バスは大きな建物の中に入っていた。まるで天神バスターミナルのようだ。
降車して道路から見上げると、そこは巨大な建物だった。ここが「熊本桜町バスターミナル」か!
実は昨晩、バス路線を調べていたら、見慣れぬ停留所名があり怪訝に思ったのだ。ここがそうで、もちろん旧熊本交通センターの生まれ変わりである。工期数年、ついに完成したのだ!
ここはゼヒ探索したいが、とりあえず熊本城である。お城へは目と鼻の先で、加藤清正像までは、3、4分で着いた。
城彩苑に入り、和菓子屋「香梅庵」に向かう。ここはきんつばとお茶のセットが100円である。ゴールデンウィークの時も前を通って、気になっていたのだ。
中に入り、立ち食い用に1ヶだけ所望したが、お茶代なしで75円だった。これは良心的値段といえよう。
きんつば―肥後鍔は、円形なのが珍しい。出きたては上品な甘さで、美味かった。
引き続き熊本城の周りを散策する。隣接する公園は何度も来たが、現在は熊本城の袂まで入場ができるようになっていた。ただし有料である。
私は以前、天守閣に登れぬまでも、袂まで行ければ入場料を取るべき、と主張した。その収入が復興の足しになるからだ。
今回はその措置になったわけで、私は大いに支持する。ただいざ有料になると入場する気になれず、私は先を急いだ。ここが私の非情なところである。
熊本城天守閣は鉄骨が目立ち、痛々しかった。まだまだ建設途上で、昔の人はどうやってお城を造ったのかと感心する。日本の建設技術は、当時のほうが上だったのではとさえ思える。
加藤神社まで行き、お賽銭を投じ、ご朱印(300円)をいただく。あたりでは幸せを絵に描いたような家族が和装でお参りをしている。私には縁がなかった光景である。
帰りに再び香梅庵に寄り、肥後鍔の10ヶセットを買った(891円)。ただし帰宅しても、食すのは私だけであろう。
さて、昼食である。先ほどの建物―SAKURA MACHI Kumamotoは、地上5階のショッピングモールに、15階建てのマンションが隣接していた。私は入場し、食事処を探す。中は凄い人出で、これでは下通アーケード街の流れが変わってしまいそうだ。
美味そうな店はあったがひとつに決めかね、結局私は建物を出た。
その先の広場では例年クリスマスイベントをやっていたが、今年はないようだ。
下通のアーケード街に入る。以前更地だったうどん屋は建て直され、似たようなうどん屋になっていた。ただ中の様子がよく分からず、ここも結局入らない。
付近では何かのイベントをやっていて、くまモンなどのゆるキャラが出演していた。
私はリンガーハットや松屋に入るわけにもいかず、放浪する。アーケード街を出たビルの地下に「雑魚屋」なる食事処があったので、入った。
店内は広く、人もあまりいない。これは穴場といえそうだ。
ランチの「雑魚屋膳」を頼む。お造り、天ぷら、豆腐料理と品のいいおかずが揃って、税込み1,100円。昼に1,000円の食事とは、贅沢の極みである。でも寛ぎの時間を過ごせたことも含め、満足だった。
桜町バスターミナルに戻り、福岡天神までの切符を買う(2,280円)。福岡までのバスは本数が多いから便利だ。「スーパーノンストップ・ひのくに号」は、定刻の14時10分に発車した。
ここまで来れば安心で、妙に落ち着く。車内は人が多かったが、まあ許容範囲である。
天神バスターミナルには、16時30分すぎに着いた。
天神や新天町をぶらぶらし、黄昏時になったところで、福岡市役所前に行く。毎年恒例の「クリスマスマーケット」である。福岡城では今年も光のイベントをやっているのだろうか。よく分からなかったので、結局同じところに行ってしまう。
昨年は雨だったが、今年は晴れているので、それだけでもうれしい。敷地内は食事処や小物店が開かれている。ステージでは若者がヒップホップを踊り、それを観客がスマホで撮影していた。
一通り雰囲気を味わい満足したので、退散した。
さて、晩飯である。福岡はやっぱりうどんであろう。数年前に入った天神地下街のうどん屋が美味かったのだが、その在処が分からない。「因幡うどん」はあったが中の様子が分からず、入るのを断念した。
地上に上がって、博多駅前行きのバスに乗った。天神から博多までは100円だが、以前はこの出費すら惜しんで歩いていた。100円でラクができれば安いものである。要するに私も歳を取ったのだ。
