日々是マーケティング

女性マーケターから見た日々の出来事

プロ野球のセリーグは、変わるのか?

2024-12-19 19:14:04 | アラカルト

今日、お昼にスマホに表示された速報を見て、「ご高齢でしたからね~」と思わずつぶやいてしまった。
速報の内容は、讀賣新聞の主筆である渡辺恒雄氏の訃報だ。
色々なコトが言われているが、一応発行部数日本一と言われる讀賣新聞社及びグループ会社のトップだった、ということになる。

子の訃報を聞いた時、頭に浮かんだことは「これで日本のプロ野球、セリーグが変わるのかな?」ということだった。
野球ファンではない私ですら、プロ野球のセリーグにおける「読売ジャイアンツ」偏重ということを実感しているほど、セリーグは読売ジャイアンツという球団が支えているのでは?と、感じている。
もちろん、関西であれば「阪神」、広島であれば「広島カープ」と、地元で根強い人気球団はある。
ただ名古屋に関していうなら、コアな中日ファンはいるものの、隠れジャイアンツファンも多い、という事実がある。
なぜなのか?と考えると、やはり圧倒的に「ジャイアンツ戦」のテレビ中継が多いからだろう。

この「ジャイアンツ中心のテレビ中継」が、読売ジャイアンツというチームのイメージつくりに大きく影響したのは、間違いないと思う。
特に昭和30年代後半から昭和40年代は「長嶋・王」という、当時の野球界に2大スター選手が在籍し、セリーグだけではなくプロ野球のトップオブトップのような存在であったことも、大きな要因だろう。
このようなスター選手が在籍することで、対戦相手のチームにプレッシャーを与えられる事が優位にはたらき?ジャイアンツはV9という、9年連続日本一に輝いている。
一言でいうなら、長い間日本のプロ野球は読売ジャイアンツを中心に動いてきた、ということなのだ。
だからこそ、ドラフトで逆指名として、ジャイアンツの名前を上げる選手たちも多かったのだ。

そのようなジャイアンツ人気に陰りが起き始めたのは、やはりサッカーのJ‐リーグの影響かもしれない。
読売ジャイアンツの他、読売サッカークラブ(現・ヴェルディ川崎)を持っており、J‐リーグのチェアマン・川淵三郎氏が「地域名をチーム名に付ける」という方針に大反対をするだけではなく、現在のJ1のチーム数が増えること、開催方法などでも反対し続けたからだ。
渡辺氏は、サッカーというスポーツのことを良く知らないどころか、野球というスポーツについても、どれだけ理解があったのかは、未だに不明な部分がある(と言われるゆえんである)。
渡辺氏にとって、野球もサッカーも新聞社の宣伝の一環であり、試合に勝てば新聞の売り上げが伸びる、と考えていたようだった。

新聞社の主筆とはいえ、プロスポーツ界にこれだけの発言力が持てたのには、それなりの理由がある。
それは渡辺氏が、正力松太郎氏の後継者であった、ということだろう。
正力松太郎氏は政界にも影響力を持ち、戦後の自民党の大物議員たちと懇意な関係にあった。
表沙汰にしなくても、暗黙の了解のようにその関係は知られていたし、そのことで盾を突くような人物もいなかった。
そのコネクションをそっくりそのまま引き継いだのが、渡辺氏だったのだ。

そう考えると、テレビ中継などを管轄する現在の総務省などにも睨みを利かせることなど、たやすいことだっただろう。
結果、プロ野球中継は対ジャイアンツ戦ばかりになっていったのもわかる気がする。
そのような巨大な影響力を持っていた、渡辺氏がこの世を去ったことで、プロ野球のセリーグはどのようになっていくのだろう?
かつてのような「ジャイアンツ一強」という時代ではない、ということ。
何より、スポーツ中継の中心がテレビ中継からDAZNなどへ移行していることなどを考えると、渡辺氏が考えていた「スポーツは新聞を売るための宣伝の一つ」という、考えは既に終わっているのだと思う。
果たして、来シーズン以降のセリーグ(の地上波中継)は、どのように変わるのだろうか?