兼六園の出入口から、長い列が伸びていた。これは、入場券購入のために並んでいるのか!? 年末のこの寒い日に、信じられない。まあたしかに兼六園の石灯籠や「雪つり」などは、雪景色がよく似合う。
しかし私は、並んでまで入りたくない。私は「待たされる」のが嫌なのだ。今回は縁がなかったと諦めて、石川門に向かった。ここにも資料館があったが、兼六園ほどの魅力はないと判断し、写真だけを撮ってその場を離れた。
天気はすっかり雨である。私は雨男だから、これは予定通りだ。そのまま坂を下ると、個性的な外観の建物が見えてきた。パンフレットを見ると、「金沢21世紀美術館」とある。名前からして期待できるが、寄ってみると、年末につき休みだった。きょうは12月29日、年末に突入してしまったのだ。
前庭には直径6~7メートル・高さ2メートル前後の円形のオブジェがあり、内側に向かって迷路状になっていた。
仕方がないから、中に入ってひとり遊び。それも空しくなって、私は広坂からバスに乗った。これが中央バスで、このフリー乗車券は北陸鉄道バスしか乗れないと認識していたから慌てたが、実際は数社に共用で乗れることが分かり、事なきを得た。
「香林坊」という名に記憶があるので、ここで下車する。しばらくぶらぶら歩くと、舗装された道路が見えてきた。右手に小川が流れ、風情がある。
「金沢市老舗記念館」があった。入場料100円なので入ってみる。「中屋」という歴史ある薬問屋を市が買い取り、一般公開しているものだ。お座敷や茶の間など落ち着いた佇まいがよかったが、人形などの展示品も見応えがあった。
そのまま通りに沿って歩く。「長町武家屋敷休憩館」「旧高田家跡」をのぞく。いずれも無料なのがありがたい。さらに「足軽資料館」。これも無料なので、入る。こうしてみると、市内でもけっこう無料で楽しめるところがあるのだ。
さらにぶらぶらしていると、シャレた洋館が目に入った。これが何と古書店で、思わず中に入る。ここもいわゆる「無料」ではあるのだが、何か入場料を払いたくなる雰囲気だ。
往々にして、こういう場所の値付けは高いとしたものだが、まあまあ良心的だった。私は心理学クイズの本を、300円で買った。ブックオフなら105円というところだが、まあいい。
百万石通りを渡ってしばらく行くと、尾山神社が見えてきた。尾山神社の歴史は知らぬが、ここは竜宮城を思わせる神門が有名だ。もちろんお参りする。お賽銭5円、ご朱印300円は定跡通りだが、私は来年(2014年)年男なので、午のお守り(1,000円)もいただいた。
さらに歩くと、「コメダ珈琲店」が見えてきた。もう絶対入りたいのだが、時刻は午後5時半を過ぎており、やはり時間がない。
近江町市場に着いた。ここにお邪魔するのは初めてである。夕方にも関わらずほとんどの店が開いていた。もちろん観光客目当てではあるが、地元の人と思しき姿もけっこうある。こういう市場は安いということだ。
食堂も何軒かあり、今度こそナマモノを食べたいが、どこに入るか迷う。それに、そろそろ店じまいの時間ではあるまいか。
テレビ番組でよく紹介されている大盛りの店があったが、某どんぶりが2,900円だったので、入るのを止めた。
地下に降りるとここにも店があったが、私は京都産の「糸より玉露」(140g・1,050円)を買う。結局そのまま、市場を出てしまった。
金沢駅までバスで戻る手もあったが、向こう側に渡るのが億劫だったのと、途次に食べ物屋があると期待し、そのまま歩くことにした。フリーパスのモトはギリギリ取っているが、ほとんど得をしていない。
そうこうするうち、金沢駅に着いてしまった。改めて駅を眺めると、2015年の新幹線開業を前に、大リニューアルを行ったようである。凱旋門のシルエットにも似た「鼓門(つづみもん)」が雄大だ。
とにかく夕食である。駅ビル内をいろいろ回った結果、「グルメ杵屋」で、オムライスミートソースを食した。これにコロッケを付けて780円はまずまずの値段であろう。
食後は「German BAKERY」なるパン屋で、メロンパンなど、3つ菓子パンを買った。
これで金沢観光は終わり。しかし、やや駆け足の感は否めなかった。いずれ日を改めて、じっくり観光したいと思う。
金沢発19時18分の列車は6分遅れ。車体は東海道・山陽本線でメジャーな113系に見えた。
20時48分福井着。私は道端三姉妹のおひざ元、福井県に何とか入ることができたのである。
