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日本にも「スラップ訴訟」と言論の自由

2022-05-31 20:48:53 | 徒然

Huffpostをチェックしていたら、いつか日本もこのような日が来るのだろうか?と、不安を覚える記事があった。
Huffpost:富豪や大企業が起こす「スラップ訴訟」言論の自由萎縮を懸念し、英政府が撲滅を模索

聞きなれない「スラップ訴訟」という言葉だが、大富豪や大企業が自分たちにとって不利な論調に対して訴訟を起こす、ということのようだ。
いうなれば、「いわれなき事実に対する、名誉棄損の訴訟」ということに、なるのかもしれない。

日本では、大企業のほかに対象となる人物の代表者は、皇族ということになると思う。
何故なら、日本で富豪といってもその多くの方々は、いわゆる企業の代表者のような肩書の方が多く、欧米の「富裕者」のように、先祖代々から引き継いだ財産による富裕者が、目立って社会で活動をしていないからだ。
それは、戦後のGHQの政策によるところが大きいのでは?と、考えている。
もちろん、日本全国各地には、その土地土地の「名士」と呼ばれる家系があるが、現在その「名士」たちの多くは、主要な地元企業の経営者となっている場合が多いのでは?と、考えている。

それ以外の対象者と考えると、やはり皇族の方々ということになると思う。
事実、昨年秋篠宮家の長女・真子内親王の結婚記者会見では、「事実と違ういわれなき物語が喧伝され、深く傷ついた」という趣旨の会見をしている。
その後、父親である秋篠宮殿下もご自身の誕生日会見で、「言論の自由は認めるが、行き過ぎた誹謗中傷は規制される必要がある」という趣旨の話をされている。

これまで、皇室に対して様々なことが言われてきた。
特に、今上天皇が皇太子時代のバッシングのようなものは、相当酷い内容だった。
中には「皇太子は、天皇になる資格はない」ようなコトまで公言され、雑誌等のメディアや「廃嫡運動」のようなコトまで起きた、という記憶がある。
そのような中でも、今上天皇とご一家は、じっと耐え忍ばれた。
現皇室に、訴訟を起こすということはできないにしても、宮内庁等がメディアに対して積極的に「言葉を慎むように」ということを働きかけた、ということもなかったように思う。
そのような過去の事実があったことから、秋篠宮殿下の誕生日会見での「誹謗中傷は、規制される必要がある」という発言が、多くの人たちから反発を招いたような気がするのだ。

そして、今月秋篠宮殿下にインタビューをした内容の書籍が発売され、Amazonのレビューの中でも低評価の内容が削除される、ということが起きた。
Amazon側は、書籍購入者以外の評価を削除した、という理由があったようだ。
とすれば、他の書籍レビューに対しても、同様の措置がなされなくてはならないのに、どうやらこの措置がこの本限定のようだ、ということで再び「言論統制では?」という、指摘がネット上でされるようになったのだ。

「自分にとって、耳の痛い話」というものは、数多くある。
確かに、誹謗中傷といわれるものも少なくはない。
中には、個人的不満のはけ口として批判をする人達もいるコトは、事実だ。
それらすべてに耳を傾け、真摯に受け止める必要があるのか?と言えば、決してそうではない。
ただ、「社会の中にあることば」の多くは、「その社会を反映している言葉」でもある。
耳障りの良い言葉だけが、社会を反映する言葉ではない。

社会的に力(=権力)を持った人たちが、「気にくわないから」という理由で訴訟を起こすようになれば、それは「言論統制」へと繋がっていく。
「自由に自分の意見が言える」という社会は、個々の人たちの「自制」によって成り立つ成熟した社会でもあるのだ。
一方的に「傷ついた」と騒ぐだけではなく、「社会を反映する言葉」として当事者同士だけではなく、社会全体で受け止める必要があるだろうし、「間違っている!」と感じたら、感情的ではない声を上げていく必要があると思う。