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「行動変容」の一つかもしれない‐ファストファッションから新しいファッション志向ー

2021-02-24 19:54:41 | ビジネス

Huffpostに、ファストファッションへのアンチテーゼのような記事があった。
Huffpost :「毎年買って、毎年捨てる」をいつまで続けますか?アパレル業界が挑む「安さ」以外の価値

先日、ユニクロとGUを展開しているファーストリテイリングが、ZARAを抜いて時価総額が上回ったという記事があった。
Bloomberg:Fリテイリが埋めた「ZARA」との差ー日経平均で放つ圧倒的存在感ー

Bloomgergの記事は、あくまでも日経平均での話であって、事業そのものではないという部分はあるのだが、業績に反映して株価も動くということを考えれば、ファーストリテイリングそのものの業績も好調である、と考えても良いと思う。
そしてファーストリテイリングそのものは、いわゆる「ファストファッション」という分野で業績を伸ばしてきたファッションメーカーでもある。

「コロナ禍」によって、既存のアパレルメーカー各社は大変厳しい状況に追い込まれている。
海外のファストファッションブランドが、2,3年前あたりから次々と日本から撤退したり、破産というニュースがあったことなどを考えると、今のファストファッションブランドは、「H&M」と「ZARA」そして「UNIQLO(とGU)」ということになるのかもしれない。
その中でもファーストリテイリングが好調というのは、ある意味「ファーストリテイリング一人勝ち」のような印象を持ってしまうのは当然だろう。

ファストファッションの魅力は何と言っても、その時の流行の服を手ごろな値段で買うことができる点だろう。
その代わり、猫の目のように移ろい変るファッションの世界では、昨年の流行した服は今年着ることに抵抗がある、という理由で捨てられる場合もある。
もっとも、生産過剰で捨てられる未着用の服(=「アパレルロス」とでもいうべきか?)ある、ということを考えると、「1年で捨てられる服」そのものが悪い訳ではないのかもしれない。

しかし、Huffpostの記事にあるように「ファッションは、流行を追わなくては!」という、思い込みから「ファッションビクティム」と呼ばれる、ファッションの奴隷となっている人たちもいるはずだ。
そのような人たちに対して、一つの疑問を呈しているということにもなるのかもしれない。
と同時に、タイトルのあるようにアパレル業界としても変革の時期に来ている、ということを示しているようにも思えるのだ。

Huffpostが取り上げた3人のデザイナーは、若手デザイナーでりファッション業界全体への影響は、まだまだだと思う。
ただそのような声を上げた若手デザイナーがいる、ということが重要なのだと思う。
何故なら、日本のファッション業界そのものが一般社会と同じように「高齢化」が、進んできているからだ。
フランス・パリで活躍する川久保玲さんや山本耀司さん、三宅一生さんなどは既に70代になっているはずだ。
次ぎの世代へとバトンタッチをしていかなくては、ブランドそのものの存続に関わる問題となってくる。
その視点で考えれば、今回の若手デザイナーの動きは、今後のファッション業界に影響を与える可能性は高い。

この動きの前から、パリコレクションをはじめとする欧州のコレクションでは「サスティナブル」が、キーワードだった。
世界のファッション業界そのものも「環境に配慮する」ということを、考えなくてはならないということになる。
もちろん、業界としては毎年新しいものを買い、古いものを捨ててもらう方が、商品などの回転率などを含む「利益」としては良いのだと思う。
しかし今のような社会状況の中では、「いかに自然との共生をするのか?捨てられないファッション。捨てても自然に帰りやすい環境づくり」ということを考えなくてはならない、ということだとすれば、ファッションの世界では既に「行動変容」の機運が生まれ始めている、ということになるのだろう。

果たしてこのような機運の中で、ユニクロはどのような戦略をたて、ファストファッションから抜け出すのだろう。