一公の将棋雑記

将棋に関する雑記です。

室岡克彦七段、フリークラスに転出

2012-04-06 00:45:12 | 男性棋士
4日夜、日本将棋連盟のサイトに、今期のフリークラス転出者がひっそりと発表されていた。今期はひとりで、それは室岡克彦七段。1981年12月の四段昇段だから、棋士生活30年のベテランである。
いまを去ること20年以上前、私が新卒で入った会社で、私は関西担当になり、月に2回ほど大阪に出張した。私は宿泊費を浮かすため、某カプセルホテルを定宿にした。
夜になると、大広間で宿泊者が将棋を指すのだが、その中に、やたら強いオジサンがいた。そのオジサンが四間飛車の使い手で、私も何局か指したが、全然勝てない。そこで私の虎の巻となったのが、当時発売されていた室岡克彦五段著の「定跡百科・四間飛車ガイド2」(1990年・現マイコミ刊)だった。
定跡百科シリーズは、800円~900円台と廉価ながら、余分な記述を省いて細かい変化がビッシリと記されており、とても読み応えがあった。
私は同著をカバンに忍ばせ、折りにふれ読みふけった。そしてあらゆる定跡を頭に叩き込み、オジサンに挑んだ。結果私はオジサンに勝利し、その後もぼちぼちと勝利を挙げることができたのである。私が室岡七段に大いに感謝したのは、いうまでもない。
このときの模様は、「将棋ペン倶楽部」2002年春号(37号)に「青春の大阪」として掲載されたので煩雑は避けるが、このエッセイは私にとって「将棋ペン倶楽部」初掲載作品であり、翌年発表の「運命の端歩」と並んで、最高傑作と自負している。
それから私は室岡七段の活躍を注目していたのだが、成績はパッとしなかった。実名を挙げるのは気がひけるが、桐谷広人七段、所司和晴七段など、研究派で著書も多い棋士が必ずしも強い(勝つ)とは限らないのが、勝負事のむずかしさである。
今回室岡七段がフリークラス転出を決めたのは、自発的転出によって、引退年齢を65歳まで伸ばすことはあったと思う。
しかし順位戦を戦うことを、「最大の喜びでもあり、生き甲斐でもありました。」と自ブログ「室岡克彦7段の荒川将棋日記」で述べている室岡七段が、順位戦から「逃げた」という考えはしたくない。
きっと室岡七段は、順位戦を戦うことに疲れてしまったのだ。室岡七段は同ブログで、「常に順位戦は苦しい戦いなのです。」とも述べている。その気持ち、勝ち負けのない、ぬるま湯の世界に生きている私にさえ、痛いほど分かる。今回の決断もまた、ひとつの立派な生き方である。
室岡七段にはこれからも、対局に普及に、活躍してほしい。

ところで、私が室岡七段を注目していたもうひとつの理由――。それは室岡七段が私と同じ、今はなき荒川区立第十中学校の卒業生だったからである。
数学の粟田先生、室岡七段にも教えたことがあると語っていたが、いまもお元気だろうか。
コメント (2)
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