日々是マーケティング

女性マーケターから見た日々の出来事

○・×だけの議論の前に・・・

2011-11-05 21:41:22 | ビジネス
TPP参加是非への動きが、活発になってきた。
新聞などにも反対派と思われる側から、「TPPに参加すると、日本の農業はダメになる」と言った論調が目立つ。
その多くは「日本の自給率が下がる」というコトを根拠にした、試算のように見える。
「自給率」については、カロリーベースでの試算では現実的ではない、という指摘が以前からあった。
実際、「週に1回しか卵が食べられなくなる」と言っても、多くの鶏卵は国内で生産されていて、価格の問題は別にして、スーパーなどの店頭から鶏卵がなくなる、というわけではない。
牛乳なども同様で、問題となるのは「飼料の輸入」という点。
それがTPP参加すると、どうなるのか?という具体的な話という意見広告などは、見たことが無い。

同様に、TPP参加推進派にしても、参加をするメリットとデメリットの説明というモノが、ほとんどされていない印象がある。
こちらの意見は「グローバル化に対応」というコトの様だ。
しかし、今の経済そのものは「グローバル化されてしまった状態」で、当然のことながら「グローバル化に対応」せざる得ない状況の中で、様々な業種が知恵を凝らして「対応真っ最中」のはずだ。
その中には、「TPP反対」の中心となっているはずの農業関係者もいる。

この「TPP参加の是非」を見ていると、最初から「○か×か」というコトばかりを世間に問うばかりで、「○か×か」の判断材料となるモノの提示がほとんどないような気がする。
この問題が、生活者レベルで盛り上がらないのは、その点なのではないだろうか?
「飼料の輸入」で国内の農家さんたちが、大打撃を受けるほどの飼料生産をしているのか?とか、そもそも日本で飼料を作らない理由は何か?という、もっと根本的な問題を含め、今の農業の問題をもっとわかりやすく伝える必要があるのでは?

なぜなら、鶏卵一つ取ってみても「価格ではなく、国内産の有機飼料の鶏卵が欲しい」という生活者だっているはずだし、その数は決して少なくないと思う。
そのような視点で考えれば、TPPを切り口に日本の農業の実態と将来像を、生活者を巻き込んで考えるというチャンスだと思うし、それは他の産業についても同じなのでは?

確かに「○か×か」という問いは、シンプルでわかりやすい。
わかりやすいというよりも、選択肢が無さ過ぎて選ぶ基準の中に「熟考する」という要素がなくなってしまう。
この手法で小泉さんは成功したわけだが、その手法には様々な問題があるのでは?という認識を多くの生活者は既に持ってしまっている。
だからこそ「○か×か」を問う前に、その議論の材料となるモノを示しながら、「どう考えますか?」という問いかけが必要なのでは?

今週、新聞に掲載された「TPP反対」の広告を見ながら、そんなことを考えた週末だ。

「ワンピース」現象?

2011-11-04 20:15:44 | トレンド
今日の新聞のWEBサイトをチェックしていていると、同じ言葉が登場した。
それが「ワンピース、初版最高部数」という言葉。
「ワンピース」といっても、女性の服のことではない。
漫画の「ワンピース」のことだ。

拙ブログにこられる方のうち、どれくらいの方が「ワンピース」の愛読者なのかはわからない。
その実、私などは随分前にアニメ放送されているのを、ほんの数回見た程度。
内容そのものを知っているとはいえない。
ただ、この「ワンピース」の派生商品というか、ノベルティーグッズなどはこの夏あたりから急激に増えたような気がしていた。
例えば、この夏ケンタッキーフライドチキンが行った「キャンペーン」
ケンタッキーフライドチキン自体、これまであまりこのようなジョイントキャンペーンを実施した記憶が無かった私としては、このキャンペーン自体少し驚いていた。
ただその時は、キャンペーン期間がちょうど夏休みでお盆近かったこともあり、「ワンピースの読者である子供~若年層+ファミリー層に対する、キャンペーン」という程度に思っていた(個人的には、シャーベットが作れるボトルが欲しいと思ったりもした・笑)。

そんな感覚を覆した(というほどではないが)のが、「ワンピース」の話を基に、ビジネスについて書かれた新書が店頭に平積みされた時だった。
漫画「ワンピース」自体は、海賊仲間との冒険旅だったと思うのだが、それがどのようにビジネスと関係しているのだろう?
実際、読んでみたい!とは思わないのだが、おそらくこれまでのような「組織論」や「マネジメント論」とは違う、何かがあるのでは?と、思っている。
何よりこれらの本の帯を見ると「仲間」という言葉が、頻繁に登場している。

あくまでも本の内容の想像なのだが、おそらく一時期頻繁に言われた「自己責任」に対する反省と、東日本大震災以降多くの日本人が感じた「共感性」というコトのように思う。
「共感性」というのは、漫画「ワンピース」に対する共感性というコトではなく、仲間としての共通認識の目的の上にある共感性や一つの目標に向かう気持ちといったことだ。

もし、そのような内容であれば、それはこれまで何度もビジネス本に書かれた内容と大差は無い。
ただそこに、漫画「ワンピース」という媒体が加わることで、よりわかりやすく、それこそ「共感」できる、というコトなのではないだろうか?

