駅の窓口が開放され、女性スタッフがいたのだ!
1970年代から始まった国鉄の合理化で無人駅が増えたことにより、ここ新十津川も窓口を閉めていた。それが数十年振りに開かれたのだ。
札沼線の新十津川発着が1日1往復になり、もう営業列車のテイをなしていないが、それが「日本一早い終着駅」になり、逆に脚光を浴び始めたとは皮肉である。今回はその声に応えた形といえた。
窓口では札沼線DVDが販売され、札沼線終着駅到着証明書を無料でくれるサービスをやっていた。このサービスは新十津川村役場でも行っていたが、原則として平日だった。それがここに移動してきた、ということだろうか。
また、記念入場券も売られていた。170円で、旅の記念にはもってこいである。私も1枚購入した。
ホームに戻り、出発を待つキハ40を写真に収める。ちょうど陽が照ってきて、何枚撮っても飽きない。
駅舎に戻ると、「新十津川駅降車人数」が張り出されていたのに気付いた。今日9日は29人で、今月最多だ。1月27日などは、43人もいた。20人台、30人台もかなり多く、1ケタは今月1回、先月3回と少ない。確かに札沼線、かなりの健闘といえる。
私は、札沼線末端区間の寿命がいくばくもないと考えていたが、ちょっと希望が出てきた(註:来年5月に廃止となるようである)。
名残惜しいが、滝川に向かわなければならない。
徒歩4分のところにあるバス停には、札沼線車内の乗客が何人かいた。むろん、札沼線の上りで引き返す人もいる。
バスは09時56分に新十津川町役場を発車した。タイム10数分で滝川バスターミナルに到着……と思いきや、バスはなぜか駅前に横づけした。……何だこれは!?
JR滝川駅からやや離れたところにあったバスターミナルは跡形もなくなり、駅前に新たなバス停留所群ができていた。
これは便利になったが、建物がなくなったので、バスの時刻が分からない。どこかに案内所があるのだろうか。もっとも今回は、柳ジュンが出るイベントは12時からなので、バス移動は厳しい。JRを利用することにする。
が、駅構内に入ると様子がおかしい。何となく客がまばらで、改札口上の電光掲示板には、
「特急ライラック1号 7:27 旭川 6番」
「特急オホーツク1号 7:55 網走 7番」
の表示があった。
放送を聞くと、江部乙駅の構内で除雪車が故障し出動できず、列車に大幅な遅れが出ているという。江部乙は、滝川のひとつ先の駅である。私がたまに特急電車を使おうとすると、トラブルである。私はとことん、ツイてない。
気を取り直し、窓口で旭川までの乗車券を買った。旭川までの区間は普通列車が数本しかなく、現在は時間的にも、特急列車の利用を余儀なくされる。乗車券1,070円に自由席特急料金1,130円が加算された。
なお、ここで深川までの切符を買えば、JRバス深名線に乗れたが、これで完全についえた。
窓口の姐さんは、もうすぐ特急列車が入線するので、ホームに入って待っててください、と言った。
それに従うと、果たしてライラック1号が入線した。
私は座れたが、すぐには発車せず、10時47分、ようやく発車した。何と、3時間20分?の遅れである。
座席でホッと一息ついて考える。私の時間的被害は30分足らずだが、この特急が2時間以上遅れたことを考えると、特急料金を払わなくてもよかったのではないか? 確か昔の「将棋世界」に、同様の事例で払い戻しを受けた棋士の話が載っていたことがあった。
この後、検札も来なかった。これなら、私が特急券を買わなくても誤魔化せたことになる。
しかし旭川到着直前に「旭川駅窓口で特急料金を払い戻しします」という放送があった。
これはありがたい措置である。私はそれに従い、改札口で1,130円をいただいた。何だか申し訳ない気もするが、私は昨年12月に、川棚駅でオレンジカード720円分を無効にされた。あれを我慢してやったんだから、これでおあいこである。
旭川駅を出ると、11時36分になっていた。余裕があると思ったのに、結構ギリギリである。
駅前からは常盤会場まで無料シャトルバスが出ているが、バス乗り場が少し離れているし、ダイヤも分からない。確実なのは徒歩なので、歩いていくことにした。
