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「クールジャパン」って、何だろう?‐増え続ける赤字事業‐

2022-06-21 22:13:29 | ビジネス

昨夜だったと思うのだが、ネットニュースに「クールジャパン機構、統廃合も念頭に」という趣旨の記事があった。
WWDJapan:官民ファンドのクールジャパン機構が見直し検討 スパイバーや寧波阪急に出資

経済紙や一般紙でも同様の報道があったのだが、会員記事扱いとなっていたため比較的多くの内容が読めるWWDJapanの記事を紹介させていただいたのだが、もともと「クールジャパン」って何だろう?という、疑問がわいてきた。

累積損失が309億円となると、一般民間企業であれば倒産になっていても、おかしくはないほどの金額だと思う。
官民ファンドだからこそ、これほどまでの累積損失を出しても、機構として維持することができたのでは?という気がしている。
逆に言えば、それだけ「投資先」に対して、精査をしてこなかったということになるのかもしれない。
というのも、投資先の一部は日本の企業が現地でつくった合弁企業だからだ。
そのため、投資先としての「読みが甘かった」ということは、十分考えられる。

何故、国内の「クールジャパン」として挙げられていた、漫画やアニメーション等の企業に投資をされず、海外の合弁企業に投資されたのか?ということが疑問なのだ。
だからこそ「クールジャパン」とは何だったのか?ということを、キチンと考える必要があると思ったのだ。

「クールジャパン」という言葉が使われるようになったのは、おそらく漫画やアニメ等が海外で人気になっている、ということが言われるようになった頃から使われ始めたような記憶がある。
確かに、日本の漫画やアニメ等は、海外、特に米国のスタイルとは大きく違う。
米国の漫画と言えば「cartoon(カートゥーン)」と呼ばれる、子供向けの漫画やアニメーションや、「スパイダーマン」や「スーパーマン」に代表されるような、日本でいうなら「劇画漫画」のようなものが主流だった(と思う)。

それに比べ、日本の漫画は「少年漫画・少女漫画(最近では「BL(=Boys' Love) 」分野も人気だと聞く)」と呼ばれるように、絵のタッチはもちろんだが話の展開も諸外国から見れば、異質なものが多かった。
その「異質さ」に、諸外国の若者たちの心をつかんだのだ。
サッカー漫画として世界的に有名な「キャプテン翼」等は、この漫画を見て育った選手が、世界のトップ選手として活躍している。
それほど、様々な分野で影響を与えてきたのが、日本の漫画やアニメであり、それらを諸外国の人たちは「Cool(=カッコイイ!)」と、呼んでいたのだ。

そのような素晴らしい「コンテンツ産業」を、経済のテコ入れにしようと誕生したのが「クールジャパン機構」だったのでは?
それがいつの頃からか、海外で展開している日本企業と現地の合弁会社設立の資金調達に使われるようになってしまったのだ。
WWDの記事にあるように、その一つが海外でファッション産業を育てる為に、合弁会社を立ち上げたりしたことが、「クールジャパン機構」が迷走するきっかけとなってのでは?という気がしている。

もちろん、日本のファッション産業そのものが「Cool(=カッコイイ)ではない」と言っているのではない。
日本のファッションデザインそのものは、海外で注目されていることは事実だし、若い日本人デザイナーが海外の有名ファッションブランドのデザインチームの一員として活躍している、という場合も多くなってきている(といわれている)。
「東京の原宿が大好き」と公言する、有名ミュージシャンもいる。

とすれば、「クールジャパン機構」が投資すべきところは、海外から注目されている「日本文化」に対する投資だったのではないだろうか?
「クールジャパン機構」が設立された時には、既にスマホが普及し始めていた。
ということは、日本国内から世界へ情報を発信することが、十分可能な状況だったはずなのだ。
何故、その時の状況判断ができなかったのか?
「投資先」が何故、中国に拠点を置く合弁会社だったのか?
累積損失が309億円の理由に「コロナ禍」を持ちだす前に、説明すべき点が多いのでは?
少なくとも「クールジャパン」と名乗っておきながら、まったく「Cool(=カッコイイ)じゃない」と、思うのだ。





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