旧聞になるが、11月30日は第67期王座戦一次予選3回戦・門倉啓太五段と渡部愛女流王位の一戦があった。
今期渡部女流王位は、ここまで対男性棋士3勝3敗で大善戦。しかし本局の門倉五段はまずまずの気鋭で、2016年度の順位戦ではC級1組に昇級している。さすがに本局、渡部女流王位の勝利は厳しいと私は見ていた。
しかしフタを開ければ、渡部女流王位が堂々と指し回し、一歩も退かない。そして夜戦に入り、難しい将棋を制した。渡部先生、不明をお詫びします、というところである。
というわけで、記念に全譜を記しておこう。
▲女流王位 渡部愛
△五段 門倉啓太
初手からの指し手。▲2六歩△8四歩▲2五歩△8五歩▲7八金△3二金▲2四歩△同歩▲同飛△2三歩▲2六飛△7二銀▲3八銀△1四歩▲1六歩△6四歩▲7六歩△8六歩▲同歩△同飛▲8七歩△8二飛(第1図)
居飛車党の渡部女流王位だから、当然相居飛車となった。13手目▲2六飛となって、むかしならひねり飛車だが、現在は相掛かりが予想される。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/04/b3/c4321ed31910e5b472d7c7a8fdb82466.png)
第1図以下の指し手。▲3六歩△3四歩▲3七銀△6三銀▲3五歩△同歩▲4六銀△4四角▲3八金△5四銀▲5八玉△4二銀▲3四歩△5二金▲3七桂△8八角成(第2図)
▲3六歩から▲3七銀と出た。2018年バージョンはやはりこれであろう。
△4二銀には、△3三銀を防いで▲3四歩。△8八角成には当然▲同銀と思ったが……。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/46/e0/dbf2623e48db8a0f12521dce553925e2.png)
第2図以下の指し手。▲8八同金△4四歩▲3五銀△4三銀引▲7七桂△5四角▲5六角△3六歩▲2五桂(第3図)
渡部女流王位は▲8八同金。ここを▲同銀だと、8九にスキができるということだろうか。ともあれこの一手ひとつを取っても、渡部女流王位の研究が深いことが分かる。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/2d/fc/b4a02f91418cdd4f7e5db50a610490c4.png)
第3図以下の指し手。△8六歩▲7八銀△7六角▲8六歩△5四歩▲3六飛△9四角▲4六歩△5五歩▲4七角△7二角▲2六飛△5四角▲8五歩△2四歩▲4五歩△2五歩▲8六飛△9四桂▲6六飛△5三銀(第4図)
このあたりは一手一手が難しく、私にはチンプンカンプンである。男性棋士の指し手にひたすらついていく、渡部女流王位の指し回しにただただ感心するだけだった。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/59/ec/b208d41f7099014f96caabc3bba72bd4.png)
第4図以下の指し手。▲7二歩△7四歩▲7一歩成△7三桂▲2二歩△8五桂▲7四角△7七桂成▲8三歩△6五歩▲8二歩成△6六歩▲2一歩成△6七歩成▲4七玉△4二玉▲6一飛△5九飛(第5図)
▲7二歩が小粋な手で、△7二同飛は▲8三角成、△7二同角は▲4四歩△同銀右▲同銀△同銀▲7一銀だろうか。門倉五段は手順に桂を逃げるが、渡部女流王位は▲2二歩。よくあっちこっちに手が行くものである。
飛車を取り合って▲2一歩成としたところでは、渡部女流王位も指せると見ていたのではないだろうか。
△6七歩成にも▲4七玉と躱す。2回戦の泉正樹八段戦にも出てきた中段玉である。
門倉五段は▲6一飛を避けて△4二玉だが、渡部女流王位はそれでも▲6一飛。門倉五段は△5九飛と打ったが……。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/52/a6/06359ab6e0dde5b09353f0529317bda8.png)
第5図以下の指し手。▲5二角成△同玉▲6四桂△同銀▲6二金△5三玉▲5一飛成(投了図)
まで、93手で渡部女流王位の勝ち。
第5図からバッサリ▲5二角成。以下即詰みで、渡部女流王位が勝った。だがそれなら△5九飛では△5一桂と受けそうなものだが、門倉五段は諦めていたのだろうか。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/57/14/d662a0a2627f3665e47433b80ef30d56.png)
ともあれ渡部女流王位堂々の勝利で、今年度対男性棋士4勝目。女流棋士が男性棋戦で3連勝したのは、里見香奈女流四冠の王座戦3連勝に次いで2回目。とにかく女流棋戦より戦績がいいのだから、もはや男性棋士キラーといってもいいだろう。
