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男性の育休期間の給付アップで、少子化対策?

2023-03-17 20:36:42 | ビジネス

今日の夕方、岸田首相が「子育て支援策」等を中心に記者会見を開いた。
日経新聞:「男女で育休取得なら手取り10割」岸田首相表明 

日経新聞の書き方だと、「育休を夫婦で取得すると、女性も男性も10割の給付をもらえる」ように読み取れる。
ところが、朝日新聞の記事を読むと「男性が育休を取得した場合、手取り実質100%ということになっている。
朝日新聞: 「産後パパ育休」手取り実質100%保障 首相アピール、課題は財源 

おそらく岸田首相が話したことは、一つの話しかしていないはずなのだが、報道する媒体によってこれほどまでに理解というか受け止め方が違うとなると、「育休期間の支援策」そのものの具体性に欠けてしまう。
まして、朝日新聞が指摘している様に、財源という問題がある。
その財源の問題をクリアしても、「なぜ男性が対象なの?現実の子育ての中心は女性じゃない?」という疑問がある。
女性が産休+育休を取得した場合、給付される額は給与は据え置き、ということになる。
大変な思いをするのは、女性なのになぜ女性の給付率は上がらないの?という、点で気になる女性は多いのでは?

今回の政策が「男性も積極的に育休を取得してもらいたい」という考えで、給付率を上げたのだとすれば、少し安直な気がする。
今子育てをしている女性たちが本当に必要としているサポートは、「一緒に育てる」という意識と行動なのでは?
もちろん、経済的不安があれば難しいとは思うのだが、育休を取得している男性がどれほど実際の育児に関わっているのだろう?
東洋経済:男性3割が「とるだけ育休」で形のみの深刻実態 

男性が堂々と「育児休暇」を取得できる環境ではないにせよ、「とるだけ育休」という実態はいかがなものだろう。
給付100%は確かに「育休取得」に対して魅力を与える事になるかもしれないが、逆に男性が実質手取り100%ということになれば、企業側が積極的に「育休取得」を推し進めるだろうか?
むしろ、元々賃金格差がある女性の給付率を100%にした方が、企業負担は減るだろうし、歓迎されるのでは?

男性側の「育休取得」は、むしろパートナーである女性の妊娠期から定期的に取得させ「妊娠・出産・育児」という通期的に、取得をさせることで「親になる」という経験を早期から始める方が、効果的なのではないだろうか?
と同時に、何も給与に反映させるのではなく、育児にかかわる消耗品の現物支給を含め100%給付という考え方もあるのでは?
現物支給時に、子育て相談を兼ねるようにすれば、「孤独な子育て」という問題も、少しは解消されるかもしれない。
もしかしたら、そのほうが育児をしている人たちにとっては、嬉しいかもしれない。

「男性が育休を取得しやすい環境」を考えた時、「出世から外れる」とか「取得しづらい職場の雰囲気」等の社会的雰囲気のようなものを変えていく必要が第一だが、それだけではないはずだ。
「育休」=「育児休暇」と考えれば上述したように「とるだけ育休」ということにもなってしまう。
育児は休暇で行えるようなものではなく、ある意味「人を育てる一大事業」のようなもののはずだ。
そこから、社会的意識を変えていかなくては、少子化対策とはならないような気がする。