「3曲目は新曲です。この曲の時だけ、特別に撮影してもいいですヨ」
モングンがたどたどしい日本語で言い、私は合点がいった。
やはりこのイベントは、撮影不可だったのだ。最近の芸能人対応はこれが常識になっており、SNSでの拡散防止と思われる。肖像権の問題もあり、厳しいのだ。
私は慌ててカメラを仕舞ったが、柳ジュンを何枚か撮ってしまったので、バツが悪いことこの上なかった。
3曲目の曲名は忘れてしまった。4曲目は「北海じゃんじゃん節」を歌った。
モングン、地道に活動しているようで、好感が持てた。これから有名になってもらいたい。
続いてANZEN漫才の登場である。みやぞんとあらぽんが登場し、掛け合いを始める。ふたりはこうしたライブはお手の物のようで、余裕が感じられる。
私はその声を聞きながらその場を離れ、会場後方の冬マルシェショップに行った。今年も30以上の店舗が構え、いい匂いが漂っている。
某店舗の「牛スジうどん」(500円)を注文する。それは牛スジというより、けんちんうどんに近かった。もちろん美味かったが、これで500円はちょっと高い。
私は超厚着をしている上、快晴のポカポカ陽気になり、暖かい。東京で厳寒が憂慮されたが、現地に来ればこんなものである。
常盤公園内にある、旭川美術館に行こうと思う。ここも毎年の定番で、暖を取るにも最適である。そういえば昨年入った時、「次回入館時(1年以内)にこの半券を提示すれば半額になります」との案内を貰ったので、私はそれをリュックに仕舞っていた。
ところがそれを探しても、ない。この半額のことを忘れ、捨ててしまったのかもしれない。
ところが美術館は、何と定休日だった。こんなケースは初めてだが、これは私にとってラッキーだったと言うべきか。
買物公園通りに戻り、「三代目京ラーメン」に入る。ここは2年前に初めて入り、しお野菜ラーメンの美味さに感動したものだ。それで昨年も伺ったのだが、第1、第2日曜日が定休で、休みだった。今回土曜日の旭川訪問は、ここでも吉と出た。
私はもちろんしお野菜ラーメン(650円)を注文する。私はあまり注文メニューを変えないほうである。
それは相変わらず野菜たっぷりで、野菜の甘みがスープに拡がり、美味い。私は右上の奥歯に隙間が生じ、モノが自由に噛めない状態なのだが、これは美味しくいただいた。
大いに満足して、常盤会場に向かう。その途中、急に便意を催してきたので、私は近くの市立図書館に入った。だいぶ大きな規模で、中には大勢の生徒諸君がいた。
私は用を済ませ、将棋コーナーに行く。有名無名の棋書が130冊あまり並び、壮観である。これだけの本が無料で読めるのだから、旭川の人は幸せだ。
いつも寄る、古書店にも入る。ここはヴィンテージもののマンガ(単行本)が置かれているのだが、一部値段が記されておらず、いつも購入を躊躇している。
文庫本の類もそうなのだが、「100」とあった中から、上野正彦著「自殺死体の叫び」を購入した。
河畔会場に戻ると、大雪像ステージでは、旭川歌謡連盟によるホワイトステージをやっていた。
ステージ左はイベントコーナーで、おなじみの巨大迷路や、動く機械体験と称して、クレーンのカゴに乗車できたりするサービスがあった。
ステージの裏から、大雪像の見晴らしスペースに登ってみる。景色がよく、解放的な気分になる。
15時30分から、meecoのホワイトステージが始まった。
そして客側後方には、旭川市のシンボルキャラクター、あさっぴーとゆっきりんが現れた。観光客と記念写真が撮れるようである。
私は気楽な一人旅だけれど、不便なのは、こういう時ハシャげないことだ。いいオッサンが彼らと記念写真を撮るわけにもいかない。
meecoは、芸能人なのであろう。さっき、芸能人は撮影禁止と書いたが、それは「有名人」の場合であって、無名は撮影可能な場合が多い。画像をSNSに上げられることで、宣伝になるからだ。
うっ……また便意を催してきた。さっきたっぷりしたのに、どういうことか。
