日々是マーケティング

女性マーケターから見た日々の出来事

森喜朗氏の発言は、誰もが持っている「潜在的差別意識」なのかもしれない

2021-02-05 19:34:24 | 徒然

オリンピック組織委員の会長をしている森喜朗氏が、「女性が多い会議は、時間がかかる」という発言をし、問題となっている。
この発言に対し、昨夜森氏自身が「謝罪会見」を行ったが、その内容が「全く謝罪になっていない」と、再び問題になっている。

これまでの森氏の話題になってきた発言には、いわゆる「暴言。放言」と言われる内容のモノが多い。
「学習能力に問題がある」と言ってしまえばそれまでだが、このようなことを知っている人たちからすれば、「またか~。ヤレヤレ、懲りない人だな~」という印象しかなったと思う。
実際私も「懲りない人だな~」という印象しかなかった。
だからこそ、森氏の元同僚である閣僚たちはこの発言に対して積極的な反応を示さないのだ。
毎日新聞:森喜朗氏の女性蔑視発言、閣僚から辞任を求める声なし

もちろん、開催予定(あくまでも予定)まであと半年を切ったような状況で、組織委員の会長を辞任させるリスクということもあるだろうが、肝心要の主要組織委員や閣僚などから、苦言を呈すような発言などが無いことを考えると「またか、ヤレヤレ」程度の認識なのだと思う。
世界でどのように報じられ、日本のオリンピック組織委員がどのようにみられているのか?とか、日本の社会がどのようにみられているのか?という、視点も考えも全く持ってはいないはずだ。
むしろ、自民党の中には「これは日本国内のことだから、海外から色々言われたくない!」と思っている方々も、いらっしゃるのではないだろうか?

ただ、森氏の発言は特別なことなのだろうか?と考えた時、女性ジャーナリストが記者会見場で官房長官や総理大臣、閣僚に、厳しい質問、ある意味問題の核心に迫るような発言をした時、質問をされた官房長官や総理大臣、閣僚たちのあからさまな「嫌な女だな~」という表情を見たことはあると思う。
それ以外でも、このようなニュースが報じられるとヤフコメなどでは、辛辣な批判のコメントが並ぶことが多い。
これが、男性ジャーナリストだったら「よくやった!」と言われるのでは?という気がしながら、見ることが多々とある。
これがおそらく、今の日本の潜在的社会意識であり、潜在的差別意識なのでは?ということなのだ。

そして森氏の「会議に時間がかかる」という発言は、日本の株主総会の姿と、重ね合わせられるように感じている。
「モノ言う株主」と言われた村上ファンドの村上氏などが登場した時、「株主総会を混乱させている人物」のような書かれ方をされたコトがあった。
何故なら、事前に用意された「想定質問」には無い質問を、株主として発言をすることが多かったからだ。
おそらく今でも日本の株主総会の理想は「株主の声を聞く」ことではなく、「予定通りに進められ、短い時間で終了する『シャンシャン総会』」なのでは?と、思っている。
事実、株主総会について新聞などで報道されるとき、決まって総会の時間が掲載される。
それが個人株主が増え、企業についての新聞報道などが増えてくると、個人株主自身が積極的に質問や疑問を呈するようになってくる。
当然、想定質問の中には無い質問内容なので、時間もかかるようになる。
それがあたかも、「株主総会の運営が下手である」かのような書かれ方が、実に多いのだ。

「自分と違う意見を聞き・考え、答えはでなくとも、より良い方法を考える」ということが、民主主義の第一歩のはずだが、どこかで「より良い方法を考える」という時間を省き、発言力の強い人の意見に従うことを、潜在的に選んでいるのではないだろうか?

「時間がかかる」のは、当たり前のことだ。
自分とは違う意見を持っている人がいる、ということも当然のことだ。
それが、同性であれば納得できることであっても、異質な存在である異性や外国の人ということになれば、「アウトサイダーが何を言う!」という、反応を示してしまう。
森氏の発言は許されるものではないが、それは森氏だけの問題ではなく私たち自身の潜在的問題のような気がする。