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「新型コロナ」対策に、懲罰的な法を適用するというのは、どうなのか?

2021-02-04 11:25:21 | アラカルト

「新型コロナ」に対する、改正特措法が国会で成立した。
その内容の一部は、飲食店などの時短要請を拒否、感染陽性者が入院を拒否した時には「過料」する、という内容だ。
日経新聞:新型コロナ時短・入院の拒否に「過料」改正特措法など成立

飲食店などでクラスターが発生すると、ニュースとして大々的に取り上げられる傾向が強いが、今は家庭内や職場、高齢者福祉施設のような場所での感染が、増えているという指摘がされている。
そのような現実を見ないまま、飲食店をターゲットにする、というのはいかがなものだろう。
既に多くの飲食店は、1回目の「緊急事態宣言」で閉店を余儀なくされたところも多い。
「持ち帰り」等で何とかつないでいた飲食店側としては、「何故?」という気持ちだろう。

そして「入院の拒否」に対する過料という点も、解せない。
今の状況は「医療崩壊」と言われており、入院したくてもできずに「自宅療養」をしている、という感染陽性者の方が数多くいるからだ。
受入れ先病院が見つからず、自宅に送り返されたという患者さんもいた、という報道もあった。
このような状況で「入院拒否に対する過料」というのは、なんとも的外れのような気がするのは、私だけではないと思う。

それよりも気になるのは、「新型コロナ」の感染拡大が深刻化した頃から問題になり始めている「女性の自殺者の増加」だ。
先日も「職場や家族に迷惑がかかる」という理由で、30代の女性が自死されたというニュースがあったばかりだ。
女性の場合、非正規雇用者が多くその職場の多くが、今回の「新型コロナ」によって打撃を受けた飲食業や小売・サービス業についている。
非正規であるために、このような状況になれば真っ先に解雇対象となってしまう。

雇用の不安と「社会に迷惑をかけた」という理由で、自死を選ぶ女性が増えている、というのは日本独特の社会風土によるところが大きいのでは?と、考えている。
日本独特の社会的雰囲気の一つが、「他者から視線を気にしやすい」というところがあると感じている。
それが「感染症」等と結びつくとどのようなことになるのか?と言えば、ハンセン病患者を隔離するための法律「癇(らい)予防に関する法」や不良な子孫を断種させることを目的とした「旧優生保護法」のような、国が作る差別を生むことになる。

「社会に迷惑をかけた」という理由で自死された女性が恐れていたのは、このような「他者からの差別を含んだ視線」に耐えられなかったのではないだろうか?
このような「他者からの差別を含んだ視線」に対して、敏感な人たちにとって「新型コロナ」に感染することはもちろん、生活保護を受けるなどは耐えられないことなのだ。

このような社会風土的なことを勘案した上での「過料」という発想ということなのかもしれないのだが、現実の問題として「医療崩壊」が進み、入院どころかPCR検査にまでたどり着けずに亡くなり、その後「新型コロナに感染していた」ということが判明するケースが増えている状況なのだ。

このような状況を考えれば、政府として行うべきことは「医療体制を整える」ということと、「感染陽性者」や「医療者」に対する偏見に対する何らかの対策ではないだろうか?
連日発表される「感染陽性者数」や「重症者数」、「死亡者数」等を見ると、どこか不自然な数字だと感じることが多くなってきた。
その的外れな法改正よりも先に、行うべきことがあるのではないだろうか?