一公の将棋雑記

将棋に関する雑記です。

山根ことみ女流初段の指導対局会(中編)

2018-10-04 00:42:17 | 女流棋士の指導対局会

第3図以下の指し手。▲5七銀引△3七歩▲同銀△2五銀▲2二角△4四角▲6六歩△5五歩▲同歩△3六歩▲2八銀△5五角▲3三角成(第4図)

山根ことみ女流初段の手つきは「ピシッ」という感じではなく、駒をスイ……と前に押しやる独特のもの。しかしこのほうが凄みを感じる。
下手勢はみな押し黙って対局しており、軽口も聞こえない。
第3図では▲8八角か▲2二角か▲2二歩か。▲8八角が定跡だろうが、そう進むと、研究の差で負かされると思った。
それで▲5七銀引とした。いかにも退廃的だが、以前コンピュータ将棋との一戦で、こう指されて困ったことがあったので、対策を教えてもらおうと思ったのだ。
山根女流初段の解答は△3七歩~△2五銀だった。しかしこれは下手が1歩をもらい、上手の銀がソッポなので、ありがたい気がした。もちろん山根女流初段は、あえて外してくれたのだろう。
私は▲2二角。香が浮いてないので、この場合は敵陣に打つのがベターだと判断した。
△4四角~△5五歩に私は▲同歩。これには△5五同角がワンセットと思いきや、先に△3六歩と打たれてシビれた。
対して▲4八銀右では△5五角の時香取りになるので2八に引いたが、これでは銀が遊んでしまい、面白くなかった。戻って△4四角には、すぐ飛車を取るのだった。
私は▲3三角成。

第4図以下の指し手。△3三同角▲5六歩△6四歩▲4一飛△6五歩▲2一飛成△6六歩▲7七桂△4六歩▲同歩△5五歩▲6六銀△5六歩▲5五歩△5七歩成▲同金△1二角▲同竜△同香(第5図)

山根女流初段はさして考えず△3三同角と取ったが、私は△3三同桂で、後の△2八角成~△6四角を見せられたほうがイヤだった。
もっとも△3三同角でも△5六歩▲同銀△6六角の狙いがあるから、私は▲5六歩と謝る。しかしここは▲6七金とし、上部を厚くするべきだった。
△6四歩と突かれて、次の△6五歩が厳しい。対して▲7七桂は△7四歩と替わって面白くない。受けてもいられないので、▲4一飛と下ろした。
私は桂得し、△6六歩には▲7七桂と跳ねる。どうして私の将棋は、いつも囲いが薄くなってしまうのだろう。
△4六歩は意味が分からなかったが、△5五歩で意味が分かった。すなわち▲5五同歩なら△1二角の王手竜だ。一応▲同竜と取れるが、飛車を渡すとまずい。
私も工夫をしたが、結局△5七歩成で王手竜の筋を通されてしまった。▲5七同銀は△6五角の飛車竜取りがあるので(錯覚。実際は桂が利いていて打てない)▲5七同金だが、またも駒が上擦ってしまった。
△1二角には竜角交換し、さて次の手は。

第5図以下の指し手。▲6七角△5六歩▲同角△4九飛▲3九銀△4四角▲6七角△4八歩(第6図)

第5図で目につくのは▲6四桂だが、桂も渡すし、あまり得にならないと思った。
それより現状、下手陣の脅威は△4九飛だ。現在は単騎なので捕獲できそうだが、打たれないに越したことはない。それで▲6七角と打った。一瞬気が利かないようだが、▲1二角成から自陣に引き揚げれば手厚いし、また▲5六馬~▲8六香~▲7五桂の反撃も望める。実は9月27日に指された王位戦予選、谷川浩司九段VS小林健二九段戦で、先手の谷川九段が▲8四歩△同歩~▲7五桂~▲4七角の筋で快勝しており、本局もそれを目指したのだ。
山根女流初段は△5六歩▲同角と角筋を変え、強引に△4九飛と打ち込んできた。
ここで手堅いのは▲3九歩だが、それでは▲2八の銀が泣く。そこで疑問手を承知で、▲3九銀と引いた。
△4四角は一手の価値がなさそうだが、△3五角や△2六角を見ている。私は再び▲6七角と引き、飛車取り。そこで△3九飛成▲同飛△4八銀▲3八飛△5七銀成▲同銀△4七金を読んだが、軌道修正が利かなかった。
実戦は山根女流初段が△4八歩と辛抱したが、これでは私が指しやすくなった。
が、好事魔多し。安心した私は、悪手を指す。

第6図以下の指し手。▲1二角成△2六角▲5六馬△3七歩成▲同桂△3六銀▲2八銀△2九飛成(第7図)

左のShin氏戦は、Shin氏が強気な指し回しで、山根女流初段を追い込んでいる。私も早指しのほうだが、私より早く指してしかも下手優勢とは、何となく面白くない。
私は▲1二角成と香を取ったが、△2六角と出られて青くなった。
半分遊んでいた角に躍り出られたからで、これはマズい。▲1二角成ではじっと▲2七歩(参考1図)が正着で、これで上手は指しようがなかった。

本譜は▲5六馬と引いたがこれもやや疑問で、ここでも▲2七歩と催促すればよかった。
山根女流初段は歩成から△3六銀と出る。あの銀にも活用され、クサッタ。
しかも次は△3七銀成があるから▲2八銀と上がったが、△2九飛成で、この飛車にも生還されてしまった。まったく泣きっ面に蜂とはこのことで、網が破れてはもうダメである。もはや戦意喪失で、投げよう、と思った。

(つづく)
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