博多駅前の地下に入ると金券ショップがあり、熊本までの高速バス券が1,950円で売られていた。私は旅先でこの類を利用したことはないが、同じチケットを熊本で買えたら、330円の得である。どうせ熊本でもぶらぶらしていたのだから、探せばよかったかもしれない。
博多駅前のイルミネーションは、例年通り綺麗に映えていた。青系統で施されているのだが、いかにも冬のようでよい。
ここでもステージでは、誰かが歌っていた。博多どんたくならとことん聴くが、旅行最終日の夜では急いてしまっていけない。
さて、うどん屋である。筑紫口の先にある例の食事街に入ったが、どの店も込んでいて入る気がしない。
博多駅に戻り、新幹線方面の2階に上がると、「麺街道」があった。これは麺好きの私のためにあるような施設だ。なるほど、知らない場所にも行ってみるものだ。
いろいろ回ると「能古うどん」があり、そこに入った。
中はそれほど混んでなかったが、女性2人組のメニューを隔てた隣の席に案内され、居心地が悪くなった。
私はたらいうどんの大に、ごぼ天を注文する。大は無料だから、〆て550円+税である。これは安いと言うべきだろう。
右の社会人8人組はもう食事を終えたのにダベっている。ファミレスで粘るジョナ研みたいなものでヒトのことは言えないが、彼らが出ていけば席の余裕ができるのに。
たらいうどんはツルツルで美味かった。ごぼ天も、120円にしては量が多かった。さすがに福岡、値段以上の満足度だった。
さて、現在19時30分である。帰りの飛行機は20時55分だから余裕だが、といって、もう時間を潰すところもない。私は大人しく、地下鉄空港線に乗った。
福岡空港に着くと、我が272便は15分の遅れとなっていた。飛行機に遅延はつきもので、気にしない。
買わずもがなのお土産を買い、272便に搭乗する。21時10分、出発。
羽田空港の着陸は、22時45分着陸予定から、さらに数分遅れた。これで1泊2日の旅行も終わりだ。
私はモノレールに乗り、JR浜松町のホームに行く。
あれっ……?
ホームの先に、見知った顔の姿があった。
(つづく)
降車して道路から見上げると、そこは巨大な建物だった。ここが「熊本桜町バスターミナル」か!
実は昨晩、バス路線を調べていたら、見慣れぬ停留所名があり怪訝に思ったのだ。ここがそうで、もちろん旧熊本交通センターの生まれ変わりである。工期数年、ついに完成したのだ!
ここはゼヒ探索したいが、とりあえず熊本城である。お城へは目と鼻の先で、加藤清正像までは、3、4分で着いた。
城彩苑に入り、和菓子屋「香梅庵」に向かう。ここはきんつばとお茶のセットが100円である。ゴールデンウィークの時も前を通って、気になっていたのだ。
中に入り、立ち食い用に1ヶだけ所望したが、お茶代なしで75円だった。これは良心的値段といえよう。
きんつば―肥後鍔は、円形なのが珍しい。出きたては上品な甘さで、美味かった。
引き続き熊本城の周りを散策する。隣接する公園は何度も来たが、現在は熊本城の袂まで入場ができるようになっていた。ただし有料である。
私は以前、天守閣に登れぬまでも、袂まで行ければ入場料を取るべき、と主張した。その収入が復興の足しになるからだ。
今回はその措置になったわけで、私は大いに支持する。ただいざ有料になると入場する気になれず、私は先を急いだ。ここが私の非情なところである。
熊本城天守閣は鉄骨が目立ち、痛々しかった。まだまだ建設途上で、昔の人はどうやってお城を造ったのかと感心する。日本の建設技術は、当時のほうが上だったのではとさえ思える。
加藤神社まで行き、お賽銭を投じ、ご朱印(300円)をいただく。あたりでは幸せを絵に描いたような家族が和装でお参りをしている。私には縁がなかった光景である。
帰りに再び香梅庵に寄り、肥後鍔の10ヶセットを買った(891円)。ただし帰宅しても、食すのは私だけであろう。
さて、昼食である。先ほどの建物―SAKURA MACHI Kumamotoは、地上5階のショッピングモールに、15階建てのマンションが隣接していた。私は入場し、食事処を探す。中は凄い人出で、これでは下通アーケード街の流れが変わってしまいそうだ。
