店撤退、というニュースだ。
日経新聞:ゴディバ、北米全128店撤退 コロナが追い打ち

いずれも「新型コロナ」の感染拡大により、路面店での売り上げが落ち込んだことが、原因のようだ。
それだけ「新型コロナ」の感染拡大が、アメリカ経済に打撃を与えている、ということだろう。
だが、それだけだろうか?
ロクシタンの場合、路面店にこだわったことが要因だとすれば、日本のように何故通販サイト等の販売ルートを増やすことを積極的にしなかったのか?という、疑問が起きてくる。

日本における「ロクシタン」の店舗展開は、「高級オーガニックコスメ」というスタンスをとっている(ように見受けられる)が、現実は千趣会等をはじめとする通販で、積極的に販売をしているのだ。
その結果、日本全国どこでも「ロクシタン」は購入でき、場合によっては、通販サイトを通して「アウトレットセール」等を行うことで、路面店のブランドイメージも大きく損なうことが無い、という事業展開をしている。

ゴディバに関しても、日本での展開はご存じの通り百貨店が中心だが、ファミリーマートとコラボでオリジナルスィーツを販売したり、PASCOと共同開発の商品を発売する等、百貨店等で展開しているイメージで、生活者が手に取りやすい販売戦略も立てている。
もちろんそのようなことができるのは、日本に進出して30年以上経ち、「ゴディバ」というブランドイメージが日本の生活者に出来上がっているからだ。

ところが北米の場合、進出そのものが遅かったことと「高級チョコレート」に生活者がさほど興味をひかなかったのかもしれない。
何と言っても米国には「ハーシー」という、チョコレートメーカーがある。
米国人にとって「チョコレート=ハーシー」なのだ。
「ゴディバ」が日本で展開しているような、お洒落で大人が買うチョコレートという市場需要がどれほどあったのか?という点で疑問なのだ。
おそらく米国にも「ゴディバ」のような、高級チョコレートという位置づけの商品はあると思う。
ただ積極的に大規模展開をするのではなく、スモールビジネスとして限られた地域で展開しているのではないだろうか?
日本からは撤退してしまったが、アイスクリームの「ベン&ジェリーズ」のように、企業ビジョンがハッキリしていて、そのビジョンに共感できる人達がファンとなり、少しづつ市場を拡大させる機会をうかがっているのではないだろうか?

北米特にアメリカという市場は、とても大きく魅力的だ。
だからこそ、市場で生き残るためには様々なことを考えなくてはならないはずだ。
良くも悪くも日本のように、海外の評判で生活者の気持ちをつかむことは、難しい。
穿った見方かもしれないが、北米市場から撤退、あるいは破産法を申請することになってしまったのは、決して「新型コロナ」の感染拡大だけではないような気がする。