今日、トヨタ自動車の豊田章夫会長が、相次ぐグループ企業の不正問題に対して、記者会見を行った。
この会見の中で、豊田章夫会長は「トヨタのことで手一杯だった」という趣旨の発言をされたようだ。
朝日新聞:「トヨタだけで精一杯だった」豊田章夫会長、グループの不正陳謝
同じ記者会見の模様を、毎日新聞は違った切り口の記事を掲載している。
毎日新聞:トヨタ会長、相次ぐ品質不正を陳謝「創業の原点見失っている」
今回の品質不正問題で、ダイハツや日野自動車と豊田自動織機とは別に考える必要があると思う。
何故なら、豊田自動織機こそが「トヨタ自動車」の始まりとなる企業だからだ。
今では「トヨタ自動車」の方が企業、収益等、遥かに豊田自動織機を上回るほどに成長したが、元々は豊田自動織機を創業した、豊田佐吉氏の息子である豊田喜一郎氏がそれまで自動織機内にあった自動車部門を独立させたのが、始まりだから。
それに対して、ダイハツや日野自動車等は元々別企業をして創業し、資金援助等を経てトヨタグループの一企業となっている。
今日の記者会見で豊田章夫会長が話した「創業の原点を見失っている」という言葉は、今回の品質不正問題における豊田自動織機には当てはまる言葉ではあるが、ダイハツや日野自動車には当てはまらない言葉だと言えるからだ。
それに対してダイハツや日野自動車は、豊田章夫会長になってから、トヨタ自動車は国内のトラック等の輸送用車両の日野自動車やいすゞ自動車と言った、企業を次々にグループ傘下へとおさめ、軽自動車等の強みを持っていたダイハツを資金援助を通して、グループ企業をしていった、という印象を持っている。
言葉が悪いのだが、トヨタ自動車が日本国内における「自動車市場の寡占化を図っている」ようにも見えたのだった。
ダイハツや日野自動車は、元々別の企業をして創業・市場を獲得していたこともあり、「それぞれの企業文化」のようなモノがあったはずなのだ。
そこに「トヨタ方式」と呼ばれる、生産効率を強く求める「企業文化」が、殴りこんできたとすれば、それなりの軋轢のようなモノがあったはずだし、それを切っ掛けに見切りをつけた社員もいたのでは?と、想像している。
特に技術系職でそのようなことが起きていたとすれば、今回の品質不正問題は、起きて当然だったのでは?と、言えるのではないだろうか?
あくまでも個人的な考えなのだが、「トヨタ方式」と呼ばれる「乾いた雑巾を絞って、利益を出す」というような、考えは既に時代遅れなのでは?と思っている。
何故なら、このような考え方の流れの一つに、製造部品在庫を下請け・孫請けにもたせ実際の製造過程では必要最低限の納入をさせる、という考えがあるからだ。
製造過程において、部品等の在庫を持たないことで、メーカー側は在庫管理等の手間とコストを抑えることができる。しかし、その部品在庫は下請け・孫請け・曾孫請けが常時持つことになる。
下請け以下の経営に関しては、トヨタ自動車は関与しない為、トヨタ自動車そのものの収益増につながるが、下請けや孫請け曾孫請けの経営はどうなのだろうか?
奇しくも、今日豊田章夫会長は「ステークホルダー」という言葉を使い、謝罪をした。
「ステークホルダー」とは、株主や顧客だけのことを指しているわけではない。
企業を取り巻く全ての関係者のことを指している。
とすれば、今後トヨタ自動車が考えていかなくてはいけないのは、これまで知らん顔をしてきた下請け・孫請け・曾孫請けにも、どう接していくのか?
そこから考えなくては、「品質不正」という問題の解決にはつながらないような気がするのだ。
最新の画像[もっと見る]