次の相手は佐藤秀司七段。次も頑張ってもらいたい。
今期渡部女流王位は、ここまで対男性棋士3勝3敗で大善戦。しかし本局の門倉五段はまずまずの気鋭で、2016年度の順位戦ではC級1組に昇級している。さすがに本局、渡部女流王位の勝利は厳しいと私は見ていた。
しかしフタを開ければ、渡部女流王位が堂々と指し回し、一歩も退かない。そして夜戦に入り、難しい将棋を制した。渡部先生、不明をお詫びします、というところである。
というわけで、記念に全譜を記しておこう。
▲女流王位 渡部愛
△五段 門倉啓太
初手からの指し手。▲2六歩△8四歩▲2五歩△8五歩▲7八金△3二金▲2四歩△同歩▲同飛△2三歩▲2六飛△7二銀▲3八銀△1四歩▲1六歩△6四歩▲7六歩△8六歩▲同歩△同飛▲8七歩△8二飛(第1図)
居飛車党の渡部女流王位だから、当然相居飛車となった。13手目▲2六飛となって、むかしならひねり飛車だが、現在は相掛かりが予想される。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/04/b3/c4321ed31910e5b472d7c7a8fdb82466.png)
第1図以下の指し手。▲3六歩△3四歩▲3七銀△6三銀▲3五歩△同歩▲4六銀△4四角▲3八金△5四銀▲5八玉△4二銀▲3四歩△5二金▲3七桂△8八角成(第2図)
▲3六歩から▲3七銀と出た。2018年バージョンはやはりこれであろう。
△4二銀には、△3三銀を防いで▲3四歩。△8八角成には当然▲同銀と思ったが……。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/46/e0/dbf2623e48db8a0f12521dce553925e2.png)
第2図以下の指し手。▲8八同金△4四歩▲3五銀△4三銀引▲7七桂△5四角▲5六角△3六歩▲2五桂(第3図)
渡部女流王位は▲8八同金。ここを▲同銀だと、8九にスキができるということだろうか。ともあれこの一手ひとつを取っても、渡部女流王位の研究が深いことが分かる。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/2d/fc/b4a02f91418cdd4f7e5db50a610490c4.png)
第3図以下の指し手。△8六歩▲7八銀△7六角▲8六歩△5四歩▲3六飛△9四角▲4六歩△5五歩▲4七角△7二角▲2六飛△5四角▲8五歩△2四歩▲4五歩△2五歩▲8六飛△9四桂▲6六飛△5三銀(第4図)
このあたりは一手一手が難しく、私にはチンプンカンプンである。男性棋士の指し手にひたすらついていく、渡部女流王位の指し回しにただただ感心するだけだった。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/59/ec/b208d41f7099014f96caabc3bba72bd4.png)
第4図以下の指し手。▲7二歩△7四歩▲7一歩成△7三桂▲2二歩△8五桂▲7四角△7七桂成▲8三歩△6五歩▲8二歩成△6六歩▲2一歩成△6七歩成▲4七玉△4二玉▲6一飛△5九飛(第5図)
▲7二歩が小粋な手で、△7二同飛は▲8三角成、△7二同角は▲4四歩△同銀右▲同銀△同銀▲7一銀だろうか。門倉五段は手順に桂を逃げるが、渡部女流王位は▲2二歩。よくあっちこっちに手が行くものである。
飛車を取り合って▲2一歩成としたところでは、渡部女流王位も指せると見ていたのではないだろうか。
△6七歩成にも▲4七玉と躱す。2回戦の泉正樹八段戦にも出てきた中段玉である。
門倉五段は▲6一飛を避けて△4二玉だが、渡部女流王位はそれでも▲6一飛。門倉五段は△5九飛と打ったが……。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/52/a6/06359ab6e0dde5b09353f0529317bda8.png)
第5図以下の指し手。▲5二角成△同玉▲6四桂△同銀▲6二金△5三玉▲5一飛成(投了図)
まで、93手で渡部女流王位の勝ち。
第5図からバッサリ▲5二角成。以下即詰みで、渡部女流王位が勝った。だがそれなら△5九飛では△5一桂と受けそうなものだが、門倉五段は諦めていたのだろうか。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/57/14/d662a0a2627f3665e47433b80ef30d56.png)
ともあれ渡部女流王位堂々の勝利で、今年度対男性棋士4勝目。女流棋士が男性棋戦で3連勝したのは、里見香奈女流四冠の王座戦3連勝に次いで2回目。とにかく女流棋戦より戦績がいいのだから、もはや男性棋士キラーといってもいいだろう。
次の相手は佐藤秀司七段。次も頑張ってもらいたい。