買物公園通りに入る。通りには氷彫刻世界大会の像が出来上がっているが、鑑賞は後でいくらでもできる。
タイム20分で、常盤公園に入った。ここまでかなり早足で来たが、沿道の雪は深かった。ある丁目の横断歩道の脇では雪が堆く積まれていた。こんな措置は今まで見たことがない。今年は全道的に雪が多いのだ。
常盤会場では今年も数々の出し物をやっていた。この場所はかつて大氷像が設置されていたが、予算削減からか、数年前からなくなった。出し物もなくなり淋しくなったが、ここ数年でまた盛り返しているようである。
私は奥の河畔会場に向かうが、途中で遠回りをしてしまい、ステージ前に着いたのは12時1分だった。「HBCラジオ公開録音・TOSHIBAスノーステージ」は時間通り始まり、すでに司会者は壇上に現れていたが、とりあえずセーフである。
会場内の観客は多い。司会者は、今年の旭川冬まつりは60回記念。大雪像はそれを記念して、区切りの年の雪像が造られている。左上にそびえる天守閣は名古屋城で、第1回に作られたもの、というようなことを言った。
私は平成になってから毎年お邪魔しているので、今年で31年連続31回目となる。すなわち全60回の過半数を鑑賞している計算になる。「平成皆勤」は大記録だと思うが、それも私が独り者だからできた記録で、何の自慢にもならない。
ステージには柳ジュンが登場した。柳ジュンは1987年歌手デビュー。1995年、旭川観光大使に任命され、この冬まつりイベントでは欠かせない存在である。
そして柳ジュンといえば美脚だが、今年はピンク系のジャケットで、それが隠れているのが残念だ。まずは「さくら・恋綴り」を歌う。お馴染みのハスキーボイスである。
私は何となく写真を撮るが、周りは誰も撮影していない。
2曲目は「夢去りぬ街」。これは舞台が旭川で、会場右手に見える旭橋近辺が舞台になっている。
最終3曲目は「ライラックトレイン」。これも旭川が舞台で、私は粋な選曲に感動した。
2人目のゲストは、モングン、という名前の韓国人歌手。来日3年目である。韓国人は日本が大嫌いなはずだが、ビジネスには来る。日本人は懐が広いので、誰でもウェルカムである。
モングンは軽妙なトークを交え、「黒の漁歌」「釜山港に還れ」を声量豊かに歌う。特に馴染みのある「釜山港――」は感動的で、この歌は、韓国人がたどたどしい日本語で歌うのが味があっていいと思う。
3曲目に入る時、モングンが妙なことを言った。
(つづく)
1970年代から始まった国鉄の合理化で無人駅が増えたことにより、ここ新十津川も窓口を閉めていた。それが数十年振りに開かれたのだ。
札沼線の新十津川発着が1日1往復になり、もう営業列車のテイをなしていないが、それが「日本一早い終着駅」になり、逆に脚光を浴び始めたとは皮肉である。今回はその声に応えた形といえた。
窓口では札沼線DVDが販売され、札沼線終着駅到着証明書を無料でくれるサービスをやっていた。このサービスは新十津川村役場でも行っていたが、原則として平日だった。それがここに移動してきた、ということだろうか。
また、記念入場券も売られていた。170円で、旅の記念にはもってこいである。私も1枚購入した。
ホームに戻り、出発を待つキハ40を写真に収める。ちょうど陽が照ってきて、何枚撮っても飽きない。
駅舎に戻ると、「新十津川駅降車人数」が張り出されていたのに気付いた。今日9日は29人で、今月最多だ。1月27日などは、43人もいた。20人台、30人台もかなり多く、1ケタは今月1回、先月3回と少ない。確かに札沼線、かなりの健闘といえる。
私は、札沼線末端区間の寿命がいくばくもないと考えていたが、ちょっと希望が出てきた(註:来年5月に廃止となるようである)。
名残惜しいが、滝川に向かわなければならない。
徒歩4分のところにあるバス停には、札沼線車内の乗客が何人かいた。むろん、札沼線の上りで引き返す人もいる。
バスは09時56分に新十津川町役場を発車した。タイム10数分で滝川バスターミナルに到着……と思いきや、バスはなぜか駅前に横づけした。……何だこれは!?
