第２図以下の指し手。△６六角▲同飛△８六飛▲同歩△５七銀▲５六飛△４六銀成▲同飛△５五角▲５六飛打△９九角成▲５三歩成△４五香▲４二と△同金寄▲５四角△４三歩▲４五角△同桂▲同飛（第３図）
Kaz氏は△６六角から△８六飛～△５五角と強烈な攻め。こちらは片美濃囲いに空間ができて、とても持ちそうにない。やはり▲８六同角では▲８六同歩だった。トーチカに攻めの糸口を与えてはいけないのだ。
私の▲５六飛打はこの一手。対して△４六角とはもったいなくて指せないだろう。△９九角成は至当だが、こちらも▲５三歩成としてまずまずか。しかし△４五香が強烈な一手で、やはり私が悪い。
私は▲５四角からこの香を取り除く。この香、もとは９九にいたから大損だが、先に銀得しているので、銀桂と角の二枚換えとなり、釣り合いは取れている。
第３図以下の指し手。△７八角▲５七歩△８九馬▲５五飛寄△５六角成▲同歩△４四桂▲４五銀△４六金▲４四銀△同歩▲５一飛成△５六馬▲５四角△４三銀▲同角成△同金（第４図）
第３図では△８九馬もあったが、Kaz氏はより厚みを持たせて△７八角と打ってきた。
私はそんなに選択肢がなく、相手の手に乗って指すだけだ。
△５六馬で自陣も危なくなってきたが、私は再度▲５四角。トーチカにはこの筋の角が急所かもしれない。Kaz氏は当然△４三銀とはじき、▲同角成も騎虎の勢い。
△４三同金にさてここだ。
第４図以下の指し手。▲３二香△同玉▲５五桂△同馬▲同竜△７三角▲６四銀△同歩▲５二竜△４二飛▲４三竜△同飛▲５五桂（第５図）
私は▲３二香と１枚おごって、▲５五桂と追撃した。▲３二香は惜しいが、少しでも玉を露出させとかないと、勝負にならない。
Kaz氏もここで後手は引けないので、△５五同馬から△７三角。私だって後手は引けないから▲６四銀と犠打をかました。だがこれは疑問だったかもしれない。△６四同歩に予定の▲４六竜は△４五香で、以下攻め続けられて負ける。
よって▲５二竜と突っ込んだ。もし△４二金引なら▲４三銀、△４二金上なら▲４一角から攻めが続く、の読みだが、Kaz氏に△４二飛と手厚く打たれて愕然とした。
これを▲同竜は△同金上で後手陣が盤石になり先手負け。いきおい▲４三竜とし、△同飛に▲５五桂と打った。しかしこの局面は、結果的に飛車損の攻めになっている。▲６四銀が悪手で、▲５二竜と指すならこの手はいらなかったのだ。
本譜は常識的に考えれば先手敗勢だが、そこは考えないことにした。
第５図以下の指し手。△６五歩▲４三桂成△同玉▲６三飛△５三歩▲６四金△同角▲同飛成（第６図）
第５図で△５三飛は▲５四歩、△３三飛や△４一飛は▲５四角があり、30秒将棋ではさすがに指し切れないだろう。Kaz氏は飛車を見捨てて△６五歩と角を活用してきた。
私は▲４三桂成とし、再び戦力が整った。
▲６三飛△５三歩に▲６四金は、次に▲５四銀も見たものだがもったいなかった。▲６四銀でよかったし、時間があれば▲５四歩△同玉▲７二角のような手を掘り下げたかもしれない。ただしこの順は△３七銀の殺到が相当恐い。やはり△７三角を除去したくなるところである。
本譜Kaz氏は△６四同角と取る。角と金の価値は、実は思ったほど大きくない。
第６図以下の指し手。△３二玉▲４四竜△４三香▲６一角△４二銀▲４三角成△同銀▲４六竜△５四桂▲４三竜△同玉▲５五銀（第７図）
Kaz氏は△３二玉。やはりもとの家に戻ろうとしている。私は▲４四竜とこちら側に回ったが、△４三香が厳しかった。
ここで後手を引いては負けるので、▲６一角。もし△４四香なら、▲４三角打以下詰み。