これまで、ヒット漫画というのは数多くあった。
「ワンピース」が他のヒット漫画と違うとすれば、とても個性的な集団が互いに助け合い、一つの目標に向かって力を合わせる、という具体的な表現がされているからなのでは?と、想像している。

時代とともに税も見直す

2011-11-03 20:56:57 | アラカルト
今日、ラジオを聞きながら仕事をしていた。
その時、「自動車取得税と自動車重量税の見直しを、愛知・三重・静岡の中部県をはじめとする6県の知事が、申し入れ」という内容のローカルニュースがあった。

私は自動車免許すら持っていないので、自動車に関する税についての知識はほとんど無い。
ただ、車を持っている友人たちからは「自動車取得税とかは、今の時代にそぐわない気がする」と聞いたことがある。
確かに、一般生活者が「自動車を購入する」コト自体がとても珍しく、経済的に相当裕福な人たちに限定されていた時代であれば、そのような「取得税」があっても良かったかも知れない。
しかし今のように、「自動車を購入すること」が特別なことではなく、むしろ生活の必需品となってしまったのなら、見直す時期に来ているのかも知れない。

それだけではなく、自動車を購入との「合わせ技」のような税が「自動車重量税」だろう。
なぜなら、購入する車はそれなりの重量があるからだ。
たとえ税金の安い軽自動車であっても、重量0ではない。
「税金の二重取り」という印象を持つ人がいても、おかしくは無い。

この申し入れをした6県の知事さんたちの県には、トヨタ・日産・ホンダという自動車メーカーの工場や会社がある。
当然、自動車を所有している人も多いのだが、それよりも国内販売が低迷しつつある状況の打開策のほうが県の税収メリットが高い、という判断。
その理由は、この2つの税がなくなることで、車離れが激しいといわれる若年層が購入しやすくなる環境を作り、それが自動車産業全体の活性化になれば、新たな雇用も生まれ、所得税や法人税などの税収が上がるのでは?という思惑のようだ。

若年層の「クルマ離れ」は決してそれだけではないと思うのだが、「購入しやすい環境づくり」にはなるだろう。
何より、40年以上前の税法がいまだに生きている、というコト自体「・・・」な気がする。
法律の中には、明治の頃のものがいまだに使われていたり、経済関係は高度成長期のままだったりしている場合が多い。
もう少し、柔軟な法律の運営があっても良いのでは?と、感じることもしばしばある。
何より、インターネットなどが無かった時代の法律で、今を考えるには無理がありすぎる。

自動車取得税や重量税などを廃止する前に、その内容から見直す必要があるのでは?
何より国民の生活のために、法律があるのだから。

今年のヒット商品と経済成長

2011-11-02 19:45:17 | トレンド
11月に入り、「今年のヒット商品」などの発表が相次ぐようにな季節になった。
今日は、「日経トレンディ」の「今年のヒット商品」の発表があったようだ。
それを見てみると、1位「スマートフォン」、2位「FaceBook」と、いわゆるネット関連の商品・サービスが上位にきている。
確かに、私の周囲を見ても「スマートフォン」所有率は高く、持っていないほうが肩身が狭い感がある。
当然のことながら、スマートフォン所有者の多くはFaceBookもやっている。
イメージ的にはFaceBookをするなら、スマートフォンは必須、という感じすらしている。
スマートフォンを持たず、FaceBookのアカウントは取得したが使いきれていない私などは、時代から取り残されている感すらある。

このベスト10に選ばれた商品を見てみると、「価格以上の価値」といわれる商品(「GOPAN」)があったり、半ば政府の思惑の商品(頭痛薬「ロキソニンS」)、新しい韓流アイドルをつくった(?)「マッコリ(テレビCMに起用されたのは、今韓流ファンのマダムの間で人気のチャン・グンソクさん。日本での愛称「グンちゃん」)」など、バラエティに富んでいるといえる。

しかし、スマートフォンなどは別にして、確かにヒット商品だが「社会全体を大きく変えた」というほどのヒットは無かったような印象がある。
確かに「GOPAN」などは、生産予定台数を予約時点で大きく超え、一時期家電量販店の売り場には「次回の予約開始のご案内」があった。
それほどのヒット商品ではあるが、「一家に一台」というほどではない。
いわゆる「高度成長期」のような、ヒット商品は生まれない時代だとというコト。

なぜこのような話をするのか?というと、「一家に一台」というようなヒット商品が生まれないほど日本の市場は成熟し、生活者がそれぞれのライフスタイルや価値観にあった商品・サービスを選ぶことが当たり前になってきている。
にもかかわらず、「経済成長」に関しては、「右肩上がり」を信じているという、変な思考がある、というコトなのだ。

確かに毎年話題になり、ヒット商品(やサービス)が登場する。
それだけを見れば、なんとなく「活気ある経済」という錯覚も起きそうになるが、経済発展目覚しい国々とはまったく違う消費行動の上での「ヒット商品やサービス」だということを忘れてはいけないのでは?
単純に「直感商品がヒットした」と、言い切れるほど単純ではないと感じるのだ。