今度の便はゆるそうで、猶予はならない。ようやっと会場内のトイレに入ったが、しばらくすると、表でドンドン戸を叩く者がいる。こっちも叩き返すのだが、あちらも我慢できないようで、「早く出て来いよ、クソしてるんじゃねーの?」とか言う小学生の声が聞こえる。だけどこっちだって必死なのだ。
表に出ると多くの小学生がいて、私はバツが悪かった。
16時からは、ヒロ青山の極寒ものまねショーが始まった。ヒロ青山、まったく知らないが、彼はデーモン小暮閣下、井上陽水など、カツラやサングラスを駆使して、巧みに真似る。
ヒロ青山は全国区のものまね番組に出場したが、パッとしない成績だったようだ。また、ある番組のコーナーの収録をしたが、デビ夫人との絡みを、まるまるカットされたらしい。芸能人は、売れるまでが大変なのだ。
冬マルシェで、ザンギを購入する。だがそれを食べているうち、また便意を催してきた。
もう2度したのに、いったいどういうことか。どうも、1回目の正常?な便で栓をされていた大腸だが、それがなくなったことで、後続の緩い便が流れてきた感じだった。
だが今回私は、カップザンギを持っている。これを食べきらないことには、トイレに入れない。
やっと食べて、シャトルバス発着場近くの簡易トイレに駆け込む。1つ空いていたのは奇跡だった。するとまたノックされて、焦った。
表へ出ると、今度はご婦人が待っていた。
シャトルバスがまだ動いていたので、乗った。黄昏時になったので、いよいよ買物公園の氷像鑑賞である。
氷像は、今年は力作が多かった。よくある「天使」や「サーモン」の類がほとんどなく、テーマにオリジナリティがある。細かい細工がなされ、芸術品に昇華している。
インバウンドで旭川も観光客が増え、制作者側も力が入ったのだろうか。
もう6時が近くなったので、沿道にある建物の2階の、「家族亭」なる食事処に入った。この前の通りも100回以上通ったが、家族亭に入るのは初めてである。
大もりを注文してスマホを見ると、ANAから妙なメールが入っていた。
(つづく)
モングンがたどたどしい日本語で言い、私は合点がいった。
やはりこのイベントは、撮影不可だったのだ。最近の芸能人対応はこれが常識になっており、SNSでの拡散防止と思われる。肖像権の問題もあり、厳しいのだ。
私は慌ててカメラを仕舞ったが、柳ジュンを何枚か撮ってしまったので、バツが悪いことこの上なかった。
3曲目の曲名は忘れてしまった。4曲目は「北海じゃんじゃん節」を歌った。
モングン、地道に活動しているようで、好感が持てた。これから有名になってもらいたい。
続いてANZEN漫才の登場である。みやぞんとあらぽんが登場し、掛け合いを始める。ふたりはこうしたライブはお手の物のようで、余裕が感じられる。
私はその声を聞きながらその場を離れ、会場後方の冬マルシェショップに行った。今年も30以上の店舗が構え、いい匂いが漂っている。
某店舗の「牛スジうどん」(500円)を注文する。それは牛スジというより、けんちんうどんに近かった。もちろん美味かったが、これで500円はちょっと高い。
私は超厚着をしている上、快晴のポカポカ陽気になり、暖かい。東京で厳寒が憂慮されたが、現地に来ればこんなものである。
常盤公園内にある、旭川美術館に行こうと思う。ここも毎年の定番で、暖を取るにも最適である。そういえば昨年入った時、「次回入館時(1年以内)にこの半券を提示すれば半額になります」との案内を貰ったので、私はそれをリュックに仕舞っていた。
ところがそれを探しても、ない。この半額のことを忘れ、捨ててしまったのかもしれない。
ところが美術館は、何と定休日だった。こんなケースは初めてだが、これは私にとってラッキーだったと言うべきか。
買物公園通りに戻り、「三代目京ラーメン」に入る。ここは2年前に初めて入り、しお野菜ラーメンの美味さに感動したものだ。それで昨年も伺ったのだが、第1、第2日曜日が定休で、休みだった。今回土曜日の旭川訪問は、ここでも吉と出た。