よってKaz氏は△４二銀と守ったが、私は角を切り、竜を生還させることに成功した。
それにしても本局、何回大駒が駒台に載っているのか。まさに大駒は捨てるためにある感じで、私生活では心身ともにボロボロなのに、将棋ではハツラツとした手が指せている自分が不思議でならなかった。
将棋に戻り、ここで△４四歩とじっとされたら、私は次に指す手がなかった。しかしKaz氏は△５四桂。まあ先手を取りたくなる気持ちは分かる。
私は▲４三竜と切って捨て、▲５五銀。ただこれは、攻めが細くなった気がした。
第７図以下の指し手。△３二玉▲４五香△４二歩▲５二角△６七角▲５四銀△同歩▲４四桂△２一玉▲３二銀△１二玉▲３一銀不成△同銀▲１四歩△同歩▲１三歩△同玉▲３七桂（第８図）
△３二玉に私の▲４五香～▲５二角は何の工夫もない攻めで、ここでもうひとつ何か受けられたら、私は指す手に窮していた。
△６七角は好点だが、私の▲５四銀とした手が桂を入手しつつ香も守る好手。▲４四桂と打てては、やや指せる局面になったと思った。
△２一玉に当初は▲３二金の予定で、もし△同金なら▲同桂成△同玉▲４二香成△同玉▲４三金△５一玉▲６三角成で先手勝ち。しかしこの時持駒の銀が金に替わっていると、△５一玉に▲６一金で即詰みとなる。
それで▲３二銀と打ったのだが、Kaz氏に△１二玉と上がられるとナナメ駒が欲しくなり、▲３二銀が次善手だったと自覚した。
本譜は気を取り直して端攻め。やるだけやって▲３七桂は、４五香を守りつつ、▲２五桂△２四玉▲３五金△同歩▲３四金を見た詰めろ。
Kaz氏はどう受けるかと見ていたが……。
第８図以下の指し手。△２四桂▲２五桂（投了図）
まで、一公の勝ち。
Kaz氏は△２四桂と受け？たが、これは受けになっておらず、▲２五桂までKaz氏が投げた。
私は「うあーっ」と声を上げる。「支部対抗戦より熱い将棋を指しちゃったじゃねえかよ!!」
「最後は△２四歩でしたか？」
とKaz氏。「でも▲３四角成があるか。△２三銀でも▲２五桂△同歩▲２四金」
「△２三銀で△２三金でも、▲１四香で詰みだね」
「じゃあ受けはなかったですか」
だが第８図では、△２四金があったと思う。一回は▲４一角成とするが、△２二銀打。そこで▲２五金で寄るかどうか。秒読みだし、勝敗はどちらに転ぶか分からなかった。
序盤の仕掛けのところまで戻る。第１図の▲６五歩△６二角に私は▲６六銀としたが、Kaz氏は▲５五歩（参考図）がイヤだったという。
「なるほどこれか。鈴木大介（九段）だったらノータイムで指すね」
私も▲６六銀型は好きではないのだが、藤井猛九段著「四間飛車上達法」では▲６六銀型を勧めていたので、それに倣ったのだ。
Kaz氏は終始自信がないような発言だったが、戦いが始まれば居飛車有利で、私もまったく自信はなかった。
感想戦が終わりワキを見ると、Og氏－加藤圭女流２級、Watanabe氏－Shin氏の将棋（検討）はまだ続いていた。
洋間に戻り、Ｗ氏とおしゃべり。私は激戦続きでグロッキーになった。咳もぶり返して、まずい状況である。
これからみなは食事に行くが、迷惑を掛けると思い、これで失礼させていただいた。
帰宅後、支部対抗戦の各チームの成績を調べてみると、ドラの穴Ａが３位入賞をしていた。ちなみに私が最終局に勝っていれば、勝ち星の関係で、大野教室Ａが２位タイだった。
優勝は加須Ａ。すべて２勝１敗で、薄氷だった。私が２回戦でHat兄氏に勝っていれば、ウチにも優勝のチャンスがあったかもしれない。
まったく、悪夢の支部対抗戦だった。
