右を見ると、JRの廃線跡と思しき空間があった。間違いない、かつてはここをJR富山港線が通っていたのだ。帰りに途中下車して、その跡を辿ってみたいと思う。
列車は相変わらず静かに走る。車軸のない台車を利用したり、電源装置や制御機器などを天井に押し上げたり、いろいろな工夫をこらしているという。
車内にはおじさんが多かったが、その理由には薄々気付いていた。終点岩瀬浜のひとつ手前に「競輪場前」電停があるのだ。JRのときはこんな小まめに止まらなかったから、おじさん方にはライトレール様々といったところだ。
「東岩瀬」電停に着いた。ここはJR時代の駅舎が遺されていた。次の「競輪場前」ではおじさん方が降り、終点「岩瀬浜」電停には09時54分に着いた。
たっぷり24分の夢時間を楽しんで、料金はたった200円(均一)。これでは利用者が増えるはずだ。
ちなみに富山ライトレールにも萌え系キャラがいて、その名も「岩瀬ゆうこ」という。「大家族の末っ子」とか「介護福祉士の資格所持者」とか、いろいろ設定があるらしい。
電車を降りると、左手にバスが停まっていた。これを「フィーダーバス」といい、ライトレールの発着に合わせている。終点からさらに先に客を運ぼうという思惑で、便利である。私も利用したいが、それよりこのあたりを散策したい。
県道1号を東岩瀬方面に歩く。きょうは快晴で、上品な雪景色の中をぶらぶら歩くのは贅沢である。
途中で右折すると、パンフレットにも書かれてあった和菓子屋「大塚屋」があった。ここは三角の形をしたどらやき、その名も「三角どらやき」が有名らしいが、店に入ると、きょうは注文分ですべて売り切れとのことだった。
さらに歩くと、神社の常夜灯を思わせる建物が目に入ってきた。これが富山港のシンボル、富山港展望台である。無料なので、ありがたく入る。高さ20メートル余からの展望は素晴らしい。失礼ながら岩瀬地区はあまり観光的に有名ではないが、この景色はもっと知られていいと思った。
「東岩瀬」電停に向かう。その道は綺麗に舗装され、すこぶる歩きやすい。
右手にシャレた喫茶店「あぷりこっと」があったので、やや迷ったが、入る。電車の時間を気にしないで済むのも、15分ヘッドの強味である。
ただしあまり長居はできないので、コーヒーを頼むに留めた。コーヒーは、カップが半透明の乳白色という珍しいもの。400円は、お値打ち価格である。
「東岩瀬」に着いた。ここはJR時代のホームの高さが一部維持され、路面電車との高低差を比較することができる。その差30センチはあろうか。そのぶん、乗客が乗りやすくなったということだろうか。
11時34分の電車に乗る。今度は緑の電車だ。行きはオレンジの電車だったが、ここの路面電車は、アクセントカラーが7色あるという。
11時50分、「奥田中学校前」下車。ここをまっすぐ歩くと、廃線跡に合流する。廃線跡を眺めるのは空しいものだが、こちらは「路線変更」による廃線といえなくもないので、まだ救いがある。
廃線跡の敷地には入れなかったが、すぐ脇が舗装道路になっていたので、鑑賞しやすかった。
富山駅近くまで来たが、地下歩道を利用したらJR線路をくぐってしまったようで、富山駅の反対側に出てしまった。
こちらには富山地方鉄道の市内電車が走っているが、さすがに乗る時間がない。きょうは午後も予定が詰まっているからだ。
北陸本線を西へ向かう。富山12時24分発。金沢には定刻1分遅れの13時20分に着いた。北陸旅の王道「金沢」は、観光地として外せないところである。
駅を出て、観光案内所に寄る。ここは「城下まち金沢周遊1日フリー乗車券」(500円)の利用が便利だ。これで金沢市内のたいていの観光地に行ける。
金沢駅東口から乗る。バスはレトロ調だった。1回の乗車だと200円なので、3回乗ればモトが取れる計算だ。
