一公の将棋雑記

将棋に関する雑記です。

2月18日のLPSA芝浦サロン・I原氏との将棋

2011-02-23 00:45:32 | LPSA芝浦サロン
18(金)のLPSA芝浦サロンは、石橋幸緒天河の担当だった。手合い係は大庭美樹女流初段。手合い係は、大庭女流初段がメインらしい。
石橋天河は前日の17日、マイナビ女子オープンの挑戦者決定戦で上田初美女流二段に苦杯を喫し、さすがにこの日は元気がなかった。また金曜だというのにサロンの会員も少なく、静かな環境での指導対局となった。
その将棋は、中盤まで私が優位に立っていたが、終盤でひっくり返され、無念の敗戦となった。石橋天河は淡々と指していた感じだったが、最終的に勝ってしまう。ここが女流プロの強さだと思った。
書棚の前で将棋技術書を読んでいると、石橋天河と大庭手合い係が気を利かせて、スタッフのI原氏を連れてきた。I原氏は知る人ぞ知るアマ強豪で、昨年11月に行われた第99回職団戦ではLPSAのメンバーとして出場し、C級で見事に優勝している。そんなI原氏に、1月31日のジャンジャンマンデーで教えを請う機会に恵まれたのだが、そのときはI原氏が巧妙に緩めてくれ、私が快勝したのだった。
この日もI原氏は「よろしくおねがいします」と妙に低姿勢である。しかし静かな迫力があって、そこがコワかった。
柳の下にドジョウは2匹いない。私も今度は負かされると覚悟したが、返り討ちにしてくれるワ、との思いもよぎった。
とりあえずチェスクロックは使うとして、時間設定はどうするか。と、I原氏が
「ジャンジャンマンデーと同じ(持ち時間)10分(秒読み)30秒でお願いします」
と言った。
なんか、いやにこの前のジャンジャンマンデーにこだわっているようである。ま…まさかあの時は、I原氏も本気モードだったのだろうか。
まあいい。振り駒の達人、I原氏にまたも振っていただき、私の先手で対局開始。将棋は私の横歩取りにI原氏も呼応して、相横歩取りとなった。
前局はI原氏の四間飛車穴熊だった。振り飛車穴熊と相横歩取り。いろいろな将棋を見ているI原氏らしく、変幻自在だ。
ちなみにLPSAで、このふたつを指す女流棋士は少ない。ただ、元LPSA会員で、現・日本将棋連盟客員棋士の北尾まどか女流初段とは、相横歩取りの将棋を2局指している。あのころは「どうぶつしょうぎ」も揺籃期で、北尾女流初段も藤田麻衣子さんも、LPSAを発展させようと張り切っていた。ちょうど船戸陽子女流二段もLPSAに入会し、LPSAが最も活気づいていた時期だった。もうあのころの活気が戻ることはないだろう。
局面に戻る。飛車角総交換のあと、私は例によって☗4六角。と、I原氏が☖2七角と打ってきたので驚いた。ここ、定跡では☖8二角と教えている。ほかに☖7三角や☖6四歩もあり、いずれも難解である。
しかし☖2七角は初めて見る手。これもありならどこかで目にしているはずだが、その記憶はない。
ということは、☖2七角は疑問手なのだろう。次の狙いは☖4九角成~☖6九飛か。しかしそれは☗5九飛で受かる。だから黙って☗9一角成でもよかったのだが、どうもこの角が不気味なので、☗3八銀☖5四角成を決めてから、私は☗9一角成と香を取った。
I原氏、予定とばかり☖2八歩。私は☗2四飛。しかし☖2九歩成に☗同飛は誤った。手順に☖3三桂と跳ばれ、打った飛車がバカになってしまった。ここは感想戦でも指摘されたが、と金を払わず☗2一飛成とこちらも桂を取るのだった。
以下虚々実々の攻防が繰り広げられたが、ここで中盤の局面の駒の配置を記す。

先手・一公:1七歩、1九香、2五竜、3七歩、3八銀、4七歩、4八金、5七歩、5八香、5九玉、6七歩、7七銀、7八金、8九桂、9一馬、9七歩、9九香 持駒:歩4
後手・I原氏:1一香、1三歩、3一銀、3二金、4三歩、4四飛、4五桂、5一王、5三歩、6一金、6三歩、6四馬、7二銀、7三桂、7四歩、9三歩 持駒:桂、歩2

☗2五竜に☖4四飛まで。ちょっと長いが、ここから終局までの指し手を書いてしまおう。

☗8三歩☖同銀☗8四歩☖同銀☗8三歩☖8八歩☗同金(左の2手はもっと前に入っていたかもしれない)☖7五銀☗7六歩☖8六銀☗同銀☖同馬☗4九玉☖6五桂☗5五馬☖5七桂右成☗同香☖同桂成☗同金☖5四香☗7三馬☖6二金☗5五歩☖7三金☗5四歩☖4五桂☗5三歩成☖同馬☗6五桂☖5七桂成☗6二銀☖同馬☗5五竜☖5四歩☗5七竜☖7九角☗5九竜☖5七銀☗5三香☖4二王☗5八歩☖8八角成☗5七歩☖7八馬☗2五桂☖6七馬☗3九玉☖2七歩☗同銀☖2六歩☗同銀☖2七金 まで、106手でI原氏の勝ち。

持ち駒が歩だけで私の手番だから、☗8三歩から動いていったが、手順に銀を捌かれ、よくなかった。2度目の☗8三歩がなんでもなく、仮に☗8二歩成が実現したところで、なんら後手王に脅威を感じさせない。
本譜は支離滅裂な指し手が続き、I原氏の包むような寄せに投了を余儀なくされた。
「ちょっとアッサリしてませんでした?」
とI原氏。
「?」
「馬をタダ取らせたところとか…」
「ああ…」
☖5四香☗7三馬☖6二金に本譜は☗5五歩だったが、ここは☗6二同馬☖同金として☗5五歩とすべきだったのでは、というものだ。たしかにそうだったかもしれないが、ここではもう、諦め気分だった。
感想戦では、8筋の歩の連打がやはり指し過ぎ。最初の☗8三歩☖同銀はいいとして、次は☗5六歩と突き、将来的に☗5五歩と伸ばして☗5八香を攻めに使うのがよし、という結論になった。いま局面を見れば、この☗5五歩ではじっと☗2六竜と引き、次に☗4六歩の桂取りを見せるのも有力だったと思う。
いずれにしても、攻め急いで自滅してしまった。I原氏に、今度こそ本気を出された感じだった。
蛇足だが、序盤の☖2七角には、将来の角切りを防ぐ☗4八金が最善と思う。次に☗2六飛があるので☖5四角成だろうが、そこで☗9一角成とすれば、先手が優勢だった。
I原氏は対局中の手つきも力強く、将棋に真摯に向かい合っていて、私も指していて楽しかった。芝浦サロンは女流棋士との指導対局がメインだから、男性社員と将棋を楽しんだらスジが違うのかもしれないが、またI原氏と指せる機会があれば、嬉しく思う。
コメント (2)
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