JR滝川駅からやや離れたところにあったバスターミナルは跡形もなくなり、駅前に新たなバス停留所群ができていた。
これは便利になったが、建物がなくなったので、バスの時刻が分からない。どこかに案内所があるのだろうか。もっとも今回は、柳ジュンが出るイベントは12時からなので、バス移動は厳しい。JRを利用することにする。
が、駅構内に入ると様子がおかしい。何となく客がまばらで、改札口上の電光掲示板には、
「特急ライラック1号 7:27 旭川 6番」
「特急オホーツク1号 7:55 網走 7番」
の表示があった。
放送を聞くと、江部乙駅の構内で除雪車が故障し出動できず、列車に大幅な遅れが出ているという。江部乙は、滝川のひとつ先の駅である。私がたまに特急電車を使おうとすると、トラブルである。私はとことん、ツイてない。
気を取り直し、窓口で旭川までの乗車券を買った。旭川までの区間は普通列車が数本しかなく、現在は時間的にも、特急列車の利用を余儀なくされる。乗車券1,070円に自由席特急料金1,130円が加算された。
なお、ここで深川までの切符を買えば、JRバス深名線に乗れたが、これで完全についえた。
窓口の姐さんは、もうすぐ特急列車が入線するので、ホームに入って待っててください、と言った。
それに従うと、果たしてライラック1号が入線した。
私は座れたが、すぐには発車せず、10時47分、ようやく発車した。何と、3時間20分?の遅れである。
座席でホッと一息ついて考える。私の時間的被害は30分足らずだが、この特急が2時間以上遅れたことを考えると、特急料金を払わなくてもよかったのではないか? 確か昔の「将棋世界」に、同様の事例で払い戻しを受けた棋士の話が載っていたことがあった。
この後、検札も来なかった。これなら、私が特急券を買わなくても誤魔化せたことになる。
しかし旭川到着直前に「旭川駅窓口で特急料金を払い戻しします」という放送があった。
これはありがたい措置である。私はそれに従い、改札口で1,130円をいただいた。何だか申し訳ない気もするが、私は昨年12月に、川棚駅でオレンジカード720円分を無効にされた。あれを我慢してやったんだから、これでおあいこである。
旭川駅を出ると、11時36分になっていた。余裕があると思ったのに、結構ギリギリである。
駅前からは常盤会場まで無料シャトルバスが出ているが、バス乗り場が少し離れているし、ダイヤも分からない。確実なのは徒歩なので、歩いていくことにした。
買物公園通りに入る。通りには氷彫刻世界大会の像が出来上がっているが、鑑賞は後でいくらでもできる。
タイム20分で、常盤公園に入った。ここまでかなり早足で来たが、沿道の雪は深かった。ある丁目の横断歩道の脇では雪が堆く積まれていた。こんな措置は今まで見たことがない。今年は全道的に雪が多いのだ。
常盤会場では今年も数々の出し物をやっていた。この場所はかつて大氷像が設置されていたが、予算削減からか、数年前からなくなった。出し物もなくなり淋しくなったが、ここ数年でまた盛り返しているようである。
私は奥の河畔会場に向かうが、途中で遠回りをしてしまい、ステージ前に着いたのは12時1分だった。「HBCラジオ公開録音・TOSHIBAスノーステージ」は時間通り始まり、すでに司会者は壇上に現れていたが、とりあえずセーフである。
会場内の観客は多い。司会者は、今年の旭川冬まつりは60回記念。大雪像はそれを記念して、区切りの年の雪像が造られている。左上にそびえる天守閣は名古屋城で、第1回に作られたもの、というようなことを言った。
私は平成になってから毎年お邪魔しているので、今年で31年連続31回目となる。すなわち全60回の過半数を鑑賞している計算になる。「平成皆勤」は大記録だと思うが、それも私が独り者だからできた記録で、何の自慢にもならない。
ステージには柳ジュンが登場した。柳ジュンは1987年歌手デビュー。1995年、旭川観光大使に任命され、この冬まつりイベントでは欠かせない存在である。
そして柳ジュンといえば美脚だが、今年はピンク系のジャケットで、それが隠れているのが残念だ。まずは「さくら・恋綴り」を歌う。お馴染みのハスキーボイスである。
私は何となく写真を撮るが、周りは誰も撮影していない。
2曲目は「夢去りぬ街」。これは舞台が旭川で、会場右手に見える旭橋近辺が舞台になっている。
最終3曲目は「ライラックトレイン」。これも旭川が舞台で、私は粋な選曲に感動した。
2人目のゲストは、モングン、という名前の韓国人歌手。来日3年目である。韓国人は日本が大嫌いなはずだが、ビジネスには来る。日本人は懐が広いので、誰でもウェルカムである。
モングンは軽妙なトークを交え、「黒の漁歌」「釜山港に還れ」を声量豊かに歌う。特に馴染みのある「釜山港――」は感動的で、この歌は、韓国人がたどたどしい日本語で歌うのが味があっていいと思う。
3曲目に入る時、モングンが妙なことを言った。
(つづく)