きょうの宿は「エース福井」を予約している。3,500円は破格の値段である。
駅前を路面電車が走っているが、これは福井鉄道だろうか。きょうは路面電車に始まり、路面電車で終わった。
30日(月)。きょうは明確な目的がある。「えちぜん鉄道」の乗りつぶしである。
えちぜん鉄道の前身は京福電気鉄道で、北陸を代表する民間鉄道だった。しかし2000年12月と2001年6月に列車事故を起こし、経営が悪化した。そこで福井市などが出資し、2003年、第3セクターえちぜん鉄道として再出発したのである。
以前も書いたが、第3セクターは応援したい。生まれ変わったローカル線を、きょうは堪能しようと思った。
きょうも天気は曇天である。いつ泣き出してもおかしくないが、仕方ない。
そのえちぜん鉄道が見当たらないが、福井駅の反対側に出たら、えちぜん鉄道の事務所兼改札口があった。こちらも1日乗車券があって、800円である。ちなみに福井鉄道のそれは500円で、両方セットだと1,200円とのこと。時間的にどうかと思ったが、セット券を買った。
三国芦原線08時41分発の電車が入線する。車体には水色のストライプが入っていて、涼しげだ。定刻に出発。
2つ先の福井口を出ると電車は登りになり、北陸本線の線路を跨いだ。後発の鉄道は先輩の鉄道線路を跨ぐのが定跡だが、乗客の私からすれば、こっちのほうが格上のような気がして、気分がいい。
09時28分、終点三国港着。ここからは東尋坊行きのバスが出ているはずだが、その時間はなさそうだ。そのまま海岸線に沿って歩いていると、温泉施設が見えてきた。「三国温泉ゆあぽーと」。よくある温泉センターの類である。
しかし10時開店で、それまで施設の前でぶらぶら時間をつぶす。10時間際になると、地元民が集まってきた。けっこう人気がありそうである。
500円を払って温泉につかる。湯船は広くて、気持ちがよかった。
脱衣所の洗面台で髪を乾かしていると、また一段と髪が薄くなっていることに愕然とした。もう、「薄いですね」の域ではない。「ハゲてますね」の範疇だ。
駅に戻ると、10時39分の列車が待っていた。この時間帯は30分ヘッドで、11時09分の電車を覚悟していたから、もうけた気分だ。
さあ、乗ろうか。…ウン?
…あああっ!!
(25日につづく)
しかし私は、並んでまで入りたくない。私は「待たされる」のが嫌なのだ。今回は縁がなかったと諦めて、石川門に向かった。ここにも資料館があったが、兼六園ほどの魅力はないと判断し、写真だけを撮ってその場を離れた。
天気はすっかり雨である。私は雨男だから、これは予定通りだ。そのまま坂を下ると、個性的な外観の建物が見えてきた。パンフレットを見ると、「金沢21世紀美術館」とある。名前からして期待できるが、寄ってみると、年末につき休みだった。きょうは12月29日、年末に突入してしまったのだ。
前庭には直径6~7メートル・高さ2メートル前後の円形のオブジェがあり、内側に向かって迷路状になっていた。
仕方がないから、中に入ってひとり遊び。それも空しくなって、私は広坂からバスに乗った。これが中央バスで、このフリー乗車券は北陸鉄道バスしか乗れないと認識していたから慌てたが、実際は数社に共用で乗れることが分かり、事なきを得た。
「香林坊」という名に記憶があるので、ここで下車する。しばらくぶらぶら歩くと、舗装された道路が見えてきた。右手に小川が流れ、風情がある。
「金沢市老舗記念館」があった。入場料100円なので入ってみる。「中屋」という歴史ある薬問屋を市が買い取り、一般公開しているものだ。お座敷や茶の間など落ち着いた佇まいがよかったが、人形などの展示品も見応えがあった。
そのまま通りに沿って歩く。「長町武家屋敷休憩館」「旧高田家跡」をのぞく。いずれも無料なのがありがたい。さらに「足軽資料館」。これも無料なので、入る。こうしてみると、市内でもけっこう無料で楽しめるところがあるのだ。
さらにぶらぶらしていると、シャレた洋館が目に入った。これが何と古書店で、思わず中に入る。ここもいわゆる「無料」ではあるのだが、何か入場料を払いたくなる雰囲気だ。
往々にして、こういう場所の値付けは高いとしたものだが、まあまあ良心的だった。私は心理学クイズの本を、300円で買った。ブックオフなら105円というところだが、まあいい。
