今年(2013年12月)も、長崎県に行くことにした。主目的はもちろん、大村線川棚駅前にある「あんでるせん」にお邪魔することである。
ただ今年はちょっといろいろあって日程がはっきりせず、飛行機の予約がかなり遅くなってしまった。
気が付けばロープライスの事前割引がすべて手遅れとなっていた。どうするかと頭を抱えつつ、試しにネットで検索すると、奇跡的、という感じでJALの東京→宮崎便・15,500円があり、私は拝みながら購入した。
JALといえば数年前、私がJAL株を3,000買った翌日に、JALが上場廃止になるという笑い話があり、そこからJALとは縁が切れた。しかしJALは別れた恋人のようなもので、久々の「再会」も悪くないと思った。
今回の日程は12月12日(木)~16日(月)朝までである。あんでるせんは、14日(土)の午後5時に予約を入れていた。
12日は夕方で仕事を上がり、京浜東北線、モノレールと乗り継いで、18時55分発の1839便に乗った。
やはり大手はいい。同じ飛行機でも、新興航空会社より安心感がある。スッチーの制服が今一つだったが全体的に満足し、20時45分、宮崎空港に着陸した。
ここ宮崎空港はJRが発着していて便利だ。都心に近いという意味では福岡空港も同じだが、宮崎空港はほかに特典がある。
私が乗るべき列車は、21時07分発の特急ひゅうが8号である。これは延岡行きだが、途中宮崎までは、特急券なしで乗れるのだ。これは鉄道マニアにとって、にんまりする特典なのである。
この時間に空港から乗る客はほとんどおらず、21時16分、宮崎着。ここで降りる。わずか340円で贅沢なひとときを満喫することができた。
きょう泊まる宿は「宮崎ファイブシーズホテル」である。宮崎駅からタクシーで5分、とのことだったが、歩くうちにすぐ着くだろうと思った。
…が、歩いても歩いても、そのホテルが見つからない。途中アパホテルがあったので、フロントで聞くと、我がホテルはだいぶ先とのことだった。
宮崎ファイブシーズホテルは朝食無料で3,400円、さらに有料ビデオ(1,000円)が現在は無料である。駅から遠い不利感を、さまざまなサービスでカバーしているのだ。
またもや某ホテルで聞き込みをし、ようやく在処が分かった。大病院を横切ると、その先に宮崎ファイブシーズホテルが見えた。
しかしその手前に中華料理屋があったので、ふらふらと入る。ここが私の甘いところである。
私はすでに、羽田空港でコンビニ弁当を食していた。もうお腹はくちていたが、それでも入る。ほとんど病気である。
店の主人は年配のおやっさんだった。私はラーメンと餃子を頼む。餃子まで頼むとは、もはやふつうの食事である。
出されたラーメンは、やや脂がキツかったが、美味かった。餃子も甘味があって、美味い。私の食べっぷりを見て、おやっさんが話しかけてくる。
私はさっき東京から来たことを告げる。そして、主目的が長崎のマジック喫茶店であることも告げた。こういうケースはよくあるのだが、「あんでるせん」のことを口にするかどうかは、ケースバイケースである。
私は湾曲した500円玉を見せたが、おやっさんがどの程度驚いたか、判然としなかった。
ホテルにチャックインする。室内は可もなく不可もなかったが、無料ビデオが有料のようである。これじゃ話が違うと憤ったが、フロントに文句を言うわけにもいかない。
室内にはお茶がなかったので、1階まで飲料水を取りに行く。と、エレベーター前のカード券売機に、「ビデオは無料で見られます」の貼り紙があり、私はほっと胸をなで下ろしたのだった。
翌13日(金)。いよいよ旅の始まりである。きょうの行程のイメージは、宮崎から熊本まで、バスと鉄道を乗り継いで横断する。翌14日は熊本からフェリーで島原半島に上陸。雲仙温泉で一浴し、夕方にあんでるせん入りするつもりだ。
ホテルで無料の朝食を摂り、とりあえず駅に向かう。宮崎駅の構内には、ふわふわの美味いうどんを食べさせてくれる店があるのだが、今回はパスせざるを得ない。
私は駅内のコンビニで「宮崎交通1日乗り放題乗車券」(1,800円)を買う。5月の旅行記を読まれた方ならご存知だろうが、同乗車券は、宮崎県内のバスに乗り放題のスグレモノである。今回は一方通行の乗車予定ながら、十分元は取れる計算だった。
