今朝、朝のFM番組を聴いていたら、日経新聞のスクープとして、ホンダ・日産が持ち株会社を設立、その後三菱自動車も加わる、というニュースを知った。
日経新聞:ホンダ・日産が経営統合へ 持ち株会社設立、三菱自動車の合流視野
ホンダと日産が経営統合の協議をしている、という話もビックリしたが、何よりも驚いたのは日経新聞の企業名の並び順序だった。
これまでなら「日産・ホンダ」という並び順だったのでは?
それが「ホンダ・日産」という並びになっている、ということはこの話は日産ではなく、ホンダ側が主導的、あるいはホンダ側優位で進められてきた話なのでは?という、想像がつく。
では、何故ホンダ側が日産にこのような「経営統合」や「持ち株会社」の話を持ち掛けたのか?
一つは、トヨタ一強のように言われている日本の自動車業界に、風穴を開けたい、という気持ちがホンダにも日産にもあったのでは?ということだ。
確かにここ10年ほどの間で、トヨタはダイハツをはじめいすゞなどの自動車メーカーを傘下に収めることに成功している。
結果ダイハツは今でも軽自動車の分野の市場を確保しているが、いすゞは自家用車事業から撤退し、いわゆる大型商用車に完全にシフトしている。
トヨタはこれまで自社の不得意で市場的優位性のない分野の企業を傘下に収めることで、一大トヨタグループをつくることに成功してきた、という経緯がある。
当然、ホンダや日産はそのことに対して危機感を覚えていたはずだ。
日産の場合、経営不振に陥った三菱自動車を傘下に収めたことで、三菱自動車は息を吹き替えしつつある気がする。
ただ、解せないのはホンダが何故日産との経営統合を進めるのか?という点だ。
若い方はご存じないかもしれないが、1960年代~1970年代、日産は「技術の日産」というキャッチコピーで、企業の強みを訴えるCMを出していた。
それに対して、ホンダは創業者・本田宗一郎の精神を引き継ぎ「チャレンジする企業」というスタンスだった。
トヨタのような「ファミリーカーのトヨタ」という、位置づけではなかった、という点では共通している。
とすれば、ホンダ側も日産側も「これからの自動車、モビリティーとは?」という発想を、多角的求めているということなのかもしれない。
だからと言って、企業の独自性を失いたくないからこそ、持ち株会社をつくることで資金面での強化を図ることを考えたのか?ということも考えられる。
とすれば気になるのは、軽自動車のスズキとバイクのヤマハ発動機の動きだ。
この2社は、実はトヨタ自動車が一定数の株を保有している。
それだけではなく、ヤマハ発動機についてはトヨタのスポーツカーのエンジンを供給してきた、という実績を持っている(トヨタ自動車の知人は、全力で否定していたが)。
トヨタ側は様々な面で経営というよりも技術面での協力を得たい為に、株式の保有率を上げようとしているようだが、いずれも断っている、と言われている。
バイクという分野に限って言えば、スズキとヤマハ発動機は、ホンダのライバル企業ということになる(この点については、小・中学と浜松で過ごしてきたので、実感として持っている)。
ただ、トヨタが自社の弱い事業分野の企業を次々と傘下としてきたことが、果たして日本の自動車産業にとってプラスだったのか?という、疑問もある。
そして今回のように、ホンダと日産の経営統合によって、日本の自動車産業の再編がされることが、日本の自動車産業にとってプラスばかりではないような気がするのだ。
もちろん「自動車産業・オールジャパン」として、来年発足する米国のトランプ政権等に対抗することや、新興企業となる中国やインドなどの自動車メーカーなどに立ち向かう為には、必要なことなのかもしれない。
ただ、それぞれの自動車メーカーのオリジナリティや創業の精神だけは忘れずにいて欲しい、と願うのだ。