私はもちろんしお野菜ラーメン(650円)を注文する。私はあまり注文メニューを変えないほうである。
それは相変わらず野菜たっぷりで、野菜の甘みがスープに拡がり、美味い。私は右上の奥歯に隙間が生じ、モノが自由に噛めない状態なのだが、これは美味しくいただいた。
大いに満足して、常盤会場に向かう。その途中、急に便意を催してきたので、私は近くの市立図書館に入った。だいぶ大きな規模で、中には大勢の生徒諸君がいた。
私は用を済ませ、将棋コーナーに行く。有名無名の棋書が130冊あまり並び、壮観である。これだけの本が無料で読めるのだから、旭川の人は幸せだ。
いつも寄る、古書店にも入る。ここはヴィンテージもののマンガ(単行本)が置かれているのだが、一部値段が記されておらず、いつも購入を躊躇している。
文庫本の類もそうなのだが、「100」とあった中から、上野正彦著「自殺死体の叫び」を購入した。
河畔会場に戻ると、大雪像ステージでは、旭川歌謡連盟によるホワイトステージをやっていた。
ステージ左はイベントコーナーで、おなじみの巨大迷路や、動く機械体験と称して、クレーンのカゴに乗車できたりするサービスがあった。
ステージの裏から、大雪像の見晴らしスペースに登ってみる。景色がよく、解放的な気分になる。
15時30分から、meecoのホワイトステージが始まった。
そして客側後方には、旭川市のシンボルキャラクター、あさっぴーとゆっきりんが現れた。観光客と記念写真が撮れるようである。
私は気楽な一人旅だけれど、不便なのは、こういう時ハシャげないことだ。いいオッサンが彼らと記念写真を撮るわけにもいかない。
meecoは、芸能人なのであろう。さっき、芸能人は撮影禁止と書いたが、それは「有名人」の場合であって、無名は撮影可能な場合が多い。画像をSNSに上げられることで、宣伝になるからだ。
うっ……また便意を催してきた。さっきたっぷりしたのに、どういうことか。
今度の便はゆるそうで、猶予はならない。ようやっと会場内のトイレに入ったが、しばらくすると、表でドンドン戸を叩く者がいる。こっちも叩き返すのだが、あちらも我慢できないようで、「早く出て来いよ、クソしてるんじゃねーの?」とか言う小学生の声が聞こえる。だけどこっちだって必死なのだ。
表に出ると多くの小学生がいて、私はバツが悪かった。
16時からは、ヒロ青山の極寒ものまねショーが始まった。ヒロ青山、まったく知らないが、彼はデーモン小暮閣下、井上陽水など、カツラやサングラスを駆使して、巧みに真似る。
ヒロ青山は全国区のものまね番組に出場したが、パッとしない成績だったようだ。また、ある番組のコーナーの収録をしたが、デビ夫人との絡みを、まるまるカットされたらしい。芸能人は、売れるまでが大変なのだ。
冬マルシェで、ザンギを購入する。だがそれを食べているうち、また便意を催してきた。
もう2度したのに、いったいどういうことか。どうも、1回目の正常?な便で栓をされていた大腸だが、それがなくなったことで、後続の緩い便が流れてきた感じだった。
だが今回私は、カップザンギを持っている。これを食べきらないことには、トイレに入れない。
やっと食べて、シャトルバス発着場近くの簡易トイレに駆け込む。1つ空いていたのは奇跡だった。するとまたノックされて、焦った。
表へ出ると、今度はご婦人が待っていた。
シャトルバスがまだ動いていたので、乗った。黄昏時になったので、いよいよ買物公園の氷像鑑賞である。
氷像は、今年は力作が多かった。よくある「天使」や「サーモン」の類がほとんどなく、テーマにオリジナリティがある。細かい細工がなされ、芸術品に昇華している。
インバウンドで旭川も観光客が増え、制作者側も力が入ったのだろうか。
もう6時が近くなったので、沿道にある建物の2階の、「家族亭」なる食事処に入った。この前の通りも100回以上通ったが、家族亭に入るのは初めてである。
大もりを注文してスマホを見ると、ANAから妙なメールが入っていた。
(つづく)