一公の将棋雑記

将棋に関する雑記です。

山根ことみ女流初段の指導対局会(後編)

2018-10-05 00:42:42 | 女流棋士の指導対局会

第7図以下の指し手。▲8六香△3七銀成▲同銀△6四桂▲6五馬△7六桂▲3九歩△5六歩▲同馬△3八竜▲同歩△3七角成▲同歩△6八銀(第8図)

このあたりでShin氏の将棋が終わり、山根ことみ女流初段が投了した。おいおいShin氏、平手勝利の一抜けか!
和やかに感想戦を行う2人を横目に、私は盤面を苦渋の表情で見つめる。くっそう▲2七歩と打っとけばこんな苦労をしなくて済んだのに……。つらい、この苦痛から解放されたい。投げちゃおうか。
でも最後だけ未練がましく、▲8六香だけ打ってみた。
山根女流初段は△3七銀成から△6四桂。これも厳しいが、先に駒損しているからどうなのだろう。
△7六桂(▲同馬は△3八竜)は次に△6九竜の狙いだが、それは▲3九歩がピッタリである。
……うん? これは下手が面白くなってる?
山根女流初段は△5六歩を利かして△3八竜だが、▲同歩にまだ角当たりが残っている。山根女流初段はこれも切って、△6八銀。最後のスパートにきた。

第8図以下の指し手。▲6八同金△8八飛▲6七玉△6八桂成▲7六玉△7八成桂▲8三香成△同銀▲同馬△同玉▲7五桂△7二玉(第9図)

第8図で上手玉に即詰みがあれば話は早い。しかしわずかに足りないと思った。それで▲6八同金と1枚入手する。この銀はかなり大きい。
△8八飛には▲6七玉△6八飛成▲7六玉で勝ち、と思いきや、△6八桂成がある。いや先に△8七飛成として、香を取りに行く手もある。これはまだまだ難しい、と気を引き締めていると、山根女流初段は△6八桂成~△7八成桂ときた。
これは詰めろでないので▲7五桂でもいいが、ここはもう▲8三香成といった。
ここでShin氏の左の男性の飛車落ち戦が終わった。これも男性氏の勝ち。みんなようけ勝ちよって、私もますます負けられなくなった。

第9図以下の指し手。▲6三銀△同金▲8三銀△6二玉▲6三桂成△5一玉▲3一飛△4一香▲3三角(投了図)
まで、119手で一公の勝ち。

▲8三銀に△6二玉では、いったん△7一玉と落ちられると、詰み筋が分からなかった。でもふつうに▲7二銀打で詰むか。
本譜は即詰みで、山根女流初段の投了となった。

感想戦。山根女流初段は、△2九飛成の第7図から▲8六香と打った手を褒めてくれた。
「もっと(2~3筋方面を)受けてくれると思ってたんですけど、攻めに来られてしまって……」
また中盤の第5図で、私の▲6七角に対し△5六歩~△4九飛がやはり疑問だったらしく、
「こんな狭いところに飛車を打ってしまって……。この局面は2歩あったから、△9五歩と端攻めをするべきでした」
と悔やんだ。「▲9五同歩なら△9八歩~△9七歩~△9八飛(参考2図)で」

確かにそう指されたら、受けがなかった。本局は序盤の折衝以後、常時上手に緩めてもらった感じだ。
感想戦が終わり席を立つと、Kaz氏が
「ふたりが勝って私が負けると、ふたりに差をつけられた気がします」
と嘆いた。しかしとんでもない話で、結婚していい仕事に就いているアンタのほうがどれだけ幸せかと思う。将棋の勝ち負けなんてどうでもいい。
とはいうものの、勝つと負けるとでは気分が天と地だ。私に気持ちよく白星を配給してくれた山根女流初段には、あらためて感謝の意を表したい。
さて、この後は山根女流初段を交えての食事会である。場所はいつもの定食屋。まだ指している人はいるが、Kaz氏、Shin氏と先乗りすることにする。
店に入り、そのまま3人は同じテーブルに着く。ほどなくして残りの一行も入店し、みなで食事となった。
私は山根女流初段との会話を愉しみたいのだが、場所が離れすぎている。とはいえ棋友とのバカ話も楽しい。
大野八一雄七段が「レモンの木、大丈夫かなあ」とつぶやく。今日はJR東日本の計画運休があり、JRの営業は20時まで。よって私たちも、どこかせわしない。
食後に山根女流初段が近くに移動してくれたが、私は不覚にもKaz氏とShin氏との会話に夢中になってしまい、結局一言も交わさなかった。残念である。
19時に散会となった。そして帰りの電車内では、Kaz氏に山根女流初段との将棋を見せてもらった。
Kaz氏はひどい将棋を指した、とボヤいていたが、山根女流初段の指し手が巧妙で、敗戦もやむを得ない感じだった。

帰宅後、木村一基九段の本を確認する。

すると、今日とまったく同じ局面が載っていた。第3図からの▲5七銀引はやはり疑問手で、これには△4三銀▲3三飛成△同桂▲3四歩△同銀▲3一飛△4三銀▲1一飛成△2七飛(参考3図)で後手優勢とのことだった。

正着は▲2二角で、「この一手」。以下△4四角には▲5五銀!!が好手となる。以下△5五同歩▲3三角成△同角▲3四飛△5六歩▲4四銀(参考4図)△2二角▲3二飛打△4四角▲同飛△4三銀▲同飛成△同金▲5二銀が一例で先手優勢。△5四歩型だから▲5五銀が利かないと思いきや、それでも歩頭に出る手が成立していたのだ。

よって▲2二角には△4六歩▲3三角成に例の△3七歩となり、▲3七同飛△3六歩▲3四馬(▲3六同飛は△4五銀▲3五飛△3三桂▲同飛成△5六銀で後手優勢)△3七歩成▲同桂△4七歩成▲同銀……(参考5図)と、難解な終盤戦に突入することになる。

この変化を前日に勉強していたら、まったく違った将棋になっていた。もっとも今日の将棋も、自分らしい展開になったので、満足している。
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