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EV車は本当にエコなのか?

2021-07-16 19:30:49 | アラカルト

朝日新聞尾Webサイトに、EUが2035年までにハイブリッド車(HV車)も販売禁止にする、というニュースが一昨日あった。
朝日新聞:EU、2035年にハイブリッド車も禁止 EV化へ加速

そして昨日、EUが2030年までに再生エネルギー電源を65%にし、ガソリン車の販売も禁止する、という記事があった。
朝日新聞:EU、30年に再エネ電源65% ガソリン車販売禁止も

いずれもEU内での話とはいえ、HV車が主流になっている日本では、厳しい条件を突き付けられた、という印象がある。
EUでの発表が1日ズレているが、いずれもHV車を含むガソリンで動く車についての考えを発表した、ということには違い無いだろう。

ただ、EV車=エコカーなのか?という点で、考えてみる必要があるのでは?という指摘を、昨日の朝のFM番組でされていた。
その内容というのは、「EV車は確かに電気で動くクルマなので、単純に考えればCO2の削減に大きく貢献すると、考えられる。だが、そのEV車の動力部分を製造するためには、HV車を含むガソリン車よりも、多くのエネルギーを必要としている。再生可能なエネルギーを使っているから、エコロジーというわけではない、という趣旨の話があったからだ。

確かに「EV車=エコ」というイメージで、とらえられているけど、その製造工程で使われるエネルギーはどうなのか?ということを考えることも、SDGsでは重要な点だろう。
それだけではなく「造られた車を解体す時は、どうなのか?」という点も含めて、「製品のエコ化」を考えなくてはならないだろう。
それは単に「走行時にCO2の削減となっている=エコ」という単純な発想では、問題解決とはならない、ということに気が付くはずだ。
クルマで使われるプラスチックを「リサイクルされたプラスチック」替える、という程度の変更であれば「エコカー」とは言え無くなるのでは?という、気がしている。

そのように考えた時、現在の車の販売台数の多くをHV車が占めている、という点は、将来的な自動車の動力部分の開発などで有利になるかもしれない。
何故なら、現在主流となっている、HV車の売り上げの多くが日本だからだ。
このような状況を「ガラパゴス化した日本の自動車メーカー」が、製造工程においても「製造時の消費エネルギーの転換と省エネ化」によるEV車の開発ができるかもしれない、と期待する部分も個人的にはある。
何故なら、エコロジーな生産工程はどのようなシステムなのか?という、事を考えるのは同じだからだ。
むしろ、EV車の製造工程にこだわる必要が無いので、全く違う視点の発想で生産工程とその材料や素材を選ぶ事ができるからだ。

HV車という成功体験を持って、EV車の生産ラインや材料、素材を考える必要が無い=既成概念にとらわれない、という発想が日本の自動車メーカーにできるとすれば、現在EV車の生産・普及が進んでいる中国等よりも「これまでと同じ感覚で乗れるEV車」の生産が可能になるかもしれない、という期待ができるのでは?
むしろ、周回遅れのような今の状況では、材料・素材等から徹底的に見直しをして、生産工程でも環境負荷をかけないクルマづくりを目指す必要があるのではないだろうか?

今回、EUが発表したHV車を含めたガソリン車の販売停止は、日本にとって逆風だろう。
だがその逆風と考えるのではなく、周回遅れを挽回するチャンスととらえれば、新しいモータリゼーションという文化と共に新しいクルマができるのでは?と、期待したいのだ。