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何故、政治家は考えがズレるのか?

2021-07-13 20:13:04 | アラカルト

先週、西村経済再生大臣が「新型コロナの感染拡大防止のため、酒類を提供するお店に対して、金融機関から働きかけて欲しい」という趣旨の発言があった。
Business Inside:西村氏「酒提供店に金融機関から働きかけ」発言、与党幹部からも苦言→一日で撤回【UP DAET】

この発言内容を知って「何を言っているのか、分からない」というのが、最初の感想だった。
「酒類を提供するお店」と「金融機関」とは監督省庁が別で、「金融機関」から「酒類を提供するお店」に、一体何を働きかけるのか?」という、ことが分からなかったからだ。
趣旨としては、「酒類を提供するお店と取引をしている金融機関から、提供の停止を働きかけてくれ」ということだったようだ。
それにしても、この「酒類を提供するお店に対する圧力のかけ方」の異常さに、「そこまでして、何がやりたいのか?」という、疑問と横暴さに驚いた。
もちろん「東京オリンピック」を「安全・安心の環境で開催したい」ということなのだろうが、それにしても常識を逸脱したような発想で、「何を一体言っているの?」と感じるほど、目的も趣旨も分からないような発言だった。

ところが、今朝になってこの「シナリオ」を書いていたのは、西村大臣ではなくやはり関係各省庁の共同でつくられたモノであった、ということが判明した。
東京新聞: 【詳報】西村大臣 金融機関への要請、事務方が首相にも説明と明かす「責任を果たす」と辞任は否定

時系列的に整理すると、元々このアイディアは首相あるいはオリンピックを強行開催をしたい与党側から、関係各省庁に打診があり、その打診を基に「酒類を提供する店に対して、金融機関から『酒類を提供しない様要請』をしてもらい、場合によっては、金融機関から何らかのアクション(=今後の融資等についてネガティブな話をして欲しい)」」ということだったようだ。
「資金融資」という、経営に関わる事を人質にとって、酒類の提供を阻止したい、というのはなんとも常識を逸脱している発想だと思うし、何故ここまで「酒類を提供する飲食店」を、目の敵にしなくてはならないのか?という、疑問が出てくる。

「新型コロナ」が流行し始めた、昨年の春頃は「酒類を提供する飲食店」が、クラスター発生の場所ということも言われた。
しかし、今では「飲食店」よりも、「高齢者施設」や「家族間」でのクラスター発生が、問題になっている。
その「高齢者施設」等も、「ワクチン接種」等が進んだ事で、随分落ち着きをみせているような印象を持っている。
おそらく、社会の認識は「感染対策がしっかりできている飲食店で、ルールを守って食事をすることは、感染リスクは少ない」という、認識になっているのではないだろうか?
そのための努力を、各飲食店はしてきたし、その効果も表れているはずなのだ。

でなければ、自民党の重鎮と言われる方々や医師会の偉い人が、酒類を提供する「パーティー」を開催したり、参加したりはしないだろう。
言っている事とやっている事が、一貫性が無く、場当たり的であるがために、生活者の多くは、このような「パーティー」に参加した政治家や医師会の偉い人の発言を「自分たちの都合の良い事ばっかり」、と呆れかえっているのだ。

ではなぜ、このような「チグハグな発想」がまかり通ってしまうのか?と考えると、
①ある種の「選民意識」がある
②「自分は大丈夫」という、過信と自信
があるような気がしている。
特に①の「選民意識」というのは、「いざとなれば、優先して治療が受けられる」という安心感や、「生活者にはバレないだろう」と、高を括った意識があるのでは?
だからこそ②の「自分は大丈夫」という過信ともいえる自信が、生まれるのだ。

そのような意識を「政治家」として、「新型コロナ」が感染拡大する前から持ち続けてきたのだとすれば、今回の一連の騒動も納得いくし、生活者との意識的乖離があってもおかしくはない。
しかも、西村大臣の発言から数日経ってから、その裏話のような事が発覚したのは、西村大臣やその周辺からすると「梯子を外され、自分たちだけが悪者になっている」感が、あったからだろう。
「自分は悪くない!言われた事をやっただけ」という、責任逃れという気持ちもあったのではないだろうか?

いつまで、このような「政治家の茶番」に、国民が付き合わなくてはならないのだろう?