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地方からの反旗、東京はどう考えるのか?

2021-02-17 19:28:45 | スポーツ

今朝Yahoo!のトピックスに「島根県知事、聖火リレー中止を検討」という、見出しが出た。
毎日新聞:島根県知事が聖火リレーの中止検討 政府や東京都のコロナ対策に不信

何となくだが、地方の中でも人口そのものが少なく、人口構成も高齢者が多い自治体などでは「新型コロナ対策」が最優先で、オリンピックの聖火ランナーの為の予算を「新型コロナ対策」に回したい位だろう。
まして「東京オリンピック」という名の通り、オリンピックは「都市開催」であって、国開催ではない。
自治体として、メリットが感じられないイベントに付き合わされる感が、あっても当然かもしれない。

確かに1964年の時は、日本そのものが高度成長期の時で、日本全体が「戦後からの復興」という大きな目標に向かう社会的雰囲気があった。
実際、新幹線や高速道路などが整備され、人・物の移動が大きく変った時代でもあった。

ところが今回の「2020東京オリンピック」は、「東日本大震災からの復興」と位置付ける方もいらっしゃったが、被災地の復興が進んでいるのか?と言えば、オリンピック開催の為に人をとられ進んでいる、とは言い難い地域もある、と聞く。
何より、拙ブログでも何度か指摘させていただいている通り、「福島第一原子力発電所事故」は10年経過しようとしている今でも、排水処理の問題や焼け落ちたウラン材料など、ほとんど手つかずの状態、と言っても過言ではないと思う。
誘致の時点で、そのような状況が十分考えられたにもかかわらず、誘致の際「コントロール下にある」と大見えを切ったのだ。
このような状況で「東日本大震災からの復興オリンピック」と言って良いのか?という、疑問がわいてきても当然だろう。

このような要因がありながら、つい先日にはオリンピックの総責任者ともいえる森さんが、辞任した。
世界各国からの批難の嵐では、辞任せざる得なかったとは思うのだが、その後のドタバタ劇を見ても、「火中の栗を拾う」覚悟を持っている人材が、東京オリンピック関係者にいるとは思えない。

政府が打ち出した「新型コロナ対策」にしても、今日やっと医療者を対象にワクチン接種が始まったばかりだ。
島根県下を走る聖火ランナーが、ワクチン接種できるようになるまでのロードマップも見えない状態では、不安が増すばかりだろう。
当然聖火ランナーが走るとなれば、人は集まってくるだろう。
累計でも300人にも満たず死亡者も出ていない島根県としては、何とか今の状態を保って「新型コロナ」を乗り切りたい、という気持ちもあるだろう。
まして、島根県のように県財政そのものが豊かとは言い難い自治体で、9000万円の負担は余りにも多すぎる。

「2020東京オリンピック」の開催でインバウンドが期待できるのは、東京周辺の地域に限られるコトを考えれば、東京から離れた地域になればなるほど、「負担ばかりでメリットが無い」と感じられるようになっても仕方ないかもしれない。

「島根県はオリンピックに協力的ではない」と見る向きもあるが、上述したようにオリンピックは「都市開催」であって「国開催」ではない。
地方にメリットが無いばかりか、リスクを負ってまでオリンピック開催を喜べる財政も気持ちも無くなり始めているのは、島根県だけではないと思うのだ。