一公の将棋雑記

将棋に関する雑記です。

28日の倉敷藤花戦は、室谷女流二段の勝ち!!

2016-09-29 22:19:49 | 女流棋戦
昨日の第24期倉敷藤花戦の挑戦者決定戦、上田初美女流三段VS室谷由紀女流二段戦は、室谷女流二段の勝ち!! マイナビ女子オープンに続いて、2度目のタイトル戦登場となった。
実は本局、午後の経過は見ていなかったので、対局終了後に記譜を再生した。しかし室谷女流二段の囲いが薄く、これは負けたんだろうナ、と思いながら見ていた。
ところが、室谷女流二段が快勝。固さより広さを重視した室谷女流二段の指し手に感服した、というわけだった。
では、本局を簡単に振り返ってみよう。

昨日書いたとおり、序盤は室谷女流二段の構想が空回り気味で、上田女流三段が指しやすいように見えた。
…が、▲2八飛が上田女流三段の疑問手とされた。というのは、室谷女流二段に△3五歩▲同銀△3八歩の手段が生じたから。
▲6五歩の銀取りに、室谷女流二段は△同銀。ここは△7三銀と守りを固めるのがよしとされたが、オンナはそんな軟弱な手は指さないのである。
数手進んで、▲6八金上もマズかったらしい。室谷女流二段は△4八角。ここ、上田女流三段は△3九歩成を読んでいたという。まあそうだろう。△3八歩と打ったからには△3九歩成としそうなものだ。そこをギアチェンジの△4八角はちょっと浮かびづらい。
上田女流三段は動揺したか▲2七飛と浮いたが、ここも▲3八飛がよかったという。
ここから室谷女流二段の指し手が冴えまくる。数手進んで△3三角の竜取り。手順に飛車を交換し、▲7四桂の脅しには△7三歩と落ち着いたものだ。
▲4五銀の角取りには、△2二歩と飛車取りで返す。このあたりの室谷女流二段の指し手は味わい深く、盤に並べたいところだ。
このあと大駒のハデな交換が行われたが、一段落して△7四歩と桂を外して、素人目にも後手優勢が見えてきた。
さらに進んで113手目▲2二飛成に、室谷女流二段は△5二金引。この金引きが落ち着いた好手で、先手に手段が尽きたようだ。以下、室谷女流二段が寄せに転じて、うれしい勝利となった。
上田女流三段はちょっと元気がなかったか。序盤は優位に進めていたのに、あまり自信はなかったようである。ふだんは強気?の上田女流三段にしては珍しいことだ。
しかし▲2八飛引や▲6八金引が疑問手とは、将棋はつくづくむずかしい。何かの時のアタリを避けて▲2八飛引きはある手だし、玉の脇を締めて玉頭を厚くする▲6八金上もふつうの手に見える。また△4八角にも飛車のタテ利きを残して▲2七飛と浮きたくなるではないか。
少なくとも私たちレベルでこの手を指しても、先手が咎められることはない。そのまま先手のネライが炸裂して、先手が快勝していたはずである。
本局は室谷女流二段の会心局。とくに受けの力が素晴らしく、中盤以降の指し回しは大山十五世名人の指し手を見るかのようだった。

里見香奈倉敷藤花との三番勝負は、11月8日から。里見倉敷藤花は奨励会三段だが、室谷女流二段も加藤桃子女王(奨励会初段)とのタイトル戦ではほぼ互角に渡りあったから、室谷女流二段にも十分勝機はある。当人もその日まで猛勉強するらしく、その意気やよしである。私が倉敷まで応援に行くかどうかは分からないが、とにかく健闘を祈ります。
コメント (3)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする