一公の将棋雑記

将棋に関する雑記です。

船戸式指導法

2010-02-06 02:09:14 | 女流棋士
LPSAの女流棋士は、マンデーレッスンや金曜サロンなどで、定期的にアマチュア棋客に将棋を教えている。女流棋士にはそれぞれ指導スタイルがあり、その違いを楽しむのも一興である。
船戸陽子女流二段はマンデーレッスンの第1期から講師を務め、その教え方には定評がある。
私はマンデーレッスンにお邪魔したことはないが、金曜サロンでは何回か指導対局を受けた。しかしその指導法は、会員の棋力で形が変わる。
たとえば初級者クラスの女性には、一手ごとに意味を説きながら、講義のように進める。下手が「勝つ喜び」を知りたいと思えば、平手であっても上手(じょうず)に負けてあげる。
これが二枚落ちの手合いで相手が男性になると、指導法も若干変わってくる。明らかな疑問手を指した場合は、「その手では、こちらがこう指してお客様のほうがわるくなってしまうので、こうならないように指し手を考えましょう」と手を戻し、正解手へと導く。
また終盤になって、どう指しても下手が勝ち、という局面では、最短の寄せを発見させることもある。
昨年9月25日の、H氏との二枚落ち戦がまさにそうで、勝勢のH氏が指した手が凡手で、船戸女流二段は「ダメッ!」と言って戻した。H氏が指し直す。また船戸女流二段が「ダメッ!」と戻す。また指す。「ダメッ!!」と戻す。文字で書くとスパルタだが、言うほうも言われるほうも楽しそうで、これも金曜サロンならではの光景である。
駒落ちも飛車落ちか角落ちになると、こんどは勝負の雰囲気が漂ってくる。上手の形勢がわるいところへ下手が疑問手を指しても、基本的には無視して進行する。そして逆転の一打を模索するのだ。
そして平手になると、これは完全に「勝負」だ。アドバイスは一切いただけない。
船戸女流二段はパッと手が見え、早指しなので、下手全員が考慮中、という光景も珍しくない。しかし例外もあって、平手の終盤の難しい局面で、しばし考えることがある。その時の船戸女流二段の表情は魅力的だが、私の場合はそれを窺う余裕はない。
「ちょっと考えます」
指し手が決まらず、船戸女流二段がそう言って隣の対局に移ればしめたものだ。少しは船戸先生を苦しめることができたかな、と満足するのである。

さて、そんな船戸女流二段は明日7日(日)、天河戦の挑戦者決定戦を行う。今年最初の重要な1局である。対戦相手は、私が現女流棋界最強と信じている石橋幸緒女流四段。手ごわい相手だが、もちろん船戸女流二段にも勝機はある。
お二方とも、当日は目いっぱい持ち時間を使って、どうか自分らしい将棋、悔いのない将棋を指してください。
コメント (14)
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