一公の将棋雑記

将棋に関する雑記です。

第11回世田谷花みず木女流オープン戦(3)

2018-05-23 00:06:57 | 将棋イベント
あのメモ用紙がなければ、今回のイベントがブログに書けない。しかしメモを探そうにも、この突風では、どこかに落ちた用紙など吹き飛ばされているだろう。
私は行きつ戻りつを繰り返したが、結局高島屋S・Cに戻った。
6階会場に上がったが、念のためエスカレーター周りを調べてみる。再び1階に降り、上がっていく。4階で渡部愛女流二段とバッタリ遭ったが、私はメモのことで頭が一杯で、「決勝戦ガンバッテください」と散文的なことしか言えない。
しかし…。渡部女流二段は5月にも女流王位戦五番勝負を控えて充実しているのに、自分は何をやっているのだろう。
6階は、子ども竜王戦の真っ最中だった。現在は中学生の決勝戦が行われていた。解説は島朗九段、聞き手は鈴木環那女流二段の黄金コンビである。
島九段が鈴木女流二段に、「今日は対局者だったのに聞き手にかりだしてしまって申し訳ありません」みたいなことを言う。鈴木女流二段は「いえいえ」と返す。相変わらず息が合っている。
局面は終盤である。もちろん双方秒読みだ。
「私もJT杯に出たことがあるんですけど、公開対局の場で秒読みは厳しいです」と島九段。「将棋は慌てないことが大事です」
形勢は先手君がいいようだが、後手君も追い上げている。後手勝ちか、と思った瞬間、先手君が後手玉を長手数で詰ました。中学生ともなると、さすがに将棋がしっかりしている。
私のすぐ近くに、谷口由紀女流二段と飯野愛女流初段がいた。私は両者に1局ずつ将棋を教わったことがあるが、べつに挨拶には行かない。あちらは私を憶えてないだろうし、行っても迷惑を掛けるだけである。
近くに中村修九段がいたので、一声掛けさせていただく。
「先生、昨年LPSAのパーティーでお会いした時、話をさせていただいた者なんですが、その時先生は、順位戦は初戦の(中村)太地戦に勝てば何とか…とおっしゃっていましたが、負けましたね。(順位戦の)後半は追い上げましたけど」
私のイヤミ?に、中村九段は苦笑する。今期の中村九段は期待していいのだろうか。
表彰式が行われ、飯野健二七段の講評となった。
「今日は朝早くからお疲れ様でした。決勝戦は格調高い、素晴らしい内容でした。
現在藤井聡太六段が活躍していますが、藤井六段も昔から強かったわけではなく、小学生のころからがんばっていました。
将棋は単なるゲームではなく、自ら考え、見出していくところに面白味があります…」

子ども竜王戦が滞りなく終わり、最後は本日のメインイベント、花みず木女流オープン戦・決勝戦である。
対局者は中村真梨花女流三段と渡部女流二段。2人が登場した。決勝戦の見どころのひとつは両者のきもの姿で、どちらも艶やかである。
対局前のインタビュー。
渡部女流二段「(きものを着て)気が引き締まります」
中村女流三段「自分らしい将棋が指せるようがんばります」
渡部女流二段「私もがんばります」
対局前の撮影タイムがあったが、私はうまく撮れなかった。
解説は中村修九段と森下卓九段。何と、島九段は登板しなかった。
森下九段「今回はグランドチャンピオン戦ということで、選りすぐりの強者が決勝に残りました」
中村九段「私は聞き手に回ります」
渡部女流二段の先手で対局開始となった。

初手からの指し手。▲2六歩△3四歩▲7六歩△4四歩▲4八銀△4二飛▲6八玉△9四歩▲7八玉△3二銀▲5八金右△7二銀▲5六歩△6二玉▲5七銀(第1図)

戦前の予想通り、中村女流三段の四間飛車となった。居玉で早めの端歩突きは、藤井システムというべきか。
森下九段「今の若い人は、藤井システムを(藤井)聡太システムと思っている人もいるらしいですね」
中村女流三段は△6二玉と上がり、通常の四間飛車に戻った。渡部女流二段は▲5七銀と上がり、左美濃か穴熊か。

第1図以下の指し手。△7一玉▲7七角△3三角▲2五歩△8二玉▲8八玉△4五歩▲9六歩△3五歩▲7八銀△5二金左▲8六歩△6四歩▲6六歩△5四歩▲6七金△6三金(第2図)

森下九段「美濃囲いに組むには△8二玉から△7二銀が一般的ですが、△7二銀を先にして、△7一玉から組む手順を見た時は、感動しました」
中村九段「……」
中村九段は、そんなに感動します? という顔だ。「まあ7一で戦いが起こった時はいいですね」
中村女流三段は△4五歩と角道を通し、渡部女流二段は▲9六歩。両解説者が「おー」と口を揃えた。
△3五歩には▲7八銀とし、左美濃を採った。森下九段「後手が急戦を狙ってくるので、左美濃に収めました」
△6四歩には▲6六歩△4四飛▲6五歩の進行が考えられる、と両九段。
森下九段「▲5五歩もありますか」
中村九段「(堂々と)符号を言わないでください」
なんだか、漫才を見ているようだ。
渡部女流二段はやはり▲6六歩とした。銀冠への第一歩だろうか。
中村九段「森下先生の銀冠は大したもんですから」
森下九段が銀冠に組めば必勝だった、と言う。
森下九段「イエイエ30年前の話で」

第2図以下の指し手。▲3六歩△5五歩▲2四歩△同歩▲3五歩△5六歩▲同銀△4六歩▲3四歩△2二角▲6五歩△7七角成▲同桂△4七歩成▲6四歩△6二金引(第3図)

▲3六歩に、行きましたねぇー、と解説陣。中村女流三段も△5五歩と応じ、「迫力がある手ですよ」と森下九段。以下▲3五歩△5六歩▲同銀△5五歩▲3四歩△2二角▲6五歩、が大盤に並べられる。本譜は△5五歩のところで△4六歩の突きを入れた。
渡部女流二段、とりあえず▲3四歩△2二角を入れる。
森下九段「中盤戦の始まりというところですか」
渡部女流二段は▲4六歩と戻さず、▲6五歩と行った。「なるほどいきなり行きました」
しかし角を換わったあと△4七歩成も大きい気がする。
▲6四歩△6二金引を利かせて、さて渡部女流二段はどうするのか。

(つづく)
コメント
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