百万石通りを渡ってしばらく行くと、尾山神社が見えてきた。尾山神社の歴史は知らぬが、ここは竜宮城を思わせる神門が有名だ。もちろんお参りする。お賽銭5円、ご朱印300円は定跡通りだが、私は来年(2014年)年男なので、午のお守り(1,000円)もいただいた。
さらに歩くと、「コメダ珈琲店」が見えてきた。もう絶対入りたいのだが、時刻は午後5時半を過ぎており、やはり時間がない。
近江町市場に着いた。ここにお邪魔するのは初めてである。夕方にも関わらずほとんどの店が開いていた。もちろん観光客目当てではあるが、地元の人と思しき姿もけっこうある。こういう市場は安いということだ。
食堂も何軒かあり、今度こそナマモノを食べたいが、どこに入るか迷う。それに、そろそろ店じまいの時間ではあるまいか。
テレビ番組でよく紹介されている大盛りの店があったが、某どんぶりが2,900円だったので、入るのを止めた。
地下に降りるとここにも店があったが、私は京都産の「糸より玉露」(140g・1,050円)を買う。結局そのまま、市場を出てしまった。
金沢駅までバスで戻る手もあったが、向こう側に渡るのが億劫だったのと、途次に食べ物屋があると期待し、そのまま歩くことにした。フリーパスのモトはギリギリ取っているが、ほとんど得をしていない。
そうこうするうち、金沢駅に着いてしまった。改めて駅を眺めると、2015年の新幹線開業を前に、大リニューアルを行ったようである。凱旋門のシルエットにも似た「鼓門(つづみもん)」が雄大だ。
とにかく夕食である。駅ビル内をいろいろ回った結果、「グルメ杵屋」で、オムライスミートソースを食した。これにコロッケを付けて780円はまずまずの値段であろう。
食後は「German BAKERY」なるパン屋で、メロンパンなど、3つ菓子パンを買った。
これで金沢観光は終わり。しかし、やや駆け足の感は否めなかった。いずれ日を改めて、じっくり観光したいと思う。
金沢発19時18分の列車は6分遅れ。車体は東海道・山陽本線でメジャーな113系に見えた。
20時48分福井着。私は道端三姉妹のおひざ元、福井県に何とか入ることができたのである。
きょうの宿は「エース福井」を予約している。3,500円は破格の値段である。
駅前を路面電車が走っているが、これは福井鉄道だろうか。きょうは路面電車に始まり、路面電車で終わった。
30日(月)。きょうは明確な目的がある。「えちぜん鉄道」の乗りつぶしである。
えちぜん鉄道の前身は京福電気鉄道で、北陸を代表する民間鉄道だった。しかし2000年12月と2001年6月に列車事故を起こし、経営が悪化した。そこで福井市などが出資し、2003年、第3セクターえちぜん鉄道として再出発したのである。
以前も書いたが、第3セクターは応援したい。生まれ変わったローカル線を、きょうは堪能しようと思った。
きょうも天気は曇天である。いつ泣き出してもおかしくないが、仕方ない。
そのえちぜん鉄道が見当たらないが、福井駅の反対側に出たら、えちぜん鉄道の事務所兼改札口があった。こちらも1日乗車券があって、800円である。ちなみに福井鉄道のそれは500円で、両方セットだと1,200円とのこと。時間的にどうかと思ったが、セット券を買った。
三国芦原線08時41分発の電車が入線する。車体には水色のストライプが入っていて、涼しげだ。定刻に出発。
2つ先の福井口を出ると電車は登りになり、北陸本線の線路を跨いだ。後発の鉄道は先輩の鉄道線路を跨ぐのが定跡だが、乗客の私からすれば、こっちのほうが格上のような気がして、気分がいい。
09時28分、終点三国港着。ここからは東尋坊行きのバスが出ているはずだが、その時間はなさそうだ。そのまま海岸線に沿って歩いていると、温泉施設が見えてきた。「三国温泉ゆあぽーと」。よくある温泉センターの類である。
しかし10時開店で、それまで施設の前でぶらぶら時間をつぶす。10時間際になると、地元民が集まってきた。けっこう人気がありそうである。
500円を払って温泉につかる。湯船は広くて、気持ちがよかった。
脱衣所の洗面台で髪を乾かしていると、また一段と髪が薄くなっていることに愕然とした。もう、「薄いですね」の域ではない。「ハゲてますね」の範疇だ。
駅に戻ると、10時39分の列車が待っていた。この時間帯は30分ヘッドで、11時09分の電車を覚悟していたから、もうけた気分だ。
さあ、乗ろうか。…ウン?
…あああっ!!
(25日につづく)