一公の将棋雑記

将棋に関する雑記です。

リターンマッチの難易度

2018-10-08 00:10:15 | 将棋雑記
第59期の王位戦七番勝負で菅井竜也七段は虎の子の王位を取られ、豊島将之二冠が誕生した。
菅井七段はリターンマッチを狙うわけだが、その道のりは険しい。
そこで今日は、タイトルを奪取された棋士が、翌期の番勝負に登場する難易度を調べてみた。
まず、挑戦までの道のりを示す。

・竜王戦 16名によるランキング戦1組で優勝~5位に入り、11名による本戦トーナメントで勝つ。
・名人戦 10名による順位戦A級で優勝する。
・叡王戦 24名による本戦トーナメントで優勝する。
・王位戦 6名による挑戦者決定リーグで優勝し、挑戦者決定戦で勝つ。
・王座戦 16名による挑戦者決定トーナメントで4連勝する。
・棋王戦 34名による挑戦者決定トーナメントで優勝する。
・王将戦 7名による挑戦者決定リーグで優勝する。
・棋聖戦 16名による決勝トーナメントで4連勝する。

個別に見てみよう。
まず竜王戦は、前期敗者の恩恵がほとんどなく、ランキング戦1組から指す。ただし3組以下の挑戦者は、1組にジャンプアップできるのが大きい。
1組では4勝(優勝)するのが最短。これだと本戦トーナメントのベスト4にシードされるので、準決勝○、決勝三番勝負に2勝で挑戦できる。
1組は1敗までセーフで、たとえばランキング戦の初戦に負けても、本戦出場者決定戦で3連勝し5位に食い込めば、本戦トーナメントに出場できる。ただしここから合計5勝が必要となる。かつて羽生善治竜王が、「竜王戦は決勝トーナメントが2つある」と語ったのは、このシステムのことを指している。

名人戦は、順位戦A級で優勝する。しかし最高実力者の10人が相まみえるのだから、優勝は気が遠くなるほど険しい。
1999年の第57期名人戦は、挑戦者の谷川浩司九段が佐藤康光名人に3勝4敗で敗れたのだが、第6局は名人の玉に即詰みの順があったのに、谷川九段はそれを逃した。谷川九段が翌期の順位戦を戦っている時、「6局目で奪取を決めていれば、いま順位戦を指さなくてもよかったのに……」と述懐したのは有名である。

叡王戦は24名によるトーナメントだが、たぶん前期タイトル戦敗者は優遇されるはずだから、4勝で優勝となるはずである。

王位戦は紅白いずれかのリーグで優勝し、挑戦者決定戦で勝つことになる。王位戦は若手実力者がリーグ入りしやすく、ここもスンナリとリターンマッチというわけにはいかない。

王座戦は挑戦者決定トーナメントから出場するので、4連勝でよい。

棋王戦挑戦者決定トーナメントは参加人数が多いが、前期敗者は優遇されるので、最短5勝で挑戦者になれる。

王将戦は7名による挑戦者決定リーグで優勝する。予選は上位陣が手厚くシードされているので、リーグの7名は順位戦A級に劣らぬメンバーである。ここで勝ち抜くのも至難の業だ。なおプレーオフになった場合、上位2名が進めるので、順位1位のアドバンテージがある。

棋聖戦も、決勝トーナメントの4連勝が必要。

以上を総合し、難易度は上から、

・竜王戦
・名人戦(順位戦A級)
・王将戦
・王位戦
・棋王戦
・叡王戦
・王座戦
・棋聖戦

とした。
竜王戦は挑戦までに2敗、順位戦A級もまあ2敗はできるが、竜王戦はランキング戦で2敗したらアウトだ。よって、竜王戦を難易度1位とした。
もっとも最下位の棋聖戦だって、トーナメントの初戦で負けたらもう終わりなのだから、厳しいことに変わりはない。
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする