一公の将棋雑記

将棋に関する雑記です。

第31期竜王戦第4局

2018-12-01 00:07:29 | 男性棋戦
11月24日・25日は、京都府福知山城で第31期竜王戦第4局があった。福知山城はむかし、私も観光したことがあるが、純和風の造り(当たり前だ)で趣があった。ふもとで何かのお祭りをやっていて、子供たちが遊んでいた記憶がある。
本局は土日の開催。私は20年近く前「将棋世界」誌に、「タイトル戦は週末にやるべき。それなら将棋ファンが戦況を楽しめるし、現地解説に行くこともできる」と投書をしたものだ。
現在は棋王戦はじめ、週末の開催がポチポチ増えてきており、うれしく思う。でも私は、男性タイトル戦で現地に出向いたことはないのだが。
本題に入り、ここまで羽生善治竜王の2勝1敗。ここで羽生竜王が勝てば防衛濃厚。広瀬章人八段が勝てばタイで、竜王位の行方はまったく分からなくなる注目の一戦だ。
先番広瀬八段の初手▲2六歩に、羽生竜王は△8四歩。この時点では相掛かりか横歩取りも考えられたが、私は角換わりの将棋に落ち着くと思った。果たしてそうなった。どうも今シリーズは、全局角換わりになりそうである。
以下、両者苦心の手待ちが進む。その後、広瀬八段が先攻した。ここまで3局は羽生竜王の猛攻が目立っていたから、新鮮に映った。
以下の進行は、私の棋力ではサッパリ意味が分からなかった。ただただ指し手を鑑賞するのみである。
67手目、広瀬八段が▲2五桂と跳ねた手に対し、羽生竜王は△3四銀。ここは△2四銀と歩を取る手もあったようである。後に△3四角と打ち、2五桂を取る狙いだ。△3四銀では、2五桂を取る味がなくなってしまう。
ただ3四に銀が立つ形はいいし、△2四銀は何となくこの銀が剥き出しになる。羽生竜王がこう指したくなるのも無理はなかった。
以下も難しい戦いが続いたが、何となく羽生竜王のペースになったようである。このままいけば羽生竜王の勝利、というところだが、この辺りから控室と羽生竜王の指し手が当たらなくなる。
かつては、控室より対局者のほうが正着を指す率は高かった。いわゆる「対局者のほうがよく読んでいる」というやつである。
ところが最近は、控室も将棋ソフトを参考にしていて、「すでに最善手は精査済み、対局者が正着を指すかどうか固唾を呑んで見守る」というケースも多い。ましてや本局の控室の主は谷川浩司九段と稲葉陽八段で、お二方の信頼度も高い。今回も、控室の指摘のほうが信用できたのである(ただ本局は、将棋ソフトは使っていなかったようである)。
以下、広瀬八段の指し手も予想を外れるが、気が付けば広瀬八段が優勢になっていた。

第1図は最終盤、羽生竜王が△4三歩と催促したところ。ここで控室の検討では「▲2五歩△1三玉▲4三成銀△8五角▲8六玉」だった。実戦の広瀬八段は▲2五歩△1三玉を決めて▲1五歩。しかも、そこで羽生竜王が投了してしまったから驚いた!

まあ指されてみれば「端玉には端歩」の格言通りの手なのだが、そんな厳しい手があるのに、谷川九段らはどこを見ていたのだろう。とはいえ投了の局面も私には不可解で、ここで△1五同歩だと、どういう寄せがあるのだろう。
しかしネット中継は、その変化には触れず、終わってしまった。これじゃ先日のA級順位戦の羽生竜王-阿久津主税八段戦の投了(参考図)じゃないけれど、私はキツネにつままれたようである。

ともあれ4局までを終わって2勝2敗とは、予期せぬ結果になったものだ。少なくとも第2局を終えた時点では、内容から見ても、羽生竜王防衛の雰囲気だったのだ。ところが第3局、第4局をいずれも逆転の将棋で、広瀬八段が追い着いてしまった。羽生竜王が逆転される側に回るとは、以前は考えられなかったことである。
こうなるともう、タイトルの行方はまったく分からない。今期の七番勝負は何かが違う。残り3局にいよいよ目が離せなくなった。
コメント (2)
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