日々是マーケティング

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「インバウンド」という機会を失った結果の大バーゲン?

2021-02-19 20:22:53 | ビジネス

facebookには、様々な広告が表示される。
今日、自分のFacebookを見ていたら、やたらと百貨店のバーゲンの広告が目に付いた。
「そごう」や「髙島屋」、「大丸」といった百貨店のバーゲン広告。
しかも、海外の有名ブランドが撤退するための「在庫一掃セール」という内容だ。
よくよく見ると「免税」という文字がある。
どうやら、中国などからの爆買い観光客をあてにしていた百貨店が、「新型コロナ」の感染拡大により来店・購入者の回復が見込まれずに、撤退するためのバーゲンのようだ。

facebookで広告しているのも、このご時世のため「オンライン購入」に限る、というわけだ。
「オンライン」であれば、百貨店の店舗がある地域に広告を出す必要もないし、何より「3密」を避けるためには「オンライン」での販売、ということになるだろう。
セール期間は3日間という、短さもブランドイメージを大きく崩さないための、配慮かもしれない。

昨年の「新型コロナ」の感染拡大により、小売業の多くが打撃を受けているというのは、ご存じの通りだ。
飲食店やエンターティメント業など、小売業よりも打撃を受けている業種はあるが、百貨店をはじめとする小売業の場合、単なる「新型コロナ」の感染拡大が、海外の有名ブランドの撤退や撤退の為のバーゲンが理由ではない。
その前から、百貨店の売上はバブル経済の頃と比べ、落ち込み方が酷かった。
いつの頃からか、百貨店は「場所貸し業」となってしまい、本気で「モノ・コトを売る」という業態ではなくなっていた。
百貨店そのものが「小売り」という業態ではなくなっていた、ということだと思う。

「場所貸し業」となってからの百貨店の売上の中心となったのは、海外の有名ファッションブランドからの賃貸料だったのかもしれない。
そして中国などからの富裕層が日本で「爆買い」と呼ばれるような、買い物を百貨店でするようになると、百貨店の多くは「爆買いをする外国人観光客」を、顧客層として見るようになっていったような気がしている。
政府も「インバウンド」という名称で、アジアの富裕層と言ってもその多くは中国からなのだが、観光誘致に積極的になっていった。
昨年の今頃は「新型コロナ」の感染拡大が懸念される中、「春節インバウンド」を期待するような対応が、世間から批難を浴びるようになったことは、記憶にある方も多いだろう。

その後の日本国内での「新型コロナ」の感染拡大により、昨年の春から初夏にかけては百貨店を含む小売業の多くは、一斉休業に追い込まれた。
「インバウンド」どころの話ではなく、それまで百貨店で買い物をしていた日本人ですら、百貨店での買い物ができない、という事態になったのだ。
一時期的に好転したかのように思えた「新型コロナ」の感染拡大だったが、「Go Toキャンペーン」の開始と共に、今度はそれまで感染者数が少なかった地域にまで飛び火し、「全国規模」の感染拡大となってしまった。
結果として「インバウンド」どころか、国内での人の移動すら難しい状況になってしまった、というのが現状だろう。

今回の海外有名ブランドのバーゲンセールを見ていて感じることは、「百貨店の顧客は誰だったのか?」という点だ。
確かに「インバウンド」で「爆買い」をする中国人観光客は、魅力的だっただろう。
それは見方を変えると「顧客」ではなく、「一過性の買い物客」でしかない。
一時に落ちるお金は大きくても、ただただ過ぎ去るだけの客を、あてにし過ぎていた結果なのではないだろうか?

百貨店に限らず、「インバウンド=一過性の買い物客」という視点で見れば、自分たちの顧客となるべき人達は、別にいるということになるはずだ。
facebookに表示される百貨店の海外有名ブランドのバーゲン広告を見ながら、「顧客とは?」という当たり前のことを考え直すことが重要なのだ、と気づかされた気がしている。