一公の将棋雑記

将棋に関する雑記です。

第31期竜王戦第2局

2018-10-26 01:11:21 | 男性棋戦
将棋界最高の公式戦、第31期竜王戦七番勝負第1局は、羽生善治竜王が広瀬章人八段に競り勝ち、幸先よいスタートを切った。そして第2局は23日、24日に、福岡県福津市で行われた。ここで広瀬八段が負けるとかなり苦しくなり、早くも背水の陣である。
将棋は第1局に続いて、角換わり相腰掛け銀となった。私が注目したのは、50手目の△7六角である(図)。


この手、第1局の変化でも出てきた(参考図)。こちらの△7六角には▲4七玉が絶品で、以下△8七角成にA▲8二歩△同飛▲7一角△7二飛▲6二角成△同飛▲8七金△6六飛は後手十分。よってB▲8七同金△同飛成▲7四歩で激戦……が、新橋の大盤解説およびネット解説の結論だった。
第1局は広瀬八段が△7六角を見送り△8四飛と浮いたのだが、私にはこの角がかなり魅力的に映った。そしてそれは羽生竜王も同じだったのではあるまいか。
折しも第2局でも、部分的に同じ筋が現れた。しかも第1局と違って先手の玉は「7九」である。敵将がすぐ近くにいるわけで、羽生竜王は果敢に△7六角と放った。

本譜は以下▲6五歩△8七角成。ここで控室の検討は第1局と同じ▲8二歩△同飛▲7一角。あるいは▲8七同金△同飛成▲7七銀だった。ところが広瀬八段は第三の手、▲8八歩と大人しく受けた。
と、ここで羽生竜王が△7八馬と切ったのに驚いた。
ここ、先手に桂馬は取られたものの馬の威力は大きく、ふつうに△7六馬と引いても後手が十分だと思った。大山康晴十五世名人ならそう指した気がする。然るに△7八馬とは!
▲7八同玉に△6五銀。歩を取りながら銀が進出してここまでの手自体は気分がいい。が、それでも持駒は「金歩3」である。とてもこの戦力で先手陣を攻略できるとは思えず、私(たち)が同じ手順を指したらこの局面でハッと我に返り、「暴走しちゃったかなァ」と後悔するのが関の山である。広瀬八段も、この局面は自信があったのではあるまいか。
ところが実戦が進行すると、意外に難しい。羽生竜王の攻めがしつこいのである。途中では後手の角損近くまでになったが、それでも難しい。
私は手なぐさみにコンピューター将棋を指すことがあるが、彼の将棋がまさにそうで、駒損をいとわず、細かい攻めをよく繋げてくるのだ。私の感覚では、銀損くらいまでなら、攻めているコンピューターが有利だ。
本局はプロ最高峰の将棋だから一概には決められないが、それでも攻めている羽生竜王のほうが気分がいいのではと思った。
実戦は広瀬八段の形勢がよかったようだが、受けても受けても妙なところから攻め筋を見出され、広瀬八段も辟易したのではないか。受けの最善手が最後まで続かず、ついに逆転。広瀬八段も反撃に転じたが、150手までで羽生竜王の勝利となった。
ふぅ~……。またも激戦である。攻めている羽生竜王に流れが行っている気はしたが、広瀬八段は抗い切れなかったようである。将棋は攻めているほうが勝つ、を証明した一局となった。
これで羽生竜王の2連勝となり、タイトル100期に向けて死角なし。
一方の広瀬八段は苦しくなった。竜王相手に、これから5局を4勝1敗で乗り切らねばならないとは辛い。ただ、どちらも勝機はあったのだから、自信は喪失してないはず。第3局以降もいい将棋を見せてくれると思う。
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