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「日本は存在せず」という衝撃度

2022-05-09 13:03:41 | ビジネス

日経新聞のWebサイトを見ていたら、相当センセーショナルな見出しがあった。
日経新聞:イーロン・マクス氏「日本はいずれ存在せず」出生率低下に警告

以前からE・マスク氏の発言は、ややもすると過激な内容が少なくなかったように思うのだが、さすがに「日本は存在せず」という言葉は、センセーショナルな印象を与える。
そしてこの発言は、先日自身が買収をしたTwitterでされていた、という点から考えると、マスク氏自身のもので間違いないだろう。

tweetした内容を見ると、今現在の日本の人口問題にかかわる内容である、ということが分かる。
マスク氏が指摘しているのは、単純な「出生率と死亡率」のことだけを言っているのではない、ということもわかるはずだ。
マスク氏が指摘しているのは
①死亡率が出生率を上回る事で起きる、人口の減少=市場規模の縮小
②労働人口の激減
③労働人口の激減による、日本の生産性の低下(今でも日本はOECD諸国の中でも生産性に関しては低いという指摘があるのは、ご存じの通りだ)
④現役世代に対する社会保障費の負担増(=現役世代の可処分所得の減少)
⑤国だけではなく国民全体に及ぶ経済力の低下
という、全体の指摘をしているのだ。

2000年代初め、BRICsともてはやされた「ブラジル・ロシア・インド・中国」というこれらの国に共通しているのは、「人口の増加」という側面もあった。
もちろん、豊富な地下資源による急激な経済発展、ということもあったはずだが、「人口の増加=市場規模の拡大」という点も含まれていたからだ。
「人口の減少」は「経済の失速」の要因の一つとして考えられるのは、上述しているように「市場規模の縮小」ということにつながっていく問題だからだ。
そのことをマスク氏は、懸念材料として挙げているのだ。

とすると解決策として真っ先に考えられるのは、「出生率を上げる」ということになるはずだ。
数字上の出生率を上げるために必要なことは、「出産→子育て・教育」に十分な時間とお金がかけられるということは、誰でも想像できることだと思う。
今のように、政府が考える「モデル世帯」と大きくかけ離れている、という日本の家族構成を考えれば、「モデル世帯」そのものを見直さなくてはならない。
特に収入面で言うなら、「大企業の所得」を基に試算するということ自体、意味が無くなってきている。
何故なら、日本の労働人口の内、モデル企業として取り上げられる大企業に勤めている人たちは、ほんの一握りの人達だからだ。
現在のように、非正規雇用者が増えた状況では、「モデル収入」にもならない。

そのうえで「子育てがしやすい環境、学習塾に行かなくても良い教育環境」というものを考える必要がある。
今年の10月から、男性の育児休暇(「産後パパ育休」)が、施行される。
育児中の女性からは「育休という呼び名を変えて欲しい。育児休暇ではなく子育てという労働だ!」という言葉も聞かれる。
ネーミングも含め10年後、20年後の日本の在り方を言うものを考え、生活者の認識を変える政策や企業独自の対応策が求められるようになっている。
特に企業は積極的に対応し社内規とすることで、社会的企業価値そのものが上がる時代である、ということを強く認識して欲しい。