何と、乗客がひとりもいなかった。始発で私ひとり、は経験があるが、3両編成の貸し切りは初めてである。
くま川鉄道は旧JR湯前線で、平成元年に第3セクターとして誕生した。
第3セクターについては、いままで「青春18きっぷ」で乗れたものが、別料金が必要となる、その料金も割高である、無駄な乗り換えが多くなる、などあまり好きになれなかった。
しかし20年以上廃線跡を訪ねるうち、どんな形でも鉄路として残っていれば佳、の考えを持つようになった。よってくま川鉄道も応援したいが、この惨状では未来が暗い。鉄道ファンが鉄道会社に落とす金はたかが知れている。もっと地元の人が乗らないとダメである。
15時37分出発。企画列車が連結されているので、車内探検が楽しい。何駅かあとに、客も乗ったようだ。
16時ちょうど、おかどめ幸福で下車する。乗車賃360円は安かった。
さて「幸福駅」といえば旧国鉄広尾線の幸福駅が有名だが、「現役」はここ、おかどめ幸福駅のみである。名前に惹かれ、以前から訪れたいと思っていたのだが、今回は予定より早くくま川鉄道に乗れたため、途中下車の余裕ができた。
駅舎は瓦屋根の風格ある佇まいだ。駅の左手に丘があり、手前の鳥居には「幸福神社」の額束があった。しかしこれが正式名称とは思われない。「岡留神社」あたりが正式名称と思われる。
丘を登ると、小公園になっていた。神殿は見当たらなかったが、参拝が目的ではないので、一憩したのち、駅に戻る。その傍らに商店があったので中に入り、200円のお弁当を買った。
駅に戻って、駅舎内で遅い昼食である。塩むずび2コにサバ1切れと干瓢。これで200円は安いほうだ。
まったく、3食このくらいの食事で済ませれば、すぐにダイエットできる。しかしそううまくはいかないのが、中年のダイエットである。
16時58分の列車に乗る。今度は乗客もそこそこいた。タイム22分で、人吉温泉着。
次に乗るべきはJR肥薩線である。しかし次は18時25分で、1時間ほどの待ち時間がある。駅を出ると、向かいのビジネスホテル内に立ち寄り温泉があり、入ることにした。駅前にすぐ温泉が湧いている。さすがは温泉王国九州だ。
入浴料300円の人吉温泉は、湯船、洗い場とも狭かったが、ちょうどほかの客と入れ替わる形となり、まずまず満足のいく温泉となった。
駅に戻り休んでいると、どこからか音楽が流れてくる。振り向くと、駅前の櫓から、からくり人形が姿を現わし、和音楽を奏でていた。すなわち、午後6時の合図であった。
肥薩線に乗る。同線は日本の鉄道10指に入る名路線で、沿線には日本の3大車窓といわれる、矢岳越えがある。鉄道に興味のない人でも、一度乗ってみるとよい。
19時48分、八代(やつしろ)着。八代は言うまでもないが、歌手・八代亜紀の出身地で、芸名はこの地名から取っている。また八代は畳の名産地でもあるが、いまは中国製に押されている。もっとも、その生産技術を教えたのが八代の畳職人というから、笑うに笑えない。こうやって日本製品は、外国製品に駆逐されてゆくのだ。
19時53分発の鹿児島本線上り普通列車で、熊本に向かう。車内はほどよい混み具合で、熊本まで立って行った。
20時30分、熊本着。すぐに熊本市電のA系統に乗り換え、辛島町で降りた。そのままアーケード街を歩く。私はアーケード街を歩くのが好きなのである。
しばらく歩くと、右手にリンガーハットが見えてきた。きょうの夕食はここで摂る。旅に出てまでチェーン店か、と笑われそうだが、どうせ一人旅だから、私の勝手にさせてもらう。まあこれが二人旅だったら、海鮮料理の店に入るかもしれないが。
リンガーハットではちゃんぽんと皿うどんの両方を食べたかったが、ハーフ&ハーフのそれに餃子3コがついたセットメニューがあり、それを頼んだ。
美味しく食べて799円。これは安いと言うべきだろう。もししゃれた店で同じメニューを食べたら、1,300円ぐらいするかもしれない。
さて今夜の宿は、河原町電停前にある「スーパーホテルLohas熊本天然温泉」である。現在ブログを休止しているので、ネットカフェのことを考えないで済むのがうれしい。
スーパーホテルは、いま流行りのエコを旗印にしていて、宿泊客にもそれを促している。たとえばルームキーはなく、ドアに付けられているテンキーに暗証番号を打ち込む方式だ。
温泉が湧いているので、もらいに行く。さっき温泉に入ったのが失敗だった気もするが、まあいい。
温泉施設はそこそこ広くて、気持ちのいいお湯だった。
が、暗証番号を間違えて憶えたようで、我が部屋に入れなくなった。印字された紙を、用心のため部屋に置いてきたのがアダとなった。
エレベーター脇の電話でフロントに事情を話し事なきを得たが、あぶないところだった。
翌14日(土)。いよいよきょうは年に一度のお楽しみ、長崎県のあんでるせんに行く日である。ここに行くために、宮崎県から助走を付けてきたのだから、気合は十分である。
さて事前のイメージでは、きょうは夕方までに熊本から島原半島に渡り、雲仙温泉に入るというものだった。
