森氏の発言は海外メディアから、相当な反発を招き謝罪記者会見となったはずだが、ご存じの通り「謝罪にならない謝罪記者会見」となり、火に油を注ぐという結果になってしまった。
にもかかわらず、森氏本人はそのコトが理解できていないようだ。
理解できていないのは、何も森氏だけではなくJOCの主要理事も与党の偉い人達も同様だったようだ。
だからこそ、二階氏のような発言が出てくるのだと思う。
産経新聞:自民・二階氏「撤回したからいいのでは」森氏を擁護
だからと言って、森氏の「女性に対する差別的発言」に対しての批判が収まった訳ではなく、逆にオリンピックのボランティアの人たちが約390名辞退する、という状況になってしまっている。
このボランティア辞退についても二階氏は、「大したことではない」と考えていらっしゃるようで、「一時の気の迷い」のような発言をしている。
東京新聞:二階幹事長 森会長の女性蔑視発言は「そんなこと」五輪ボランティア辞退で
二階氏にしても森氏にしても、ボランティア活動に参加する人達の気持ちや考えなどを、理解してはいないだろう。
個人的な話で申しわけないのだが、2002年のFIFAサッカーW杯が開催された時、ベースキャンプボランティアとして参加した経験から言うと、ボランティア活動そのものは「手弁当」で、交通費や日当などが支給される訳ではない。
支給される場合でも、ほんの「心付け」程度のモノで、ボランティアに登録した人達の多くは「この大会に携わりたい」とか「スポーツそのものが好き」という、損得勘定の無い理由で参加・登録をしている。
そのような「志を持った人たちが、相次いで辞退をしている」ことが、森氏や二階氏の発言に影響されたとすれば「トップがそのような考えであれば、参加する意義は無い」と考えての辞退だと、考えてよいと思う。
2020東京オリンピックの登録ボランティアは8万人ということなので、約400名の辞退者であればそれほど影響力は無い、と考えているようだが、8万人のボランティアは昨年7月の開会式に向け、既に活動場所や活動内容が決まっていて、そのための研修などを何度も繰り返し行ってきたはずだ。
場合によっては、ボランティアの活動日などのスケジュールも、決まっていたかもしれない。
二階氏が言うように、簡単に再募集をして補充したり協賛企業から社員派遣をしてもらって、すぐにできる訳ではないのだ。
もう一つ言うと、スポーツボランティアに限らず、様々なボランティア活動の中心となっているのは、女性であるということもご存じないのだろう。
上述したW杯のベースキャンプボランティアですら、6:4位の割合で女性のほうが多かった。
ボランティア活動の中心となる女性たちが、辞退やボイコットをすれば、それはボランティア組織として活動することが、難しくなるということでもあるのだ。
そのような現場での準備状況やボランティア参加者の思いなども理解せずに、このような発言を繰り返すということは組織のトップとしてどうなのだろう?
森氏にしても二階氏にしても、今後の国政選挙に出馬する意思はあるだろう。
その時、私たち選挙民は「自分にとっての利をもたらす人」ではなく、「本当に手弁当で支援をしたい人物なのか?」ということを、自分自身で考え・投票することが必要だろう。
自治体レベルでの選挙を含め、これまでの選挙は「自分にとって就職などの口利きをしてくれそうな人」等の利益を考えて、投票してきた結果が今のような状況であるとすれば、改めて選挙民として「手弁当で支援したい人物」を選ばなくては、このような時代錯誤のような発言をし、世界から批判されても、批判される理由が分からない、という人を政治家として育ててしまうことになってしまう、ということを改めて示しているのかもしれない。