美味そうな店はあったがひとつに決めかね、結局私は建物を出た。
その先の広場では例年クリスマスイベントをやっていたが、今年はないようだ。
下通のアーケード街に入る。以前更地だったうどん屋は建て直され、似たようなうどん屋になっていた。ただ中の様子がよく分からず、ここも結局入らない。
付近では何かのイベントをやっていて、くまモンなどのゆるキャラが出演していた。
私はリンガーハットや松屋に入るわけにもいかず、放浪する。アーケード街を出たビルの地下に「雑魚屋」なる食事処があったので、入った。
店内は広く、人もあまりいない。これは穴場といえそうだ。
ランチの「雑魚屋膳」を頼む。お造り、天ぷら、豆腐料理と品のいいおかずが揃って、税込み1,100円。昼に1,000円の食事とは、贅沢の極みである。でも寛ぎの時間を過ごせたことも含め、満足だった。
桜町バスターミナルに戻り、福岡天神までの切符を買う(2,280円)。福岡までのバスは本数が多いから便利だ。「スーパーノンストップ・ひのくに号」は、定刻の14時10分に発車した。
ここまで来れば安心で、妙に落ち着く。車内は人が多かったが、まあ許容範囲である。
天神バスターミナルには、16時30分すぎに着いた。
天神や新天町をぶらぶらし、黄昏時になったところで、福岡市役所前に行く。毎年恒例の「クリスマスマーケット」である。福岡城では今年も光のイベントをやっているのだろうか。よく分からなかったので、結局同じところに行ってしまう。
昨年は雨だったが、今年は晴れているので、それだけでもうれしい。敷地内は食事処や小物店が開かれている。ステージでは若者がヒップホップを踊り、それを観客がスマホで撮影していた。
一通り雰囲気を味わい満足したので、退散した。
さて、晩飯である。福岡はやっぱりうどんであろう。数年前に入った天神地下街のうどん屋が美味かったのだが、その在処が分からない。「因幡うどん」はあったが中の様子が分からず、入るのを断念した。
地上に上がって、博多駅前行きのバスに乗った。天神から博多までは100円だが、以前はこの出費すら惜しんで歩いていた。100円でラクができれば安いものである。要するに私も歳を取ったのだ。
博多駅前の地下に入ると金券ショップがあり、熊本までの高速バス券が1,950円で売られていた。私は旅先でこの類を利用したことはないが、同じチケットを熊本で買えたら、330円の得である。どうせ熊本でもぶらぶらしていたのだから、探せばよかったかもしれない。
博多駅前のイルミネーションは、例年通り綺麗に映えていた。青系統で施されているのだが、いかにも冬のようでよい。
ここでもステージでは、誰かが歌っていた。博多どんたくならとことん聴くが、旅行最終日の夜では急いてしまっていけない。
さて、うどん屋である。筑紫口の先にある例の食事街に入ったが、どの店も込んでいて入る気がしない。
博多駅に戻り、新幹線方面の2階に上がると、「麺街道」があった。これは麺好きの私のためにあるような施設だ。なるほど、知らない場所にも行ってみるものだ。
いろいろ回ると「能古うどん」があり、そこに入った。
中はそれほど混んでなかったが、女性2人組のメニューを隔てた隣の席に案内され、居心地が悪くなった。
私はたらいうどんの大に、ごぼ天を注文する。大は無料だから、〆て550円+税である。これは安いと言うべきだろう。
右の社会人8人組はもう食事を終えたのにダベっている。ファミレスで粘るジョナ研みたいなものでヒトのことは言えないが、彼らが出ていけば席の余裕ができるのに。
たらいうどんはツルツルで美味かった。ごぼ天も、120円にしては量が多かった。さすがに福岡、値段以上の満足度だった。
さて、現在19時30分である。帰りの飛行機は20時55分だから余裕だが、といって、もう時間を潰すところもない。私は大人しく、地下鉄空港線に乗った。
福岡空港に着くと、我が272便は15分の遅れとなっていた。飛行機に遅延はつきもので、気にしない。
買わずもがなのお土産を買い、272便に搭乗する。21時10分、出発。
羽田空港の着陸は、22時45分着陸予定から、さらに数分遅れた。これで1泊2日の旅行も終わりだ。
私はモノレールに乗り、JR浜松町のホームに行く。
あれっ……?
ホームの先に、見知った顔の姿があった。
(つづく)