しかしいろいろあって、佐世保に行くことになった。
(つづく)
くま川鉄道は旧JR湯前線で、平成元年に第3セクターとして誕生した。
第3セクターについては、いままで「青春18きっぷ」で乗れたものが、別料金が必要となる、その料金も割高である、無駄な乗り換えが多くなる、などあまり好きになれなかった。
しかし20年以上廃線跡を訪ねるうち、どんな形でも鉄路として残っていれば佳、の考えを持つようになった。よってくま川鉄道も応援したいが、この惨状では未来が暗い。鉄道ファンが鉄道会社に落とす金はたかが知れている。もっと地元の人が乗らないとダメである。
15時37分出発。企画列車が連結されているので、車内探検が楽しい。何駅かあとに、客も乗ったようだ。
16時ちょうど、おかどめ幸福で下車する。乗車賃360円は安かった。
さて「幸福駅」といえば旧国鉄広尾線の幸福駅が有名だが、「現役」はここ、おかどめ幸福駅のみである。名前に惹かれ、以前から訪れたいと思っていたのだが、今回は予定より早くくま川鉄道に乗れたため、途中下車の余裕ができた。
駅舎は瓦屋根の風格ある佇まいだ。駅の左手に丘があり、手前の鳥居には「幸福神社」の額束があった。しかしこれが正式名称とは思われない。「岡留神社」あたりが正式名称と思われる。
丘を登ると、小公園になっていた。神殿は見当たらなかったが、参拝が目的ではないので、一憩したのち、駅に戻る。その傍らに商店があったので中に入り、200円のお弁当を買った。
駅に戻って、駅舎内で遅い昼食である。塩むずび2コにサバ1切れと干瓢。これで200円は安いほうだ。
まったく、3食このくらいの食事で済ませれば、すぐにダイエットできる。しかしそううまくはいかないのが、中年のダイエットである。
16時58分の列車に乗る。今度は乗客もそこそこいた。タイム22分で、人吉温泉着。
次に乗るべきはJR肥薩線である。しかし次は18時25分で、1時間ほどの待ち時間がある。駅を出ると、向かいのビジネスホテル内に立ち寄り温泉があり、入ることにした。駅前にすぐ温泉が湧いている。さすがは温泉王国九州だ。
入浴料300円の人吉温泉は、湯船、洗い場とも狭かったが、ちょうどほかの客と入れ替わる形となり、まずまず満足のいく温泉となった。
駅に戻り休んでいると、どこからか音楽が流れてくる。振り向くと、駅前の櫓から、からくり人形が姿を現わし、和音楽を奏でていた。すなわち、午後6時の合図であった。
肥薩線に乗る。同線は日本の鉄道10指に入る名路線で、沿線には日本の3大車窓といわれる、矢岳越えがある。鉄道に興味のない人でも、一度乗ってみるとよい。
19時48分、八代(やつしろ)着。八代は言うまでもないが、歌手・八代亜紀の出身地で、芸名はこの地名から取っている。また八代は畳の名産地でもあるが、いまは中国製に押されている。もっとも、その生産技術を教えたのが八代の畳職人というから、笑うに笑えない。こうやって日本製品は、外国製品に駆逐されてゆくのだ。
19時53分発の鹿児島本線上り普通列車で、熊本に向かう。車内はほどよい混み具合で、熊本まで立って行った。
20時30分、熊本着。すぐに熊本市電のA系統に乗り換え、辛島町で降りた。そのままアーケード街を歩く。私はアーケード街を歩くのが好きなのである。
しばらく歩くと、右手にリンガーハットが見えてきた。きょうの夕食はここで摂る。旅に出てまでチェーン店か、と笑われそうだが、どうせ一人旅だから、私の勝手にさせてもらう。まあこれが二人旅だったら、海鮮料理の店に入るかもしれないが。
リンガーハットではちゃんぽんと皿うどんの両方を食べたかったが、ハーフ&ハーフのそれに餃子3コがついたセットメニューがあり、それを頼んだ。
美味しく食べて799円。これは安いと言うべきだろう。もししゃれた店で同じメニューを食べたら、1,300円ぐらいするかもしれない。
さて今夜の宿は、河原町電停前にある「スーパーホテルLohas熊本天然温泉」である。現在ブログを休止しているので、ネットカフェのことを考えないで済むのがうれしい。
スーパーホテルは、いま流行りのエコを旗印にしていて、宿泊客にもそれを促している。たとえばルームキーはなく、ドアに付けられているテンキーに暗証番号を打ち込む方式だ。
温泉が湧いているので、もらいに行く。さっき温泉に入ったのが失敗だった気もするが、まあいい。
温泉施設はそこそこ広くて、気持ちのいいお湯だった。
が、暗証番号を間違えて憶えたようで、我が部屋に入れなくなった。印字された紙を、用心のため部屋に置いてきたのがアダとなった。
エレベーター脇の電話でフロントに事情を話し事なきを得たが、あぶないところだった。
翌14日(土)。いよいよきょうは年に一度のお楽しみ、長崎県のあんでるせんに行く日である。ここに行くために、宮崎県から助走を付けてきたのだから、気合は十分である。
さて事前のイメージでは、きょうは夕方までに熊本から島原半島に渡り、雲仙温泉に入るというものだった。
しかしいろいろあって、佐世保に行くことになった。
(つづく)