駅前から西都バスセンター行きのバス停を探すが、ない。駅の観光案内所は閉まっているので、バス営業所で聞くと、それは駅から少し歩いた場所にあるとのことだった。
下調べ不足のため、数十分損した。08時56分、宮交橋通支店前バス停から、206系のバスに乗った。
さて、ここで勘の鋭い読者なら、このルートにピンとくるものがあるだろう。西都バスセンターまでは途中、1984年に廃止となった、国鉄妻線の廃線跡をトレースするのである。5月に訪れたときは、日豊本線の分岐点である砂土原から徒歩で向かったため、途中で道に迷い、引き返さざるを得なかった。今回はその雪辱戦というわけである。
宮崎神宮を過ぎて数十分走ると、見覚えのある景色となった。佐土原から先、私が5月に歩いた道である。何のことはない、ふつうに宮崎駅から乗っておけばよかったのだ。
西都バスセンター、09時51分着。注意深く探せば途中で廃線跡が見えたかもしれぬが、よく分からなかった。
西都バスセンターは、街の中心地にある感じだった。さすがに、近くに廃線跡があるはずだが、どこを探していいか分からない。これも事前に調べておけばよかったのだが、むかしの情熱は失せている。それに今回のメインは、あくまでも「あんでるせん」である。加えて、次に乗るべきバス、村所(西米良)行きが10時20分で、探索している時間はなかった。
ちなみに村所の先には「ゆた~と」なる温泉施設があり、臨時バスも出ているのだが、ちょっと時間的余裕がなかった。
村所行きバスに乗り、しばらく走ると、道路の右側に、サイクリングロードが見えてきた。妻線の跡だ!!
10時35分、杉安峡着、下車。いっそのこと村所まで行っちゃおうかと思ったが、やっぱりどこかで妻線の廃線跡探訪をしたいし、杉安峡という名前にも惹かれた。どこかに峡谷があるかと考えたのである。
それよりもきょうは金曜日。旅行貯金である。私は川の袂を戻り、近くを歩いていたおばちゃんに聞くと、郵便局はすぐ近くにあるとのことだった。
さらに向こうの広大な空き地も、妻線の廃線跡とのことだった。
「ここが終点の杉安。昔はそこに国鉄の官舎があったのよ」
とおばちゃんが説明してくれた。そうだ、確か妻線の終着駅は、杉安といった。私は偶然にも、妻線の終着駅付近で降りたのである。
(つづく)
ただ今年はちょっといろいろあって日程がはっきりせず、飛行機の予約がかなり遅くなってしまった。
気が付けばロープライスの事前割引がすべて手遅れとなっていた。どうするかと頭を抱えつつ、試しにネットで検索すると、奇跡的、という感じでJALの東京→宮崎便・15,500円があり、私は拝みながら購入した。
JALといえば数年前、私がJAL株を3,000買った翌日に、JALが上場廃止になるという笑い話があり、そこからJALとは縁が切れた。しかしJALは別れた恋人のようなもので、久々の「再会」も悪くないと思った。
今回の日程は12月12日(木)~16日(月)朝までである。あんでるせんは、14日(土)の午後5時に予約を入れていた。
12日は夕方で仕事を上がり、京浜東北線、モノレールと乗り継いで、18時55分発の1839便に乗った。
やはり大手はいい。同じ飛行機でも、新興航空会社より安心感がある。スッチーの制服が今一つだったが全体的に満足し、20時45分、宮崎空港に着陸した。
ここ宮崎空港はJRが発着していて便利だ。都心に近いという意味では福岡空港も同じだが、宮崎空港はほかに特典がある。
私が乗るべき列車は、21時07分発の特急ひゅうが8号である。これは延岡行きだが、途中宮崎までは、特急券なしで乗れるのだ。これは鉄道マニアにとって、にんまりする特典なのである。
この時間に空港から乗る客はほとんどおらず、21時16分、宮崎着。ここで降りる。わずか340円で贅沢なひとときを満喫することができた。
きょう泊まる宿は「宮崎ファイブシーズホテル」である。宮崎駅からタクシーで5分、とのことだったが、歩くうちにすぐ着くだろうと思った。
…が、歩いても歩いても、そのホテルが見つからない。途中アパホテルがあったので、フロントで聞くと、我がホテルはだいぶ先とのことだった。
宮崎ファイブシーズホテルは朝食無料で3,400円、さらに有料ビデオ(1,000円)が現在は無料である。駅から遠い不利感を、さまざまなサービスでカバーしているのだ。