橋場町の交番前で降りる。空はいつの間にか、どんより曇っていた。まずはひがし茶屋街を散策しようと思う。私は金沢に何度か訪れたことがあるが、兼六園と石川門、それと尾山神社くらいしか記憶にない。だがひがし茶屋の落ち着いた街並みは、齢を重ねたいまだからこそじっくり味わえる意味もある。
が、その街が今一つぱっとしない。これじゃふつうの住宅街じゃないかと思いきや、引き返して一本隣の道に入ったら、実に味わい深い街並みに出会った。
明治期の建物だと思うが、木の深みが素晴らしい。中には微妙に改装を重ね、土産物屋などを営業しているところもある。何か、映画のセットのようだ。
金箔の商品を売っている店があった。中庭には黄金の茶室が設えてあり、ちょっとドギツイが眼福ではある。馬の置物が9,450円で売られていた。来年(2014年)私は年男なのでよほど買おうかと思ったが、ちょっと後悔しそうなので、やめた。
「夢香山」なる店に入って、ここでどら焼きを買う。しっとりしていて、美味かった。
ちょっと遅いが、昼食にしたい。北陸に来たら、ナマモノである。道路を隔てた向こう側に、シャレた寿司屋があった。ここは「早朝割引」がある不思議な店で、朝6時から並んでいたら○割引き、7時から並んでいたら○割引き、とか段階に応じてやっているようだ。
どんな寿司を食わせてくれるのかと期待してのれんをくぐったら、おかみさんが「いまお米を炊いている最中です」の返事。
ご縁がなかったようだ。
もう一度手前の側に戻って、シャレた洋食屋に入る。建物は明治期の洋館のような趣だ。
牛と豚のあいびきのハンバーグセットを頼む。さすがにファミレスとは一味違って、美味かった。
ちょっと雪が降ってきた。水分を多く含み、半分雨のようだ。私は橋場町から再びバスに乗る。今回はボンネットバスだった。運転手は女性である。気のせいかもしれぬが、女性の運転は優しい感じがしてよい。客が多かったので車内の先頭に立ったが、ボンネットの部分が愛らしかった。
兼六園下で降りる。もちろん兼六園を見学するためだ。年の瀬だから、さすがに見学者も少ないと思った。…ウン?
何じゃ、ありゃああ!?
(つづく)
列車は相変わらず静かに走る。車軸のない台車を利用したり、電源装置や制御機器などを天井に押し上げたり、いろいろな工夫をこらしているという。
車内にはおじさんが多かったが、その理由には薄々気付いていた。終点岩瀬浜のひとつ手前に「競輪場前」電停があるのだ。JRのときはこんな小まめに止まらなかったから、おじさん方にはライトレール様々といったところだ。
「東岩瀬」電停に着いた。ここはJR時代の駅舎が遺されていた。次の「競輪場前」ではおじさん方が降り、終点「岩瀬浜」電停には09時54分に着いた。
たっぷり24分の夢時間を楽しんで、料金はたった200円(均一)。これでは利用者が増えるはずだ。
ちなみに富山ライトレールにも萌え系キャラがいて、その名も「岩瀬ゆうこ」という。「大家族の末っ子」とか「介護福祉士の資格所持者」とか、いろいろ設定があるらしい。
電車を降りると、左手にバスが停まっていた。これを「フィーダーバス」といい、ライトレールの発着に合わせている。終点からさらに先に客を運ぼうという思惑で、便利である。私も利用したいが、それよりこのあたりを散策したい。
県道1号を東岩瀬方面に歩く。きょうは快晴で、上品な雪景色の中をぶらぶら歩くのは贅沢である。
途中で右折すると、パンフレットにも書かれてあった和菓子屋「大塚屋」があった。ここは三角の形をしたどらやき、その名も「三角どらやき」が有名らしいが、店に入ると、きょうは注文分ですべて売り切れとのことだった。
さらに歩くと、神社の常夜灯を思わせる建物が目に入ってきた。これが富山港のシンボル、富山港展望台である。無料なので、ありがたく入る。高さ20メートル余からの展望は素晴らしい。失礼ながら岩瀬地区はあまり観光的に有名ではないが、この景色はもっと知られていいと思った。
「東岩瀬」電停に向かう。その道は綺麗に舗装され、すこぶる歩きやすい。
