将棋界最高の公式戦、羽生善治竜王と広瀬章人八段が激突する第31期竜王戦第7局は、20日・21日に山口県下関市「春帆楼」で行われた。
ここまで羽生竜王、広瀬八段とも3勝で、泣いても笑っても、これが最後の一局である。今まで再三書いてきたが、今シリーズは羽生竜王が勝てばタイトル通算100期の金字塔、負ければ1991年3月以来の無冠となる。21日にはついにその答えが出るのだ。まさに日本中の将棋ファンが注視する、平成最後の大一番となった。
▲八段 広瀬章人
△竜王 羽生善治
初手からの指し手。▲2六歩△8四歩▲2五歩△8五歩▲7六歩△3二金▲7七角△3四歩▲6八銀△7七角成▲同銀△2二銀▲4八銀△6二銀▲7八金△3三銀▲4六歩△7四歩▲4七銀△7三桂▲6八玉△6四歩▲3六歩△4二玉▲9六歩△1四歩▲1六歩△6三銀▲3七桂△8一飛▲2九飛△6二金▲4八金△5四銀▲5六銀△3一玉▲7九玉△9四歩(第1図)
先番となった広瀬八段は▲2六歩。羽生竜王は△8四歩と応じる。以下▲2五歩△8五歩▲7六歩に羽生竜王は△3二金。広瀬八段も▲7七角と上がり、本シリーズ5度目の角換わり模様となった。
私はプレス機がなくなりガラーンとした工場で、ひとりスマホを見る。年末に来て求職の意欲が若干薄れたとはいえ、堕落した生活だと思う。生きてる価値があるのかと思う。
将棋は以下、一手一手熟考はありながらもいいペースで進み、相腰掛け銀から例の飛車金の形に進む。38手目、羽生竜王が△9四歩と遅めの端歩を突き、1日目の昼食休憩となった。

第1図以下の指し手。▲4五桂△4二銀▲6六角△4四角▲3五歩△同歩▲1五歩△同歩▲2四歩△同歩▲1五香△同香▲2四飛△2三歩▲1四飛△6六角▲同歩△1三香打▲3四飛△1六角▲3五飛△3三歩▲7五歩(第2図)
第1図は手の広いところで考えてもキリがないが、控室は▲4五桂が有力と見ていた。直近の実戦例は10月11日の王将戦挑戦者決定リーグ・▲佐藤天彦名人-△郷田真隆九段戦で、▲4五桂以下は△4二銀▲3五歩△同歩▲6六角△4四角▲1五歩△同歩▲2四歩△同歩▲1五香△同香▲2四飛△2三歩▲1四飛△1三香▲3四飛(参考1図)と進み、佐藤名人が勝ったらしい。

本譜も手順前後はあったものの、王将戦と同じ形に進む。
▲3四飛の局面で、羽生竜王は△1六角と打った。ちなみに王将戦はここで△4四歩と突き、以下▲2二歩△3三桂▲1四歩と進んだ。
話は1日進んで21日。本日はAbemaTVに、新橋ファミリーの藤森哲也五段が解説で登場する。また谷川浩司九段も名を連ねる豪華版で、これではPCやスマホの前から離れられないが、私だって新橋に行ける機会も今後はそんなにない。とはいえ新橋に行くか否か、ここにきて迷ってしまった。
昼、フジテレビの「バイキング」を見ていたら、竜王戦特集をやった。お得意のパネルを使って説明し、これは一般人にも分かりやすい。ゲストの佐藤紳哉七段のコメントも分かりやすくてよい。
羽生竜王のタイトル100期が懸かった勝負、やはりマスコミも気になるらしかった。
その後AbemaTVを見ると、竜王戦七番勝負の過去の対戦成績を掲げていた。これ、以前も見たことがあるのだが、第3期の勝敗が「谷川浩司4-3羽生善治」になっている。これは「谷川浩司4-1羽生善治」の誤りである。いつか改まるだろうと思ったが、まだ間違ったままだった。
午後5時前に藤森五段の解説が始まったが、これがキビキビしてすこぶる面白い。今度は谷川浩司九段と中村太地七段のコンビに変わったが、こちらの解説も面白い。しかも形勢が急転し、現在は広瀬八段が勝勢に見える。となれば、この解説を捨てて新橋に行くのも若干の躊躇を覚える。このまま自宅観戦すればいいじゃないか。家には将棋好きのオヤジもいる。たまの機会に、親子でPCを見るのもいいのではないか?
しかし新橋解説会には第1局からお世話になっている。ゆえに最終局の帰趨も現場で確認するべきだ。
そう考えた私は、やはり新橋に行くことにした。
しかし駅に向かう途中、思うところがあり、いったん自宅に戻った。
私はPCを立ち上げる。オヤジのために、AbemaTVを開いて行こうと思ったのだ。
ところが最近我がPCもくたびれてきて、立ち上げに数分かかる上、なぜか音量も出なくなってしまった。まあオヤジには、無音で楽しんでもらうしかない。
私は改めて新橋に向かったが、これで数分の遅刻が確定してしまった。
電車内でスマホのAbemaTVを見る。電車内でこの恰好はあまりホメられたものではないと思うが、局面が逼迫していて、確認せずにはおれないのだ。
そうして新橋駅前のSL広場に着いたのは18時08分だった。お陰で小諸そばに入る余裕もなくなってしまったが、仕方ない。対局も、辛うじて続いていた。
大盤前には、第5局の時とは違い、大勢の観客がいた。朝からテレビ各局がニュースを流したから、一般人の関心も高くなったのであろう。私はかなり後方になったが大丈夫、大盤は見える。
解説は鈴木大介九段、梶浦宏孝四段、聞き手は藤森奈津子女流四段のレギュラーメンバーだった。
局面は▲7五歩の周辺をやっていた。