またもや某ホテルで聞き込みをし、ようやく在処が分かった。大病院を横切ると、その先に宮崎ファイブシーズホテルが見えた。
しかしその手前に中華料理屋があったので、ふらふらと入る。ここが私の甘いところである。
私はすでに、羽田空港でコンビニ弁当を食していた。もうお腹はくちていたが、それでも入る。ほとんど病気である。
店の主人は年配のおやっさんだった。私はラーメンと餃子を頼む。餃子まで頼むとは、もはやふつうの食事である。
出されたラーメンは、やや脂がキツかったが、美味かった。餃子も甘味があって、美味い。私の食べっぷりを見て、おやっさんが話しかけてくる。
私はさっき東京から来たことを告げる。そして、主目的が長崎のマジック喫茶店であることも告げた。こういうケースはよくあるのだが、「あんでるせん」のことを口にするかどうかは、ケースバイケースである。
私は湾曲した500円玉を見せたが、おやっさんがどの程度驚いたか、判然としなかった。
ホテルにチャックインする。室内は可もなく不可もなかったが、無料ビデオが有料のようである。これじゃ話が違うと憤ったが、フロントに文句を言うわけにもいかない。
室内にはお茶がなかったので、1階まで飲料水を取りに行く。と、エレベーター前のカード券売機に、「ビデオは無料で見られます」の貼り紙があり、私はほっと胸をなで下ろしたのだった。
翌13日(金)。いよいよ旅の始まりである。きょうの行程のイメージは、宮崎から熊本まで、バスと鉄道を乗り継いで横断する。翌14日は熊本からフェリーで島原半島に上陸。雲仙温泉で一浴し、夕方にあんでるせん入りするつもりだ。
ホテルで無料の朝食を摂り、とりあえず駅に向かう。宮崎駅の構内には、ふわふわの美味いうどんを食べさせてくれる店があるのだが、今回はパスせざるを得ない。
私は駅内のコンビニで「宮崎交通1日乗り放題乗車券」(1,800円)を買う。5月の旅行記を読まれた方ならご存知だろうが、同乗車券は、宮崎県内のバスに乗り放題のスグレモノである。今回は一方通行の乗車予定ながら、十分元は取れる計算だった。
駅前から西都バスセンター行きのバス停を探すが、ない。駅の観光案内所は閉まっているので、バス営業所で聞くと、それは駅から少し歩いた場所にあるとのことだった。
下調べ不足のため、数十分損した。08時56分、宮交橋通支店前バス停から、206系のバスに乗った。
さて、ここで勘の鋭い読者なら、このルートにピンとくるものがあるだろう。西都バスセンターまでは途中、1984年に廃止となった、国鉄妻線の廃線跡をトレースするのである。5月に訪れたときは、日豊本線の分岐点である砂土原から徒歩で向かったため、途中で道に迷い、引き返さざるを得なかった。今回はその雪辱戦というわけである。
宮崎神宮を過ぎて数十分走ると、見覚えのある景色となった。佐土原から先、私が5月に歩いた道である。何のことはない、ふつうに宮崎駅から乗っておけばよかったのだ。
西都バスセンター、09時51分着。注意深く探せば途中で廃線跡が見えたかもしれぬが、よく分からなかった。
西都バスセンターは、街の中心地にある感じだった。さすがに、近くに廃線跡があるはずだが、どこを探していいか分からない。これも事前に調べておけばよかったのだが、むかしの情熱は失せている。それに今回のメインは、あくまでも「あんでるせん」である。加えて、次に乗るべきバス、村所(西米良)行きが10時20分で、探索している時間はなかった。
ちなみに村所の先には「ゆた~と」なる温泉施設があり、臨時バスも出ているのだが、ちょっと時間的余裕がなかった。
村所行きバスに乗り、しばらく走ると、道路の右側に、サイクリングロードが見えてきた。妻線の跡だ!!
10時35分、杉安峡着、下車。いっそのこと村所まで行っちゃおうかと思ったが、やっぱりどこかで妻線の廃線跡探訪をしたいし、杉安峡という名前にも惹かれた。どこかに峡谷があるかと考えたのである。
それよりもきょうは金曜日。旅行貯金である。私は川の袂を戻り、近くを歩いていたおばちゃんに聞くと、郵便局はすぐ近くにあるとのことだった。
さらに向こうの広大な空き地も、妻線の廃線跡とのことだった。
「ここが終点の杉安。昔はそこに国鉄の官舎があったのよ」
とおばちゃんが説明してくれた。そうだ、確か妻線の終着駅は、杉安といった。私は偶然にも、妻線の終着駅付近で降りたのである。
(つづく)