日々是マーケティング

女性マーケターから見た日々の出来事

レッテル思考の恐ろしさ

2021-07-04 19:12:35 | 徒然

昨日、毎日新聞に安倍前首相が月刊雑誌に「東京オリンピック開催を反対する人達は、反日だ」という記事が掲載されていた。
毎日新聞:安倍前首相「反日的な人が五輪開催に強く反対」月刊誌の対談に

この記事は、Yahoo!コメ等で相当批判的な意見が殺到した。
確かに、今「東京オリンピック開催」に対して反対や疑念を持っている人たちは、数多くいて、その多くの人たちはイデオロギー的な理由ではなく「新型コロナウイルス」の感染拡大を危険視する人たちだからだ。
事実、東京都の感染者数は前の週よりも増えている。
「新型コロナワクチン」の接種が始まっているにもかかわらず、感染者数が増えているという現実に、「これ以上感染拡大したら、日本はどうなってしまうのだろう?」と、危機感を募らせても当然だろう。

このような心配をよそに、政府から出てくる言葉は「安全・安心なオリンピックの開催」という言葉の繰り返しだけで、具体的な内容は全くない。
具体策も無く、感染拡大解消の一手であるはずの「ワクチン接種」についても、職場や大学等での接種にはワクチン不足のためにストップがかかり、その再開目途もたっていないという状況だ。
生活者からすると「安心・安全」の根拠となる政策も情報も何もない、という状況にある、ということなのだ。

そのことを指摘し、「オリンピック開催によって感染拡大を懸念している」だけなのに、いきなり安倍さんは「反日」という言葉を持ち出し、レッテルを貼る事で「自分の考えの正当性」のようなものを、言いたかったのではないだろうか。

「レッテルを貼る」ということは、区別をするというだけではなく、「良い・悪い」という考えや意見を作りやすくし、モノゴトを単純化して、思考停止に陥らせるといわれている。
おそらく、安倍さんの目的(あるいはこの対談の目的か?)は、「良い・悪い」という話の流れや意見をつくり、モノゴトの単純化、そして思考停止に陥らせる事なのでは?という、気がしている。

もちろん、安倍さん自身にそこまで深い考えがあったか、どうかは分からないが、これまでの安倍さんの問題となった発言の数々を見てみると、そのような意図が見えてくるのだ。
安倍さんの場合、それを意識的にしているのではなく、自分にとって不利だと思う場面になると、「都合の良いレッテルを貼り、モノゴトを単純化し、思考停止に陥らせたい」という発言が増えてくる、という気がしている。

それを「驕り」という人もいらっしゃるし、「危険な考え」と指摘する方もいらっしゃる。
ただ、ご本人や現在の自民党を牛耳っているお年を召した方々は、そのような意識も考えも無く、同様のことをされている。
そのコトがとても怖いと感じているし、モノゴトの本質を見ずに推し進めようとするその姿に、政治的絶望を感じるのだ。