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ノーベル賞 日本被団協の受賞に思う

2024-12-12 20:22:15 | 徒然

日本時間の昨日、ノーベル賞授賞式が行われた。
各部門の受賞者たちが、受賞スピーチをすることが慣例になっている。
世界でただ一つの核兵器による被害国であり、長い間「核兵器廃絶」を訴えてきた、日本被団協の受賞スピーチは万雷の拍手が送られたようだ。
Reuters: 「次の世代が運動の継承を」日本被団協、ノーベル平和賞受賞演説 「核のタブー」弱体化に危機感 

日本の報道機関のニュースサイトでは、Reutersほどの動画が無かった(あるいは、有料サイトとなっている)為、全スピーチを見ることができないのが、残念だ。
このスピーチには、広島・長崎で起きた被ばく体験の話だけではなく、現在も世界で進行している様々な紛争や戦争に対しても、言及している点がとても今日的である、という点でも大きな意味を持っていたのでは?と、感じている。

ただ被爆国・日本にとって、このノーベル平和賞の受賞は手放しで喜べるモノなのだろうか?
それを考えさせられるのが、授賞式でスピーチをした田中さんの「日本政府は、原爆犠牲者に対して補償をしてこなかった」と、2度繰り返した点だ。
焦土と化した戦後の日本において、犠牲者に対する政府としての補償など、手が回らなかった」ということもあるだろう。
被爆者に対して「被爆者手帳」の交付により、医療費などの優遇措置も、一つの「政府補償」と言えるのかもしれない。
戦後の日本において、被爆者や被爆者家族が社会的差別を受けた、という事実もあったはずだ。
何より、この時多くの親を失った子供たちの人生に何等かの補償をしてこなかった、というのもまた事実なのでは?
それを言ったら「戦争孤児全てが対象となるべきだ」という、考えも起きてくるだろう。
その事実が、今現在も世界で進行している市民を犠牲にした紛争や戦争の将来のツケともいえるのでは、ないだろうか?

一部の大人たちの都合によって多くの市民の生活が失われ、多くの犠牲者は生活力を持たない子供たちでもある。
その子供たちの未来の補償をどうするのか?
そのような想像力が、世界の権力者たちに求められているのではないだろうか?
世界が武力による不安が高まる時だからこそ、ノーベル賞委員会は、被団協を平和賞に選出したのではないだろうか?
今一度、核兵器に頼らない人間の英知による平和的解決が、未来への補償となる、ということを真剣に考える必要があると、ノーベル平和賞を訴えかけているように思うのだ。