一公の将棋雑記

将棋に関する雑記です。

棋王戦振り返り

2020-03-28 00:24:13 | 男性棋戦
もはや旧聞に属するが、第45期棋王戦・渡辺明棋王と本田奎五段の五番勝負は、渡辺棋王が第4局を勝って3勝1敗とし、8連覇を達成した。では17日の第4局を軽く振り返ってみる。
将棋は相居飛車。第1図で後手・渡辺棋王の△7四歩が驚愕の一手だった。

△6四歩が浮くが、▲6四角は△7三銀▲4六角△7五歩と先攻する意味らしい。とはいえあえての1歩損は私には一生考えても浮かばず、こんなところにプロとアマの構想力の差を感じた。
さらに数手進み、ここで本田五段は▲5六角!(第2図)

この角も妙角というか妙な角で、次に成れるわけでもないから、私にはまったく意味が分からなかった。ただ、プロっぽい感じはした。
対して渡辺棋王は△4四飛!(第3図) ▲8三角成を許すわけだ。これにも私は唸った。もう、私レベルとは考えていることが全然違うのだ。

中盤は渡辺棋王の端攻めが決まり、渡辺棋王優勢。そして終盤、渡辺棋王が△3四香(第4図)と据えたところ。

以下、▲4六歩△3五銀▲2六桂△同銀▲同銀△3六香▲4七馬△4四桂▲3五銀△4六歩▲同馬△5六桂打(投了図)まで、渡辺棋王の勝ちとなった。
第4図、プロが見れば差は開いているのだろうが、後手も持駒が豊富とはいえず、まだ勝負は先と思われた。
だが△5六桂打までとなってみると、本田陣は桂香が迫っているだけなのに、どうも息苦しい。そしてそのまま本田五段は投了してしまった。

このシリーズ、ターニングポイントは第2局と第3局の間にあったと思う。すなわち、折田翔吾アマの棋士編入試験である。2月25日の第4局に本田五段は登場し負けたわけだが、ここで渡辺棋王に見切られた気がする。
この時点で棋王戦は1勝1敗。渡辺棋王も「本田五段は容易ならざる相手」と見ていたはずだ。
だが編入試験での本田五段の拙戦を見て、本田五段は意外に大したことはない、と見たのではないか。自分がしっかり指せば、残り3局を2勝1敗で乗り切れると。
そして渡辺棋王は第3、4局と連勝した。終わってみれば、渡辺棋王の強さが目立ったシリーズだった。
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