「ほらぁそこ邪魔邪魔、どいて!!」
どこからか怒鳴られ、私は困惑した。すぐ隣に対局者?が迫ってきて、私は訳が分からず、その先の空きスペースに移動し、自分の名前を書く。
「だから邪魔なんだよ! ここいま対局中なので!! あのー、対局中に盤の前でメモなんか書きませんよね!!!」
やたらと太った男が私に注意した。こいつが声の主か。しかし何言ってんだ? 盤の前だろうが何だろうが、テーブルの上で書いてるんだから文句ないだろう。
連続の叱責で私も頭に血が上ったが、そのテーブルを離れて俯瞰して見ると、訳が分かった。
テーブルの横一列に7種のボードゲームが置いてあり、それを2人の競技者が同時に指していたのだった。椅子は置いてなく、横走りである。これなら周囲に人がいないはずだ。
そしてそこは、私が昼前に見た、チェスクロックがあった場所だった。あの時競技者が「4勝3敗」と言ったのは、その7局目が終わったところだったのだ。
だが、ほかの自由対局場に混じって、こんな競技が行われていたとは、初見の私に分かるはずもない。
先ほどの太った男は、首から何かを下げていた。すなわち、このイベントのスタッフだった。
「7局すべてが行われていたんですか。だけど分からないよね」
このまま一人で理解するのもイヤなので、私は別のスタッフにつぶやく。
「あぁあぁそうですお父さん、確かにお父さんの言う通りだ。言われないと分からないよね」
アンタの言い分は分かりましたよ、という口調も感じが悪く、私はまたカチンときた。
しかしここで怒りを露わにしては、私がクレーマーになってしまう。それで、ぐっと堪えた。
それにしても、と思う。このイベントは、休みの日に近所の市民がふらりと遊びに来る、のほほんとした場だと思っていた。少なくとも、有料で入場した客が一喝される要素はない。ところがかくのごとしで、あのデブは、まるで私がタイトル戦の公開対局に乱入した悪人のような扱いをした。私にも非はあったが、もう少し口の利き方ってもんがあるだろう。あんた、どれだけ偉いんだ!?
私はムカムカして、もうこのイベントに1円でも金を落とすものかと思った。
幸い、指導対局はまだ申し込んでいない。石田直裕五段か渡辺弥生女流初段に教えていただけないのはアレだが、たとえ申し込んでも、こう頭に血が上っていては、満足に手を読めないと思う。
というわけで、もうこの場を失礼させていただくことにした。何と、朝のけやきカップに続いて、連続の途中退出である。
まあけやきカップはともかく、「世界の将棋まつり」には悪いイメージがこってりとコーティングされたので、もう来年以降は行かない。
サヨナラ。
どこからか怒鳴られ、私は困惑した。すぐ隣に対局者?が迫ってきて、私は訳が分からず、その先の空きスペースに移動し、自分の名前を書く。
「だから邪魔なんだよ! ここいま対局中なので!! あのー、対局中に盤の前でメモなんか書きませんよね!!!」
やたらと太った男が私に注意した。こいつが声の主か。しかし何言ってんだ? 盤の前だろうが何だろうが、テーブルの上で書いてるんだから文句ないだろう。
連続の叱責で私も頭に血が上ったが、そのテーブルを離れて俯瞰して見ると、訳が分かった。
テーブルの横一列に7種のボードゲームが置いてあり、それを2人の競技者が同時に指していたのだった。椅子は置いてなく、横走りである。これなら周囲に人がいないはずだ。
そしてそこは、私が昼前に見た、チェスクロックがあった場所だった。あの時競技者が「4勝3敗」と言ったのは、その7局目が終わったところだったのだ。
だが、ほかの自由対局場に混じって、こんな競技が行われていたとは、初見の私に分かるはずもない。
先ほどの太った男は、首から何かを下げていた。すなわち、このイベントのスタッフだった。
「7局すべてが行われていたんですか。だけど分からないよね」
このまま一人で理解するのもイヤなので、私は別のスタッフにつぶやく。
「あぁあぁそうですお父さん、確かにお父さんの言う通りだ。言われないと分からないよね」
アンタの言い分は分かりましたよ、という口調も感じが悪く、私はまたカチンときた。
しかしここで怒りを露わにしては、私がクレーマーになってしまう。それで、ぐっと堪えた。
それにしても、と思う。このイベントは、休みの日に近所の市民がふらりと遊びに来る、のほほんとした場だと思っていた。少なくとも、有料で入場した客が一喝される要素はない。ところがかくのごとしで、あのデブは、まるで私がタイトル戦の公開対局に乱入した悪人のような扱いをした。私にも非はあったが、もう少し口の利き方ってもんがあるだろう。あんた、どれだけ偉いんだ!?
私はムカムカして、もうこのイベントに1円でも金を落とすものかと思った。
幸い、指導対局はまだ申し込んでいない。石田直裕五段か渡辺弥生女流初段に教えていただけないのはアレだが、たとえ申し込んでも、こう頭に血が上っていては、満足に手を読めないと思う。
というわけで、もうこの場を失礼させていただくことにした。何と、朝のけやきカップに続いて、連続の途中退出である。
まあけやきカップはともかく、「世界の将棋まつり」には悪いイメージがこってりとコーティングされたので、もう来年以降は行かない。
サヨナラ。