右手にシャレた喫茶店「あぷりこっと」があったので、やや迷ったが、入る。電車の時間を気にしないで済むのも、15分ヘッドの強味である。
ただしあまり長居はできないので、コーヒーを頼むに留めた。コーヒーは、カップが半透明の乳白色という珍しいもの。400円は、お値打ち価格である。
「東岩瀬」に着いた。ここはJR時代のホームの高さが一部維持され、路面電車との高低差を比較することができる。その差30センチはあろうか。そのぶん、乗客が乗りやすくなったということだろうか。
11時34分の電車に乗る。今度は緑の電車だ。行きはオレンジの電車だったが、ここの路面電車は、アクセントカラーが7色あるという。
11時50分、「奥田中学校前」下車。ここをまっすぐ歩くと、廃線跡に合流する。廃線跡を眺めるのは空しいものだが、こちらは「路線変更」による廃線といえなくもないので、まだ救いがある。
廃線跡の敷地には入れなかったが、すぐ脇が舗装道路になっていたので、鑑賞しやすかった。
富山駅近くまで来たが、地下歩道を利用したらJR線路をくぐってしまったようで、富山駅の反対側に出てしまった。
こちらには富山地方鉄道の市内電車が走っているが、さすがに乗る時間がない。きょうは午後も予定が詰まっているからだ。
北陸本線を西へ向かう。富山12時24分発。金沢には定刻1分遅れの13時20分に着いた。北陸旅の王道「金沢」は、観光地として外せないところである。
駅を出て、観光案内所に寄る。ここは「城下まち金沢周遊1日フリー乗車券」(500円)の利用が便利だ。これで金沢市内のたいていの観光地に行ける。
金沢駅東口から乗る。バスはレトロ調だった。1回の乗車だと200円なので、3回乗ればモトが取れる計算だ。
橋場町の交番前で降りる。空はいつの間にか、どんより曇っていた。まずはひがし茶屋街を散策しようと思う。私は金沢に何度か訪れたことがあるが、兼六園と石川門、それと尾山神社くらいしか記憶にない。だがひがし茶屋の落ち着いた街並みは、齢を重ねたいまだからこそじっくり味わえる意味もある。
が、その街が今一つぱっとしない。これじゃふつうの住宅街じゃないかと思いきや、引き返して一本隣の道に入ったら、実に味わい深い街並みに出会った。
明治期の建物だと思うが、木の深みが素晴らしい。中には微妙に改装を重ね、土産物屋などを営業しているところもある。何か、映画のセットのようだ。
金箔の商品を売っている店があった。中庭には黄金の茶室が設えてあり、ちょっとドギツイが眼福ではある。馬の置物が9,450円で売られていた。来年(2014年)私は年男なのでよほど買おうかと思ったが、ちょっと後悔しそうなので、やめた。
「夢香山」なる店に入って、ここでどら焼きを買う。しっとりしていて、美味かった。
ちょっと遅いが、昼食にしたい。北陸に来たら、ナマモノである。道路を隔てた向こう側に、シャレた寿司屋があった。ここは「早朝割引」がある不思議な店で、朝6時から並んでいたら○割引き、7時から並んでいたら○割引き、とか段階に応じてやっているようだ。
どんな寿司を食わせてくれるのかと期待してのれんをくぐったら、おかみさんが「いまお米を炊いている最中です」の返事。
ご縁がなかったようだ。
もう一度手前の側に戻って、シャレた洋食屋に入る。建物は明治期の洋館のような趣だ。
牛と豚のあいびきのハンバーグセットを頼む。さすがにファミレスとは一味違って、美味かった。
ちょっと雪が降ってきた。水分を多く含み、半分雨のようだ。私は橋場町から再びバスに乗る。今回はボンネットバスだった。運転手は女性である。気のせいかもしれぬが、女性の運転は優しい感じがしてよい。客が多かったので車内の先頭に立ったが、ボンネットの部分が愛らしかった。
兼六園下で降りる。もちろん兼六園を見学するためだ。年の瀬だから、さすがに見学者も少ないと思った。…ウン?
何じゃ、ありゃああ!?
(つづく)