第23期竜王戦は、前期に引き続き、4名の女流棋士が参加した。すなわち矢内理絵子女王、清水市代女流名人(当時)・女流王位・女流王将、里見香奈・倉敷藤花のタイトルホルダーに、岩根忍女流二段である。最初の3名はタイトルホルダーだから出場に異論はない。しかし残り1名が岩根女流二段だったことに、私は首を傾げてしまった。
女流棋士の参加枠が4名になったのは前期からで、そのときは5つのタイトルを4名で分け合っていたから、選出に問題はなかった。ところが今期は、昨年11月16日に石橋幸緒女流四段が女流王位を失冠し、タイトルホルダーが3名に減った。しかしそれでも、「4人目の女流棋士」は石橋女流四段で固いとフンでいたからだ。
私は「勝手に選ぶ女流棋士ファンランキング」の最新版で、人妻にもかかわらず、岩根女流二段を5位につけた。だから彼女の登場を快く思うものだが、同時に、なぜに岩根女流二段なのだろう、とも思った。思い当たることといえば、第2期マイナビ女子オープンでの5番勝負登場しかない。
岩根女流二段が挑戦を決めたときは読売新聞紙上でも大きく取り上げていたし、「将棋世界」でも、なぜか読売新聞の西條耕一記者が、5番勝負の観戦記を書いていた。妊婦のタイトル戦登場・延期が、世間の話題にもなった。
しかし将棋の世界は「話題」ではなく、「実力」がすべてだ。石橋女流四段は、棋戦は違うものの、王座戦、朝日オープン将棋選手権で男性棋士相手に3連勝している。「3連勝」は、男性棋士にだって達成はむずかしい。石橋女流四段は、男性棋士に伍して戦える逸材なのだ。
さらに「話題」のほうでも石橋女流四段は、女流王位戦5番勝負で棋史に残る反則をしでかし、全国的ニュースを提供した。どうして石橋女流四段が選出されなかったのだろう、と私などは考えてしまう。
そんな折、竜王ランキング戦6組の西川和宏四段と岩根忍女流二段の観戦記が、相崎修司氏の筆により、2月13日から掲載された。その第1譜に、「第23期竜王戦の抽選を行った時点で、女流タイトル保持者は前記3人。4人目は規定により、今年度のタイトル戦出場者の中から選ばれるが、岩根は棋戦序列上位のマイナビ女子オープン五番勝負挑戦が評価された」との記述があった。
マイナビ女子オープンは優勝賞金500万円の大棋戦である。岩根女流二段の5番勝負での健闘も認める。しかしそれでも、私は石橋女流四段の女流王位戦での将棋、「対男性棋士3連勝」を評価したかった。
ためしに、石橋女流四段と岩根女流二段の立場を替えてみる。岩根女流二段が女流王位を失冠し、石橋女流四段がマイナビ5番勝負の挑戦者になり、敗退したとする。それでもやはり、岩根女流二段(その場合は女流三段か)が出場したような気がするのである。
むろん竜王戦の主催社は読売新聞だから、こちらが文句を言う筋合いはまったくない。主催社が推薦する女流棋士を出せば良い。しかしこちらも、親子3代に亘って読売新聞を購読している。ウチが払った新聞購読料のごくごくごくごく一部が、棋士の対局料に換わっているとするならば、グチのひとつを言ってもバチは当たるまい。
ただ、出場した岩根女流二段は西川四段に敗れたものの、5時間の持ち時間をすべて使い、ベストを尽くした。私がいつも言う、「自分の持てる力をすべて出し切って、悔いのない将棋を指す」、これを実践したのである。さすがに私がファンランキングの5位に推すだけのことはある、立派な対局だったと思う。
さて、注目すべきは来期である。私としては、現在のタイトルホルダー3名にそのまま防衛してもらいたい。すると「4人目の女流棋士」は、甲斐智美女流二段ということになる。そうなれば、私は今期の岩根女流二段の出場を、はじめて納得することになるだろう。
女流棋士の参加枠が4名になったのは前期からで、そのときは5つのタイトルを4名で分け合っていたから、選出に問題はなかった。ところが今期は、昨年11月16日に石橋幸緒女流四段が女流王位を失冠し、タイトルホルダーが3名に減った。しかしそれでも、「4人目の女流棋士」は石橋女流四段で固いとフンでいたからだ。
私は「勝手に選ぶ女流棋士ファンランキング」の最新版で、人妻にもかかわらず、岩根女流二段を5位につけた。だから彼女の登場を快く思うものだが、同時に、なぜに岩根女流二段なのだろう、とも思った。思い当たることといえば、第2期マイナビ女子オープンでの5番勝負登場しかない。
岩根女流二段が挑戦を決めたときは読売新聞紙上でも大きく取り上げていたし、「将棋世界」でも、なぜか読売新聞の西條耕一記者が、5番勝負の観戦記を書いていた。妊婦のタイトル戦登場・延期が、世間の話題にもなった。
しかし将棋の世界は「話題」ではなく、「実力」がすべてだ。石橋女流四段は、棋戦は違うものの、王座戦、朝日オープン将棋選手権で男性棋士相手に3連勝している。「3連勝」は、男性棋士にだって達成はむずかしい。石橋女流四段は、男性棋士に伍して戦える逸材なのだ。
さらに「話題」のほうでも石橋女流四段は、女流王位戦5番勝負で棋史に残る反則をしでかし、全国的ニュースを提供した。どうして石橋女流四段が選出されなかったのだろう、と私などは考えてしまう。
そんな折、竜王ランキング戦6組の西川和宏四段と岩根忍女流二段の観戦記が、相崎修司氏の筆により、2月13日から掲載された。その第1譜に、「第23期竜王戦の抽選を行った時点で、女流タイトル保持者は前記3人。4人目は規定により、今年度のタイトル戦出場者の中から選ばれるが、岩根は棋戦序列上位のマイナビ女子オープン五番勝負挑戦が評価された」との記述があった。
マイナビ女子オープンは優勝賞金500万円の大棋戦である。岩根女流二段の5番勝負での健闘も認める。しかしそれでも、私は石橋女流四段の女流王位戦での将棋、「対男性棋士3連勝」を評価したかった。
ためしに、石橋女流四段と岩根女流二段の立場を替えてみる。岩根女流二段が女流王位を失冠し、石橋女流四段がマイナビ5番勝負の挑戦者になり、敗退したとする。それでもやはり、岩根女流二段(その場合は女流三段か)が出場したような気がするのである。
むろん竜王戦の主催社は読売新聞だから、こちらが文句を言う筋合いはまったくない。主催社が推薦する女流棋士を出せば良い。しかしこちらも、親子3代に亘って読売新聞を購読している。ウチが払った新聞購読料のごくごくごくごく一部が、棋士の対局料に換わっているとするならば、グチのひとつを言ってもバチは当たるまい。
ただ、出場した岩根女流二段は西川四段に敗れたものの、5時間の持ち時間をすべて使い、ベストを尽くした。私がいつも言う、「自分の持てる力をすべて出し切って、悔いのない将棋を指す」、これを実践したのである。さすがに私がファンランキングの5位に推すだけのことはある、立派な対局だったと思う。
さて、注目すべきは来期である。私としては、現在のタイトルホルダー3名にそのまま防衛してもらいたい。すると「4人目の女流棋士」は、甲斐智美女流二段ということになる。そうなれば、私は今期の岩根女流二段の出場を、はじめて納得することになるだろう。