日々是マーケティング

女性マーケターから見た日々の出来事

「情報を伝える」ということ

2021-07-01 19:50:30 | アラカルト

「新型コロナクチン」の接種対象者が、医療従事者、65歳以上の方々がほぼ終了し、65歳以下へと移ってきている。
とはいうものの、我が家にはまだ「ワクチン接種の案内」が届いていないのだが…昨年の「定額給付金」の時も周辺自治体がほぼ終了した頃に、送付されてきたのでおそらく同じようなタイミングなのだろう。

政府が「新型コロナワクチン」接種を急ぐ最大の理由は、やはり「東京オリンピック・パラリンピック」の開催の為だろう。
そのような感覚を持って、「新型コロナワクチン」の接種状況を見ている方々は、多いはずだ。
ただ、今週に入ってから東京での「感染者」が増加傾向に転じている、というのは「東京オリンピック・パラリンピック」を何としてでも開催したいJOCや東京都、政府関係者にとっては、不安の種となっているだろう。
今の状況で、今後も感染者が増え続ければ、開幕まで20日余りとなった現在では、相当厳しい判断をする必要があるかもしれないからだ。
少なくとも「有観客」から「無観客」へと、変更せざる得ない、という状況になる可能性はある。

ところで、この「新型コロナワクチン」をめぐっては、「接種をすると妊娠できなくなる」というデマがあった。
他にも「新型コロナワクチンは毒である」ということを喧伝するグループもあるようだ。
このような情報の元となっているのは「陰謀説」だと言われているが、そもそも「ワクチンは安全です」としか言わない側についても、問題があるのでは?という気がしている。

というのも「ワクチン」そのものは、「体に抗体を作る」という目的なので、抗体を持たない体では「副反応」が出るという仕組みになっている。
逆に言えば「副反応=体内で抗体がつくられている」という状況なのだ。
ところが「副反応で××の症状が出た」という話題が先行してしまうために、「××という症状」を怖がって「ワクチン接種はしたくない」ということになる。

また「ワクチン接種をしたのに、新型コロナに感染した」ということも話題になりやすい。
このことに関しては、BBCがニュースキャスターの体験とともに専門家にインタビューをする、という動画がネット上に上がっている。
BBC News Japan:「ワクチン2回受けたのに感染、私は運が悪かった?」BBC司会者が専門家に聞く

このBBC司会者と専門家とのやり取りをみると
①ワクチンを2回接種したからと言って、感染しないわけではない
②ワクチンの目的の一つは、重症化を防ぐこと
③ワクチン接種が進むことで、パンデミックを防ぎ、自粛生活から解放される
ということが、ワクチン接種の目的と効果である、とハッキリ述べている。

日本ではこのような情報が限りなく少なく「ワクチンを接種すれば、新型コロナに感染しない」という認識の中で、「ワクチンを接種したのに、新型コロナに感染した」という話題ばかりが、取り上げられてしまう傾向が強い。
日本の場合「ワクチン=副反応があってはならない」というような認識が強い国では、BBCNewsのような情報を丁寧に発信していかなくては、生活者の不安を取り除くことができない。
その上で「ワクチンを接種する・しない」の判断を生活者に任せる、ということが必要なのだと思う。

先日、厚労省のHPに「新型コロナワクチン接種後、副反応により発熱等が起きた場合の一般薬について」という内容のコンテンツがあった。
これは医療従事者の方々が、「新型コロナワクチン」接種後に起きた「発熱を伴う副反応に対して、どのように対処したのか?」という記事が、一部メディアで取り上げられ、それを見た人の一部が、名前の挙がった薬を買いにドラッグストアに殺到し、一時品切れという状態に陥ったからだ。
このような騒動を受け、厚労省がHPで告知をした訳だが、この告知そのものにアクセスすることができない人たちのほうが、多いのではないだろうか?
厚労省:新型コロナワクチンQ&A

日本では「HP=情報を発信している」と、思いこんでいる省庁や企業が多い(ように感じている)。
例えHPに記載してあることであっても、重要な情報は様々なメディアを使って「伝える」ことが必要なのでは?
「情報を伝える」ことに関して、日本はもっと丁寧で敏感になる必要があると思う。