(つづく)
ここまで羽生竜王、広瀬八段とも3勝で、泣いても笑っても、これが最後の一局である。今まで再三書いてきたが、今シリーズは羽生竜王が勝てばタイトル通算100期の金字塔、負ければ1991年3月以来の無冠となる。21日にはついにその答えが出るのだ。まさに日本中の将棋ファンが注視する、平成最後の大一番となった。
▲八段 広瀬章人
△竜王 羽生善治
初手からの指し手。▲2六歩△8四歩▲2五歩△8五歩▲7六歩△3二金▲7七角△3四歩▲6八銀△7七角成▲同銀△2二銀▲4八銀△6二銀▲7八金△3三銀▲4六歩△7四歩▲4七銀△7三桂▲6八玉△6四歩▲3六歩△4二玉▲9六歩△1四歩▲1六歩△6三銀▲3七桂△8一飛▲2九飛△6二金▲4八金△5四銀▲5六銀△3一玉▲7九玉△9四歩(第1図)
先番となった広瀬八段は▲2六歩。羽生竜王は△8四歩と応じる。以下▲2五歩△8五歩▲7六歩に羽生竜王は△3二金。広瀬八段も▲7七角と上がり、本シリーズ5度目の角換わり模様となった。
私はプレス機がなくなりガラーンとした工場で、ひとりスマホを見る。年末に来て求職の意欲が若干薄れたとはいえ、堕落した生活だと思う。生きてる価値があるのかと思う。
将棋は以下、一手一手熟考はありながらもいいペースで進み、相腰掛け銀から例の飛車金の形に進む。38手目、羽生竜王が△9四歩と遅めの端歩を突き、1日目の昼食休憩となった。

第1図以下の指し手。▲4五桂△4二銀▲6六角△4四角▲3五歩△同歩▲1五歩△同歩▲2四歩△同歩▲1五香△同香▲2四飛△2三歩▲1四飛△6六角▲同歩△1三香打▲3四飛△1六角▲3五飛△3三歩▲7五歩(第2図)
第1図は手の広いところで考えてもキリがないが、控室は▲4五桂が有力と見ていた。直近の実戦例は10月11日の王将戦挑戦者決定リーグ・▲佐藤天彦名人-△郷田真隆九段戦で、▲4五桂以下は△4二銀▲3五歩△同歩▲6六角△4四角▲1五歩△同歩▲2四歩△同歩▲1五香△同香▲2四飛△2三歩▲1四飛△1三香▲3四飛(参考1図)と進み、佐藤名人が勝ったらしい。

本譜も手順前後はあったものの、王将戦と同じ形に進む。
▲3四飛の局面で、羽生竜王は△1六角と打った。ちなみに王将戦はここで△4四歩と突き、以下▲2二歩△3三桂▲1四歩と進んだ。
話は1日進んで21日。本日はAbemaTVに、新橋ファミリーの藤森哲也五段が解説で登場する。また谷川浩司九段も名を連ねる豪華版で、これではPCやスマホの前から離れられないが、私だって新橋に行ける機会も今後はそんなにない。とはいえ新橋に行くか否か、ここにきて迷ってしまった。
昼、フジテレビの「バイキング」を見ていたら、竜王戦特集をやった。お得意のパネルを使って説明し、これは一般人にも分かりやすい。ゲストの佐藤紳哉七段のコメントも分かりやすくてよい。
羽生竜王のタイトル100期が懸かった勝負、やはりマスコミも気になるらしかった。
その後AbemaTVを見ると、竜王戦七番勝負の過去の対戦成績を掲げていた。これ、以前も見たことがあるのだが、第3期の勝敗が「谷川浩司4-3羽生善治」になっている。これは「谷川浩司4-1羽生善治」の誤りである。いつか改まるだろうと思ったが、まだ間違ったままだった。
午後5時前に藤森五段の解説が始まったが、これがキビキビしてすこぶる面白い。今度は谷川浩司九段と中村太地七段のコンビに変わったが、こちらの解説も面白い。しかも形勢が急転し、現在は広瀬八段が勝勢に見える。となれば、この解説を捨てて新橋に行くのも若干の躊躇を覚える。このまま自宅観戦すればいいじゃないか。家には将棋好きのオヤジもいる。たまの機会に、親子でPCを見るのもいいのではないか?
しかし新橋解説会には第1局からお世話になっている。ゆえに最終局の帰趨も現場で確認するべきだ。
そう考えた私は、やはり新橋に行くことにした。
しかし駅に向かう途中、思うところがあり、いったん自宅に戻った。
私はPCを立ち上げる。オヤジのために、AbemaTVを開いて行こうと思ったのだ。
ところが最近我がPCもくたびれてきて、立ち上げに数分かかる上、なぜか音量も出なくなってしまった。まあオヤジには、無音で楽しんでもらうしかない。
私は改めて新橋に向かったが、これで数分の遅刻が確定してしまった。
電車内でスマホのAbemaTVを見る。電車内でこの恰好はあまりホメられたものではないと思うが、局面が逼迫していて、確認せずにはおれないのだ。
そうして新橋駅前のSL広場に着いたのは18時08分だった。お陰で小諸そばに入る余裕もなくなってしまったが、仕方ない。対局も、辛うじて続いていた。
大盤前には、第5局の時とは違い、大勢の観客がいた。朝からテレビ各局がニュースを流したから、一般人の関心も高くなったのであろう。私はかなり後方になったが大丈夫、大盤は見える。
解説は鈴木大介九段、梶浦宏孝四段、聞き手は藤森奈津子女流四段のレギュラーメンバーだった。
局面は▲7五歩の周辺をやっていた。

(つづく)