3月30日、LPSAウェブサイトの新着記事に、「山下カズ子女流五段『ツアー女子プロ』転向のお知らせ」とあったのでビックリした。
記事を読むと、山下女流五段は女流棋士既定により、3月31日をもって女流公式戦の出場資格が消失する。そこに本人からツアー女子プロ転向の申し出があり、理事会もこれを受理。ここに山下カズ子ツアー女子プロが誕生した、とのことだった。
女流棋界は、引退に関して不透明なところが多いが、まあそれは公表されていないからだが、一応降級点制度はあるらしい。
山下女流五段はここ数年勝ち星に恵まれず、「今年はあぶない」と見られていた。
そこで新年度からの去就が注目されていたが、強制引退直前に、まさかの「ツアー女子プロ」転向である。引退回避のためのウルトラCか!?
これ、「本人からの申し出」とあるが、本当にそうなのだろうか。
私は山下女流五段に何局か教えていただいたことはあるが、指導対局という状況を割り引いても、あまり勝負に対する執念は感じられなかった。今回の件、理事会のほうから話があった、と考えるのは穿ちすぎだろうか。
理事会側の気持ちは分からなくもないのだ。LPSAの現役女流棋士は、3月現在11人である。LPSA設立間際に大庭美夏女流1級が引退し、設立後も藤森奈津子女流三段、神田真由美女流初段が引退。さらに北尾まどか女流初段、藤田麻衣子女流1級も退会し、こんなさびしい数字になってしまった。
とにかくこの11人に、渡部愛ツアー女子プロを加えて12人。しかし今年は松尾香織女流初段が休場なので、やっぱり11人に戻る。
このメンバーで、準公認棋戦である1Dayトーナメントを8人制で開くとする。…と、関西の鹿野圭生女流二段の出場はむずかしいから除外、ほかの女流棋士とは実力が一枚違う中井広恵女流六段、石橋幸緒女流四段も除外すると、残りは8人。それらの女流棋士が「ひとりも休めず」参加となってしまう。山下女流五段を不参加にすることはできないのである。
そんな「もしも」のときのために、山下女流五段の肩書をツアー女子プロに変え、いつでも出場できるようにした、というのだとしたら、いかにも情けない。これでは言葉のマジックではないか。
私にとって「ツアー女子プロ」は、女流棋士になるための仮免許、という位置づけである。いわば女流棋士会(日本将棋連盟)の研修会のようなものだ。
しかし山下女流五段は、女流名人4期の大女流棋士である。その山下女流五段を、いまさら段位のない「ツアー女子プロ」で呼ぶことなど私にはできない。
ところがLPSAサイトを見ると、普及活動においては「山下女流五段」と表記する、とあるからややこしい。LPSAは、TPOによって、都合のいい肩書で呼ばせたい、ということなのだろうか。
日本将棋連盟と女流棋士会が主催に名を連ねる棋戦は、そのルールに則るべきである。しかしLPSAのみの主催なら、LPSAがルールブックである。引退女流棋士だろうとアマチュアだろうと、どんどん出場させればいいのだ。そしてそれで、文句を言うスポンサーがいるとも思えない。今回のLPSAの措置は、リサーチ不足の勇み足だったと思う。
山下女流五段の引退が濃厚になって、ねぎらいの言葉も考えていたのだが、無駄になった。まあ今後も山下ツアー女子プロの将棋が見られることになって、これはこれでよかった、と考えるべきなのだろう。
記事を読むと、山下女流五段は女流棋士既定により、3月31日をもって女流公式戦の出場資格が消失する。そこに本人からツアー女子プロ転向の申し出があり、理事会もこれを受理。ここに山下カズ子ツアー女子プロが誕生した、とのことだった。
女流棋界は、引退に関して不透明なところが多いが、まあそれは公表されていないからだが、一応降級点制度はあるらしい。
山下女流五段はここ数年勝ち星に恵まれず、「今年はあぶない」と見られていた。
そこで新年度からの去就が注目されていたが、強制引退直前に、まさかの「ツアー女子プロ」転向である。引退回避のためのウルトラCか!?
これ、「本人からの申し出」とあるが、本当にそうなのだろうか。
私は山下女流五段に何局か教えていただいたことはあるが、指導対局という状況を割り引いても、あまり勝負に対する執念は感じられなかった。今回の件、理事会のほうから話があった、と考えるのは穿ちすぎだろうか。
理事会側の気持ちは分からなくもないのだ。LPSAの現役女流棋士は、3月現在11人である。LPSA設立間際に大庭美夏女流1級が引退し、設立後も藤森奈津子女流三段、神田真由美女流初段が引退。さらに北尾まどか女流初段、藤田麻衣子女流1級も退会し、こんなさびしい数字になってしまった。
とにかくこの11人に、渡部愛ツアー女子プロを加えて12人。しかし今年は松尾香織女流初段が休場なので、やっぱり11人に戻る。
このメンバーで、準公認棋戦である1Dayトーナメントを8人制で開くとする。…と、関西の鹿野圭生女流二段の出場はむずかしいから除外、ほかの女流棋士とは実力が一枚違う中井広恵女流六段、石橋幸緒女流四段も除外すると、残りは8人。それらの女流棋士が「ひとりも休めず」参加となってしまう。山下女流五段を不参加にすることはできないのである。
そんな「もしも」のときのために、山下女流五段の肩書をツアー女子プロに変え、いつでも出場できるようにした、というのだとしたら、いかにも情けない。これでは言葉のマジックではないか。
私にとって「ツアー女子プロ」は、女流棋士になるための仮免許、という位置づけである。いわば女流棋士会(日本将棋連盟)の研修会のようなものだ。
しかし山下女流五段は、女流名人4期の大女流棋士である。その山下女流五段を、いまさら段位のない「ツアー女子プロ」で呼ぶことなど私にはできない。
ところがLPSAサイトを見ると、普及活動においては「山下女流五段」と表記する、とあるからややこしい。LPSAは、TPOによって、都合のいい肩書で呼ばせたい、ということなのだろうか。
日本将棋連盟と女流棋士会が主催に名を連ねる棋戦は、そのルールに則るべきである。しかしLPSAのみの主催なら、LPSAがルールブックである。引退女流棋士だろうとアマチュアだろうと、どんどん出場させればいいのだ。そしてそれで、文句を言うスポンサーがいるとも思えない。今回のLPSAの措置は、リサーチ不足の勇み足だったと思う。
山下女流五段の引退が濃厚になって、ねぎらいの言葉も考えていたのだが、無駄になった。まあ今後も山下ツアー女子プロの将棋が見られることになって、これはこれでよかった、と考えるべきなのだろう。