一公の将棋雑記

将棋に関する雑記です。

第4回ペア将棋選手権⑤・本戦準決勝

2011-02-04 00:40:27 | LPSAイベント
いよいよ本戦準決勝である。対局カードは、中井広恵女流六段・嘉野満アマ-松尾香織女流初段・野島崇宏アマ、船戸陽子女流二段・渡辺徳之アマ-島井咲緒里女流初段・城間春樹アマ。どちらも予選2回戦と同じ組み合わせである。前局に勝ったペアは連勝を狙い、負けたペアは雪辱を果たす、という図だ。
もう対局開始時間だが、松尾女流初段がどこかへ行ったまま戻ってこない。松尾女流初段は前局もどこかへ消えていた。彼女は自由な女なのだ。
やがて松尾女流初段が戻り、LPSAスタッフのI原氏が白布を拡げ、対局者立ち会いのもと、振駒を行った。
14時56分、対局開始。ここで各選手の配置を記しておこう。

嘉野・中井(先)
  盤(時計)
松尾・野島(後)

船戸・渡辺(先)
  盤(時計)
島井・城間(後)

松尾・野島ペアの四間飛車に、中井・嘉野ペアが角を上がった。中井・嘉野ペアが穴熊に囲うと決め打ちして、松尾・野島ペアは早くも☖4五歩と角交換を迫る。
しかし嘉野アマは相手にせず☗9六歩。これは松尾・野島ペアも意表をつかれたようだ。振り上げた拳の持っていき場に困った感じか。☖3二銀型なので☖4三銀と上がれず、といって自分から角を換わるのは、まだ先手が☗9八香と上がっていないので、手損だけが残ってしまう。
大盤解説は田村康介六段が引き続き担当するが、聞き手は中倉宏美女流二段が務めていた。
船戸・渡辺ペア-島井・城間ペアは、居飛車穴熊対四間飛車穴熊の戦い。これは予想どおりだ。
船戸女流二段のマニキュアが銀色にキラキラ光っている。本日はペア戦なので、マニキュアも特別仕様なのだろうか。
中井女流六段はオレンジ系の口紅をひいている。昨年6月に行われた「NIS×TefuCUP」では、オレンジの服を軽やかに着こなしていた。中井女流六段は、オレンジ色が好きなのかもしれない。植山悦行七段と違って、今回はパートナーも頼もしい。メイクにもチカラが入ったことだろう。
15時04分、松尾・野島ペアが作戦タイムに入った。☖4四銀と立ち、先手の応手によっては☖3五歩☗同歩☖同銀と捌く手を検討している。私はこのふたりを決勝進出に予想しているので、当然応援している。
対局が再開された。概ね検討どおりに進んでいるようだ。
私もペア将棋を体験したいが、手すきの女流棋士が見当たらない。もっとも、いまは女流棋士とアマ強豪のペア戦を観戦するほうが優先される。
田村六段の解説の声が聞こえる。声は低く、落ち着いている。イメージどおりの話し方だ。朝はまばらだった観客も、午後になって人が増え、解説場に用意された席はほぼ埋まっている。
15時18分、船戸・渡辺ペアが作戦タイムを取った。と、ふたりが駒を動かして、局面を再現した。いままでは駒を動かさず、口頭で済ませていたのだ。
船戸女流二段は背が高いが、渡辺アマも大柄だ。ふたりで寄り添って検討している姿は絵になり、カップルのようである。ちょっとおもしろくないが、私はこのペアを決勝進出に推している。とにかくここは、頑張ってもらうしかない。
中井・嘉野ペア、☗6八銀。味のいい銀引きだ。「銀は引く手に好手が多い」は、早咲誠和アマ竜王の言葉だった。
15時23分、「いやあ~」と声を発して、中井女流六段が☗7七の角で☖4四の角を取った。しかし局面はいい勝負である。
15時25分。船戸・渡辺ペア-島井・城間ペアは、お互いに敵陣の金ゴマを取っている。相穴熊特有の駒の剥がし合いだ。
渡部愛ツアー女子プロが、W氏と談笑している。W氏はこうしたイベントに来ると、いつも女流棋士とフランクに話している。これは隠れた特技というべきだろう。私などは女流棋士に警戒されているので、イベントでは言葉を交わしたことがない。
島井・城間ペアが作戦タイムに入った。
15時29分、「どうぶつしょうぎペアマッチ選手権」の表彰式が行われている。目立たないが、ここでも熱い戦いが繰り広げられていたのだ。蛸島彰子女流五段が、優勝ペアに賞状を渡していた。
15時31分。
嘉野アマ「タイムしましたか」
中井女流六段「してない」
嘉野アマ「していいですか」
私の聞き間違いかもしれぬが、こうした妙な会話があり、準決勝最後の作戦タイムとなった。中井・嘉野ペアは本局が最多タイの4局目。さすがにソツなく検討をこなすようになってきた。
15時36分。船戸・渡辺ペア-島井・城間ペア戦は、二枚飛車の島井・城間ペアが優勢。渡辺アマが☗3四馬と自陣に利かせた手に対し、☖5六歩と馬道を遮断した手が冷静だった。これは大勢決した。
15時41分。中井女流六段、勇躍☗6五桂と跳ぶ。こちらは中井・嘉野ペアが優勢だ。どうも、私の予想は両方とも外れそうである。
15時47分、嘉野アマ☗8二銀に、松尾女流初段、野島アマが顔を見合わせ、投了を告げた。
その2分後、島井女流初段の☖5九角に、船戸・渡辺アマも投了を告げた。
ペア将棋は、勝てば喜びが2倍になるが、負けても悔しさが2倍になるのではなかろうか。負けたペアの姿を見ると、そう思う。
「なんでゴキゲン中飛車を指さなかったんですか」
私は松尾女流初段に問う。
「野島さんがゴキゲン中飛車は指したことがないって言うのよー」
「……」
予選では中井・嘉野ペア相手にあまりにも鮮やかな勝利を収めたので、決勝進出ペアに推したのだが、とんだ肩すかしを食らってしまった。
感想戦を終えた船戸女流二段も近くに来た。
「…残念でしたね」
私は恐る恐る声を掛ける。
船戸女流二段は私をチラッと見たが、すぐに前を向いてしまった。
マ、マズイ…!! もう船戸女流二段は、30日付のブログ「船戸陽子カレンダー2011」を読んだのだろうか。女流棋士の下着姿に言及して、それをブログに載せるなど前代未聞。アップしたことは露ほども後悔していないが、船戸女流二段からすれば、自分がネタにされ、たいそう不愉快だったに違いない。
やべえなあ…。船戸女流二段には、これから口を利いてもらえないんじゃないだろうか…。
私は放心状態のまま、船戸女流二段から後ずさった。
(つづく)
コメント (4)
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